普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

主人公力と「地上の星」 ~ラブライブ! スーパースター!! 感想週報④『街角ギャラクシー☆彡』~

 熱い試合でしたね。夏の全国高校野球選手権大会、小松大谷vs高川学園。接戦の末、高川学園が追い上げて迎えた9回の裏、小松大谷の吉田投手が交代でマウンドに上がりましたが、フォアボールでの押し出しサヨナラを許してしまいます。甲子園史上最も遅い21:40のゲームセットとなりました。

 この試合の結果、この時間に予定されていた『ラブライブ! スーパースター!!』がなんと3時間15分遅れで放送されることになりました。劇中の大会『ラブライブ!』は現実世界の甲子園に例えられる*1ことがありますが、その甲子園に押されるという、深夜アニメだったころからは想像の付かない事態になりました。

 今回の試合を経験した選手の誰かは、もしかするといつかプロ入りするのでしょうか。『スーパースター!!』の世界にも、プロの世界を夢見る少女がいました。

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グソクムシャの特性・ききかいひが発動!
(『ラブライブ!スーパースター!!』第4話『街角ギャラクシー☆彡』より/
©2021 プロジェクトラブライブ!スーパースター!!/配信URL: 

https://www.youtube.com/watch?v=_3BAuc2dcgs )

 

1. 『学校アイドル部』と『スクールアイドル同好会』

 平安名すみれの話をする前に、前回のフェスで新人特別賞を受賞したクーカーの話をします。

carat8008.hateblo.jp

   理事長から1位を取れば存続できるという条件を出されていましたが、本気の力が見せられれば良かったわけで、存続は認められました。そして成立したのが「スクールアイドル同好会」です。画面の前の我々にはひどく聞き覚えのある名前です。とはいっても、ここでの「同好会」は明らかに「部」の下位互換です。どこかの虹が咲いている学園の「同好の士のための名誉の称号」ともいえる「同好会」とは違うようです*2

 そして、同好会として部室が与えられるのですが、部室が集中している新校舎ではなく、何故か旧校舎の屋根裏のような場所に通されます。そこには、「学校アイドル部」という実態にそぐわない表札がかけられていました。これは一体何なのでしょうか? 新設校の部室の表札が古びているということは、普通はありえないはずですが……。

 私が思うに、これは思うに「神宮音楽学校時代のスクールアイドルの部室」ではないでしょうか?*3 その頃は勿論新校舎はなかったはずで、使われずに放置されたまま廃校になったとしたら、新たな学校にもそのまま残っていたとしてもおかしくありません。ここからは完全な妄想ですが、もし神宮の学校アイドル部に、かつて葉月花が所属していたということがあれば……。娘の恋のあの態度にも、もしかすると説明がつくかもしれません。

 

2. 『街角ギャラクシー』と『にこ襲来』

 ところで、同じNHKの『今日は一日ラブライブ! 三昧』で、「際立ったメンバー」として紹介されたメンバーがいます。矢澤にこ津島善子、そして中須かすみでした。そして、そこにもう一人、平安名すみれが増えました。それぞれTVアニメで「お当番回」を持っていますが、彼女らの個性が際立つだけでなく、それぞれに「主人公力」が発揮される回となっています。例として、『ラブライブ!』1期5話『にこ襲来』をおさらいしましょう。

 交渉で部の身分と活動場所をたった一人のアイドル研究部・にこから手に入れることに失敗したμ's。そのリーダーである穂乃果は、にこがかつてスクールアイドルを一緒にやろうとしたメンバーに、熱意の差から辞められるという経験をしたことを知りました。そんなにこに穂乃果が用意したのが、自分たちがあたかもずっとにこを先輩として仰いできたかのように敬い、スクールアイドルへの熱意を見せる後輩としての自分たちでした。これほどかっこいいプレゼントがあるでしょうか? これがシリーズ最強のカリスマ・高坂穂乃果のパワーです*4

 『街角ギャラクシー☆彡』は、この回に強いリスペクトのある回だと思いました。すみれの強い個性を通して、かのんの主人公的なカリスマを見るという構図になっていました。ただし、その在り方は、自己評価の及ばないアウトオブコントロールな人気という感じで、穂乃果とは異なっています。

 ところで、「際立ったメンバー」かすみの個人回である『Cutest♡ガール』だけは少し毛色が違いました。侑や歩夢との交流を経て自分に必要なものに自ら気づく、いわばかすみ自身が主人公力を発揮した回でした。

 

3. 地上の星・すみれ

 毎回意外なところに現れるサブタイトルのロゴですが、今回のロゴは学校の床にべったりと張り付いていました。これは「ギャラクシー」を口癖にしながら地を這うような人生を送ってきたすみれの生き様にほかなりません。

 小さい頃、子役として変な役ばかりやらされてきた、そのことを黒歴史のようにしながら、今もどこかで懐かしんでいるように見えます。原宿の街中でスカウト待ちをしても誰にも声をかけられなかったすみれは鼻にクレープのクリームをつけるという奇行に走ります。スカウトの人が言っていた「通行人のオーラ」はギャグとしても、主役になれない自分に嫌気が差してか、グソクムシ」のような色物に甘んじているように見えてしまいます。そもそもスカウト待ちというのは他人任せで「主役」の器ではありませんよね。

 すみれは自分はショービジネスの人間だ、だから素人のスクールアイドルとは違う、そんな優越感に自分を隠しています。実際、歌やダンスの実力はあるのに、そういったスペックで測れない部分でかのんに完敗してしまい、自分のコンプレックスを抉られてスクールアイドルからも逃げようとしてしまいます。それに対する答えが、かのんの一言でした。

「センターが欲しかったら、奪いに来てよ」

 千砂都の言う通り、すみれもかのんもコンプレックスを抱えて傷つくところまでは同じでした。しかし、すみれに欠けていたのは自分で掴むという根性です。人前で歌えるようになるということも、学校に認められる、そのために日本中に認められるスクールアイドルになるということも、答えのない問いで、すみれのカリスマギャラクシーになるという夢もその点では同じです。スカウトの形を取ることですみれの願望に応え、それを終わらせたというのもかっこいいと思います。

 「地上の星」についに輝く時が来たのです。

 そして季節は夏。舞台は南の楽園、神津島へと移ります。今までにないスピード展開ですが、楽しみですね。

*1:アイドルアニメのほとんどはプロのアイドルの物語であるが、『ラブライブ!』のスクールアイドルは部活動でやっている

*2:『スクスタ』28・29章参照。それを一般通念における「部」の下位互換と早合点した鐘嵐珠が起こしたドタバタは記憶に新しい

*3:μ'sやA-RISEのころにスクールアイドルの歴史が始まった世界とは歴史が異なる可能性がある

*4:筆者は穂乃果推し