普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

怪獣か、ヴィランか ~ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA感想週報⑥『一時間の悪魔』~

 明日まで開催中の『ウルトラヒーローズEXPO 2021 サマーフェスティバル』ですが、諸事情により参加を断念しました。チケットまで買ってあったので非常に残念ですが、明日千秋楽は生配信があるそうで、仕方ないのでそちらを見ることにします。

 アグルSV、会いたかった……。私が小さい頃、ウルトラマンアグルがとても好きだったのです。

 話は変わって、最悪な青い奴の話をします。

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さあ、今週の敵はどっちだ?
 (『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA 』第6話『一時間の悪魔』より/©円谷プロダクション/配信URL 

https://www.youtube.com/watch?v=CJJtNCL1QWY )

 

 先週の敵は、親の仇だ!

carat8008.hateblo.jp

1. ヒュドラムとイグニス

 ヒュドラムとイグニスは、それぞれの初登場回である第3話で、100年前に出会ったことがあると明かされました。今回はその掘り下げです。100年前、イグニスの生まれたリシュリア星を滅ぼしたのはヒュドラでした。出会ったどころの騒ぎではありませんでしたね……。イグニスにとってヒュドラムは宿敵で、ヒュドラムにとっては、イグニスはたった1人見逃した生き残りです。3話でイグニスを軽くあしらっていたのはわざとだったのですね。ヒュドラムの性格の悪さが浮かび上がります。

 ちなみにイグニスは334歳*1。故郷を滅ぼされたころは200歳代で、今が地球人換算で30代だとすれば当時は今のケンゴたちと同じ20代です。大人になってからの悲劇ですが、それからトレジャーハンターになって独りで必死に生きてきたのですね。

 

2. 戦う意味

 今回はイグニスとGUTS-SELECTが一時的に共闘します。イグニスは地球自体に悪事を働くことはなく、生きるために必死で、おそらく盗んだお宝も換金して生活に当てていたのでしょう。売るということはそのお宝がどこかで惑星間犯罪に使われる可能性が高く、褒められたものではありませんが。

 そのような事情なのでイグニスが今後も場合によっては味方になってくれる可能性はないとは言えません。ただし、イグニスの戦う目的は宿敵のヒュドラムへの復讐です。せっかくアキトが復讐より幼馴染との約束が大事だと気づいてくれたところですが、ヒュドラムにはそれよりも大事なものがありませんから、心までひとつになれるかどうかはわかりません。むしろ、ケンゴのことを応援しつつも、トリガーの力を自分の復讐に使いたがっていたことは要注意です。OPの映像でもイグニスと未知の闇の巨人のシルエットが一緒に映っていますし、戦う意味や力の使い方の観点でケンゴたちと対立することは十分あり得ると思います。

 

3. ウルトラマントリガー今昔

 闇の巨人の物語といえば、劇場版『ティガ』では3000万年前のティガと今のティガの対比がありました。そしてそれを思わせる台詞が、今回ヒュドラムの口から発せられました。それを聞くたびにケンゴにトリガーの記憶が蘇ります。

 一方でユザレとして徐々に覚醒していったのがユナでした。にもかかわらずユナは「私はユナだ」という確固たる言葉を口にします。それでは、ケンゴは「僕はケンゴだ」と言えるのでしょうか。昔は昔、今は今。劇場版『ティガ』と同じ着地点に持っていくなら、そう言えそうなのですが……。

 

4. ウルトラマンにおける悪役とは?

 今回は闇の巨人ヒュドラムと惑星破壊神サタンデロスが登場しました。最近のウルトラマン特有の、ヴィランと怪獣のバランスに苦慮した回だったのではないかと思います。

 最近は「登場する怪獣がヴィランの召喚ばかり」であったり、「怪獣がヴィランの前座」であったり、怪獣の扱いで物議を醸すことが多いと思います。その点で、サタンデロスはヒュドラムに改造され、呼びだされた怪獣でありながら、個性的でよく活躍した怪獣だと思います。サタンデロスの特性は「無敵のバリア」と「1日に1時間しか行動しないこと」です。どこか、『ジード』のギエロン星獣を思わせる性質でもあり、長期戦を強いる厄介な怪獣です。前半はイグニスと共にその打破を目標にGUTS-SELECTが活躍し、バリアの破壊に成功します。そこにヒュドラムが現れ、変身したトリガーはヒュドラムと戦います。最終的にサタンデロスを倒したのはナースデッセイ号のナースキャノンでした。つまり、「怪獣の特性とその攻略法を探る」ことと「人間が怪獣に打ち勝つ」ことという怪獣映画としての描き方に成功していました。その裏で、ウルトラマンヴィランが戦うという整った構成でした。前回惜しかったGUTS-SELECT艦上組の描写も存分に見ることができました。

 惜しかったのは、トリガーとヒュドラムが戦っている間サタンデロスがほったらかしになっていた点です。撃破にはトリガーの足止めが奏功し、ウルトラマンと防衛隊の連携も見られましたが、サタンデロスとガッツファルコンの撃ち合いなどがあったらほったらかしにはならなかったかもしれません。それとも、そうすると展開が散漫になるので、ウルトラマンのほうに集中させようとしたのでしょうか。

 今後も、この類の苦労は続くと思います。次回はいよいよ大人気ウルトラマンゼットが帰ってきますが、バロッサ星人などたくさんの要素が一挙に登場することになります。それらが良いバランスで魅せられることに期待したいですね。

*1:な阪関無