普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

スクスタ27章から2nd Seasonを振り返る ~解き放たれた翠い鳥とユニット結成の物語~

 前回のスクスタ*120章の記事を書いてから、7か月が経ちました。ほぼ同時期に非常に精緻に作りこまれたTVアニメが放送されていたこともありますが、あれ以降スクスタはかなり勢いを失ってしまったように思います。もちろんアニメから虹ヶ咲に入った人の新規参入もありましたが、ネット上のスクスタ論評は依然として厳しい状況にあると思います。

 そんな中、5月30日に27章が公開されました。私はこの章で、20章以降のもやもやのかなり大きな部分が解消されたように思います。本来総括は2ndシーズンが完結したタイミングで行うべきですが、来月には『ラブライブ! スーパースター!!』のアニメが始まってしまう (私のもう一つの「大好き」、『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』も7月開始) ので、ここで一旦2ndシーズンを振り返るとともに、20章のときの認識を検証したいと思います。

 なお、27章をはじめとしてスクスタのネタバレ満載ですので、読む気があって未読の方は本編をお読みの上で当記事をお読みになることを強くお勧めいたします。また、20章記事を読んでいることを前提とはいたしませんが、興味のある方はお読みいただければ幸いです。

前回の記事

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目次

1. これまでのスクスタ2nd Season

 まずは、2ndシーズンのあらすじを紹介します。

 短期留学から主人公である「あなた」が帰ってくると、そこにあったのは「あなた」が率いる同好会ではなく、全く異質な方法で運営されている「スクールアイドル部」でした。スクールアイドル部を設立した留学生の鍾嵐珠は同好会メンバーとともに部で活動することを望み、熱烈にメンバーたちを勧誘していました。メンバーの中で愛と果林は部に移り、残ったメンバーには「監視委員」を名乗る生徒会書記による妨害が行われていました。

 メンバーたちは様々な思いを抱いて、困難な状況の中でその思いを伝えようとします。監視をかいくぐるオンラインライブ。部と同好会の壁を無くすためのトーナメント戦。思いのぶつかり合いを経て成長していくメンバーたちと、それを支えるメンバーたち。

 そんな中、栞子の姉の薫子が、教育実習生として虹ヶ咲学園に乗り込んできます。薫子のもとで、部と同好会の合同合宿が行われ、薫子が企画した新たなイベントであるスクールアイドルエキシビション (以下、SIE) に向けて、同好会と部のメンバーは少しずつ融和していきます。そんな薫子に、妹の栞子は思うところがあるようで……。

 

 20章の時点ではもやもやをはっきりと表現しきれませんでしたが、2ndシーズンを読んでいて疑問に思ったのは、以下の点でした。

・何故スクールアイドル部が生まれたのか?

 そもそも1つの学校に2つ同じ活動を行う部活動が存在すること自体意味不明です。嵐珠が大人しくスクールアイドル同好会に入っていれば、トラブルメーカーであることには変わりなかったでしょうが、ここまでの事態は招かなかったはずです。嵐珠は何を想ってスクールアイドル部を立ち上げたのでしょう。

・栞子はなぜ、事態の解決に敏腕を振るわないのか?

 三船栞子といえば、生徒会長選挙で学校を変えることを約束し、多くの生徒により幸せになれるプランを提示した「有能」です。しかし、嵐珠の転入後、その活躍がめっきり見られなくなってしまいます。有能は、無能になってしまったのでしょうか?

・なぜ「監視委員」というラブライブ! 世界のルールに反する存在が生まれたのか?

 「監視委員」を務めていたのは、右月と左月という生徒会書記の双子です。この2人はTVアニメにも登場しますが、全く役回りが異なります、一体何をやっていたのでしょうか?

・なぜ同好会は分裂したのか?

 同好会メンバーは、それぞれの信念とやりたいことに基づき、同好会に残る者と部に移籍した者がいました。その想いには、ファンの私たちにも納得するところがありました。しかし、彼女たちは現実世界では「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」というグループ*2でもあります。そもそも論として、なぜそれを否定するようなシナリオを作ったのでしょうか?

 

2. 三船栞子と三船薫子

 栞子は、スクールアイドル同好会を廃部にしようとしたときも、自分がスクールアイドルになってもよいのか逡巡していたときも、姉の薫子のことを気にかけていました*3。27章では、その姉妹関係が抱える問題が明るみになりました。

 薫子は溢れるアイデア力と行動力でスクールアイドルフェスティバル (以下、ゲーム名を除き「SIF」とする) を立ち上げ、運営してきたことは知られていました。2ndシーズンでも、SIEや合同合宿を企画することで、冷え込んでいた同好会と部の関係を一気に融和させ、後述するユニット結成のきっかけを作り、状況をみるみる改善してしまいました。

その実、自分のやりたいことにまっすぐで、それを強引に叶えてしまうまでのめり込む性格で、しかもそれを可能にするだけの人を惹きつけるカリスマさえも持っていました。そんな薫子のことを栞子は理解できず、薫子も薫子で栞子のことを子ども扱い*4して、栞子が何を言っても聞かず、それがまた栞子の不満になっていました。

 さて、栞子といえば論理的に物事を言って聞かせるのが得意で、世界が正しくあることを理想にする人物です。ところが、その得意技がスクールアイドルに関わる姉には全く通用しないのです。そんな「おかしくなってしまった」姉に絶望して、スクールアイドルというものは言っても聞かないものだ、力ずくでも潰さなければまともになれない、そう信じ込んでいたのが初登場時の栞子であると、27章から見たときに言えるでしょう。

 そのような強引で、破天荒で、言うことを聞かない人物が、薫子のほかにも昔から栞子のすぐ近くにいましたね。幼馴染である鍾嵐珠です。嵐珠は精神年齢が幼く純真ゆえに、栞子には薫子と違って可愛げのある人物だと思われていますが、聞く耳がない点では同じで、言っても仕方ないと諦めていた可能性は大きいと思います。嵐珠が自分の部を作りたいと言った時も、そこに入ってほしいと言ったときも、同好会を妨害してほしいと言った時も、きっとそうだったのでしょう。なまじ可愛げがあるせいで、言ったら可哀想だという思いも働いたのかもしれません。理路整然と言っても聞いてくれない人というのは、栞子にとって最大の弱点だったのです。

 思えば1stシーズンで栞子と対決する局面で同好会メンバーは、スクールアイドルの良さを論理的に説明するという手段は採りませんでした。それは完全に栞子のフィールドです。現に生徒会長選挙で負けた菜々は自分を責める状況にまで陥ってしまいました。ご存知の通り、菜々は、非常に聞き分けの良い子です。

 

・栞子はなぜ、事態の解決に敏腕を振るわないのか?

事態の元凶である嵐珠のような「話を聞かないことがわかっている」人物が栞子の能力にとって最大の弱点だから

 

 27章では、そんな栞子が薫子に、ずっと我慢していた思いを伝えようと思案し、ライブを開いて新曲を披露します。その背中を押したのが彼方なのも印象的です。彼方と言えば妹の遥を想って家計を支えるアルバイトや家事、特待を維持するための学業と過労気味の生活を送っていますが、アニメではそんな彼方を見かねた遥がスクールアイドルをやめることを宣言します。姉妹とも相手のために犠牲になろうとする状況から脱し、2人でなら夢を追えると気づきました。形は違っても、姉妹なら自分の思いをちゃんと伝えればわかってくれるはずだということを気づかせるのにこれ以上の適任はいません。こうして、2ndシーズンの「大問題」のひとつは、解決に向かおうとしています。

 

3. 鐘嵐珠のしたこと

 鍾嵐珠。虹ヶ咲学園理事長の娘。美貌も才能も、親の経済力も権力も、すべてを持っているけれども、人望、あるいはその源になる何かが決定的に欠けている少女。

 SIFを見て、スクールアイドルをやりに来日し、母の運営する虹ヶ咲学園に編入します。スクールアイドルをやりに来たのはエマや『スーパースター!!』の唐可可も同じです。しかし嵐珠は、既にスクールアイドル同好会があるにもかかわらず、自分の部を立ち上げるのです。

 嵐珠がスクールアイドルに憧れた理由は、「自分の個性をぶつけ合える場」だから、そして「自分の最高を信じて、相手の最高も認めて」、「自分の持ってる最高の武器全てを使って、全力でぶつかれる」からです (24章)。しかしそれは、すべてスクールアイドル同好会でもできることです。ここにはスクールアイドル部を作る必要性が見当たりません。

 嵐珠に「部」が必要だった理由のヒントが、27章で明かされました。

 ニジガクメンバー*5と行きたいところをリストアップしていたときのこと。

スクールアイドル部でちゃんと親友になってから行くんだから。そうでないとみんなどうせ……

 そして、嵐珠にできることがすべて栞子にできるわけではないことを、苦手 (だが、大切) な姉や幼馴染にもはっきり言えるようになった当人に指摘されたときのこと。

栞子まで、ランジュが特別っていうのね

 嵐珠は友達や親友という言葉を多用し、隙あらばニジガクメンバーをそう認定していますが、どうやら部に入ってもらわないと、そうはなれない、と思っているようです。メンバーを信じ切っておらず、親友というもののあり方を勘違いしているきらいがあります。友達のいなかった美里や璃奈と心で通じ合うようになった愛も、嵐珠をよく知り、友達になるために転部*6してきたにもかかわらず、未だに難航しています。美里には身体の弱さ、璃奈には表情がないというハンデがあったものの、愛のアプローチ一つで愛のことを信じ始めたのに対し、嵐珠の場合はそれ以前の問題がありそうです。

 その上、ひとたびライブを開けば観客全員を虜にする嵐珠のカリスマ性は、スクールアイドル同士では競争心を沸き立たせ、嵐珠に勝つことしか見えなくなってしまうという危険な一面を持っているのでしょう。愛も練習やライブを見るごとにすごいスクールアイドルであるという側面しか見えなくなってしまっています。2ndシーズン初期にはこのことを愛の大幅な弱体化と捉えていましたが、果林も同じ目に遭っていたので、むしろこれは嵐珠の能力によるものかもしれません。

 嵐珠はトーナメント戦や合宿を通して、皆のことをよく知れば友達になれると学び、それを実践してきました。しかし、嵐珠のことを一番よく知っているはずの栞子に突然思いもしないことを言われ (それは栞子の成長によるものではあるのですが)、一人取り残されたようになってしまいました*7

 この続きは28章で詳細に描かれると思います。嵐珠がどんな一歩を踏み出すのか、しっかり見届けたいです。

 

・何故スクールアイドル部が生まれたのか?

嵐珠がニジガクメンバーと「親友」になるため。しかしその意味を履き違えていると思われ、親友になるためには一回り成長しなければならない。

 

 嵐珠が自らの「部」にメンバーを引き入れようとする過程で、どうしても「あなた」が邪魔になります。SIFを復活させた立役者でありながら、その「あなた」に必要以上にきつく当たっていました。その一環が「監視委員」の存在です。部の設立や、監視委員の創設などの越権行為の背後には、シーズン開始当初理事長である母がいると思っていました。しかしそれは取り越し苦労でした。母は (恐らく部のスタッフの人件費を支出している以外) 手を出さずに静観しています。「自由の虹学」は守られました。しかし、それでも「監視委員」は作られてしまいました。

 今振り返れば、あれはメタ的には同好会をピンチに陥らせるための舞台装置に過ぎませんでした。20章開始当初、愛と果林を引き抜かれ、外部に嵐珠という強力なライバルが存在する同好会はそれだけで十分ピンチだったので、その意味では不要な設定だったように思います。実際に22章では、オンラインライブを開催し、監視委員に見つかったら別の場所からの中継に切り替えるという作戦で、実際に監視委員をライブの賑やかし要員に落とし込んでしまいました。監視委員の不要認定が出るのはこの直後です。

 監視委員を作ったのは、嵐珠を想った母の暴走ではありませんでした。ここは20章当初深読みのし過ぎで誤読していたところです。スクールアイドルのリスタートが上手くいかない妹の理亞を見かねて静真高校・Aqoursに無理矢理編入させようとした劇場版の鹿角聖良が念頭にありましたが、権限を持っていたのはむしろ生徒会長の栞子でした。ただ、栞子は嵐珠に直接何かを働きかけることは諦めつつ、「調整」という形で同好会を後方支援していました。右月・左月の双子姉妹は同好会のファンであり、お手柔らかに妨害活動を行うことができそうという理由での抜擢だったのです。推しのライブを生徒会の仕事で見られるというおまけつきではありながら、それを妨害しなければならないという役割を与えられた姉妹にとっては迷惑千万もいいところです (ただし、一推しは栞子のようで、その意味では現状をどう思っているのでしょうか……)。

 

・なぜ「監視委員」というラブライブ! 世界のルールに反する存在が生まれたのか?

嵐珠による自分の思い通りにならない同好会の、あるいは「あなた」の妨害という発想を栞子が批判することを諦めていたから。メタ的にはピンチを作るための仕掛けだが、本当に必要だったかはわからない。

 

4. 誕生! ミニユニット

 話は変わりますが、ニジガクには3つのユニットが存在しています。果林と愛の「DiverDiva」、歩夢としずくとせつ菜の「A・ZU・NA」、かすみと彼方とエマと璃奈の「QU4RTZ」です。追加メンバーの栞子・嵐珠・ミアは今のところ、参加していません。今年9月以降にはユニットでのライブ&ファンミーティングも予定されているなど、このユニット単位での活動も活発化しています。26章では、薫子発案の合同合宿でこのユニットが次々と誕生する過程が描かれました。

 なお、このようなユニットは『ラブライブ!』時代からの伝統です。メンバー割り、ユニット名を公募で決定することで、「みんなで叶える物語」の名を体現する存在でもあります。その一方で、それぞれのユニットが誕生する経緯が描かれることはあまりありませんでした。μ’sでは雑誌展開でその様子が描かれ、TVアニメでもユニットを結成したわけではありませんでしたが、ユニットと同じ3人組に分かれる展開がありました*8。一方で、Aqoursではユニットライブなどが精力的に行われている一方で、劇中にはそのような展開はあまり見られませんでした。したがって、今回お披露目されたユニット誕生秘話は歴代シリーズでも貴重なものだといえます。

 DiverDivaの果林は、芸風は正反対でありながら、スクールアイドルに向かう姿勢には共通するところがあります。愛はトーナメント戦を主催し、スクールアイドルとして競い合う姿勢を打ち出しますが、二人は涙を呑む結果に終わります。人一倍負けず嫌いの果林に至っては完全にふさぎこんでしまう始末でした。そんな2人がSIEへ向かうために考えた方法が、2人でステージに立ち、競い合う姿を見せつけるというものでした。

 この話を読んだとき、DiverDivaのパフォーマンスを思い浮かべ、膝を打つ思いでした。曲中の掛け合いは、ステージ上でも競い合うというコンセプトとよくマッチしています。3月に開かれた校内シャッフルフェスティバルもそうですが、順位を競うだけが「ライバル」のあり方ではないと考えさせられます。

 一方で、QU4RTZは全く異なる経緯で結成されました。QU4RTZは常に挑戦を焚きつけてくる部のやり方に疑問を隠せないエマの、いわば政治結社です。エマは、スクールアイドルは人に寄り添える存在として、ファンのそばにいるべきものだという信念を抱いて来日しました。それがエマの憧れたスクールアイドルになる道なのです。それができる同志として「誰かのファンである」メンバーを集め、「調和」をモットーに、歌声の調和でそれを体現するのが、QU4RTZです。

 それと同時に、QU4RTZに招集されたメンバーは対立状況の中で実際に「誰かに寄り添うことができた」人たちです。自分探しのように部へふらふらと迷い込んだしずくを。何度ぶつかってもめげずについに振り向かせたかすみ (21章)。自分と全く違う音楽に心を揺らされ、音楽家の一族としての自信を喪失したミアを肯定し、友達になった璃奈 (22章)。衝突を怖れ距離を置いていた果林とエマが接近し、結局衝突した時、身を挺して仲直りを支えた (25章) ばかりでなく、仲良し姉妹の姉という立場から栞子の自立の背中を押した彼方 (27章)。肝心なときに果林に寄り添えなかった反省があるのか、一人では叶えられなかったことでも精鋭を集めれば叶えられると考えたのか、エマは実績のあるメンバーしか選んでいないのです*9。2ndシーズンになり、頑なに部と歩み寄ろうとしない推しの姿には一抹の不安を覚えていましたが、一応の結実を見たというべきでしょうか。

 3番目に結成されたのがA・ZU・NAでした。「遊園地ユニット」ことA・ZU・NAは、「ばらばらの個性をひとつにまとめず、遊園地のアトラクションのように共存させる」ことをコンセプトにしています。いわばミニニジガクです。A・ZU・NAの歩夢しずくせつ菜といえば、全員が全員暴走機関車です。もともとこの3人はそのことを自覚していて、個性の衝突から虹ヶ咲ではグループ活動がうまくいかなかった過去を踏まえ、ユニット活動には乗り気ではありませんでした。それがどこからユニット結成に転じるのかと思えば、まさかのDiverDivaにときめく「あなた」を見た歩夢の暴走でした。らしいな、と苦笑しつつ、ユニットをやると決めたらひたむきに努力する歩夢の可愛さを再認識しました。

 ところで、少し話を戻しますが、22章ではミアに寄り添うのは愛でも良かったのではないか、その適性があるのではないかという疑問が生じていました。愛は、ミアのことを知りきれず、22章ではあまり十分に活躍できていません (ミアが行方不明になったことを璃奈に知らせたのは愛でしたが)。このことも不自然な愛の弱体化だと感じていたのですが、このときからQU4RTZの結成を前提にストーリーが書かれていたというメタ的事情を考えると納得できます。そうなると、愛と果林が同好会を離れたのもDiverDivaが前提になっていたこともわかります。もっとも、そうなると、結末のためにキャラクターが動かされているという根本的な問題はむしろ深化した気がするのですが……。

・なぜ同好会は分裂したのか?

メタ的にはミニユニットの結成にバックストーリーを与えるための下準備。人物の動き方に不自然さは残るが、キャラクターコンテンツとしての筋は通った。

 

5. 2nd Seasonとは一体何だったのか

 ここまで見てくると、2ndシーズンの肝は、「新メンバー嵐珠・ミアの加入物語」だけでなく、「ユニット結成の根拠を与える物語」であることがわかりました。基本的にソロ活動しかしないニジガクにおいて、メンバーがグループで歌って踊るには相応の根拠が必要です。1stシーズンの『TOKIMEKI Runners』が2度その目的で使われたように、ユニットが持っているそれぞれ異なる目的が明かされるのが2ndシーズンであり、スクールアイドル部はその状況を作り出すための「事件」であったわけです。ただしそれは現状、メンバーの努力によって解決されたわけではなく、薫子の実習生赴任をもって問題解決へのきっかけが与えられています。これは機械仕掛けの神(Deus ex Machina)ならぬ、Deus ex Mifuneとでも言えるでしょうか。

 一つ皆様にお分かりいただきたいのが、2ndシーズンは個々のメンバーの関係性や、部分部分のストーリーは、1stシーズンに引けを取らない、場合によっては登場人物の多い1stシーズン*10以上に、人物の関係性に焦点を当てた良いストーリーであるということです。そう考えると、物語というものは駆け出しや前提の設定で失敗すると、その評判を取り返すのは非常に難しいものだと感じざるを得ません。10月の炎上以降なんとなく読めていない方には、ぜひこのタイミングでご一読いただくことをお勧めします。険しい展開であることは間違いありませんが、いつか虹がかかると思います。

 最後に、スクスタ最大の不満点を書いて終わりにしたいと思います。

・なぜSaint Snowが登場しないのか?

 オールスターゲームを名乗っているにもかかわらず、アニメとスクフェスの一部ストーリーにしか登場しないA-RISEや、『アニガサキ』に登場した遥を除くスクフェス出身メンバーはともかく、ライブ展開も行われたSaint Snowでさえ、2周年が近づく今でも一切登場する気配を見せません。27章の歴代姉妹がいるスクールアイドルが勢揃いするシーンに、鹿角姉妹がいたらもっとよかったのに。栞子と理亞の会話が見てみたいファンは多いはずです。運営は一体何をしているのでしょうか。

*1:ゲームアプリ『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』のこと

*2:矛盾しているようではありますが、皆様のお持ちのニジガクのCDを取り込んで、アーティスト欄を見てみてください

*3:その姉妹関係をニジガクメンバーの多くが知るのが27章になってからというのが、スクスタクオリティでもありますが……

*4:私にも三船姉妹と同じ6歳下の弟がいます。小さいと思っていたのに急速に大人になる弟について行けない気持ちはわかります

*5:部と同好会を合わせ、虹ヶ咲学園のスクールアイドルの総称とする

*6:スクフェス』の部員を捨てる行為ではない

*7:この時の演出が度肝を抜くものだったのですが、それはまた別の話

*8:μ’sのクリエイターである海未・ことり・真姫はそれぞれ別のユニットに属しているので、新曲と衣装を生み出すのに残り6人と一緒に活動してインスピレーションを沸かせるという話

*9:ただし27章の彼方の実績は、QU4RTZ結成より後

*10:オールスターゲームでありながらμ’sAqoursの出番が少ないことは確かに寂しいが、いたずらに人数が多くても話が混乱する。27章で姉妹に焦点を当てて歴代姉妹がいるメンバーがみんな出てきたのは非常に良かった