前回
前回、ユナの秘密が明かされました。父は『ティガ』の世界から来た人、母はユザレの末裔です。
そのユナが、前からユナを狙っていたダーゴンに攫われました。そして……
1. ダーゴンはユナのどこに惚れたのか?
闇の巨人ダーゴンの心に変化が起きたのは、第5話『アキトの約束』です。ユナに宿るユザレを狙っていたダーゴンは、アキトの助けを得て果敢に対抗するユナに平手打ちされました。ここで、ユナに触れられたことが、思っていたより急速に、ダーゴンの心を動かしていたのです。そのようなものから離れて久しい方も多い時代ですが、恋人同士のスキンシップも、友達同士の肩の組みあいも、ライバル同士の拳の語り合いも、すべて身体の接触というものは想いの接触なのです。
その気持ちに、イグニスは「恋」と名付けます。「生きとし生けるものは恋を重ねて強くなる」……お調子者のイグニスらしい台詞です。ダーゴンはイグニスに唆され、「壁ドン」「バックハグ」「なでなで」を試しますが、何もうまくいきません。自分の分からない気持ちの解決を、相手に頼ってはいけませんね。
ところで、なぜダーゴンの気持ちが恋なのでしょうか。恋とは、自分にないものに心を動かされ、失いたくない気持ち、自分のものにしたい気持ちと言えますが、あまり恋のカタチをはっきりと言語化することは、実はよくないかもしれません。むしろ、かつて不定形の恐怖に水木しげるが「妖怪」と、円谷英二が「怪獣」という形を与えたように、そういった心を揺さぶる、それまでの自分が持っていなかった不定形のものに、超古代から現代に至るまでの詩人たちが名付けたのが「恋」なのかもしれません。
ダーゴンの気持ちの輪郭は、ザラガスとの戦いを通して少しずつはっきりしてきます。ダーゴンは今回もまた、アキトとユナの、大切なものを守りたい気持ちに触れることになりました。それに力の強さは関係ないということは、力だけを求めてきたダーゴンにとって気持ちを揺さぶるに値するものだったはずです。力への憧れに始まり、単純な力ではない強さという、自分になかったものを尊く思い、それを守りたいという、それまでの自分になかった想いに気づいたことが、ダーゴンの恋だったのです。
ダーゴンは、必死にユナを守ろうとするアキトを勝手に恋敵認定しました。これは大変なことをしてしまいましたね……。アキトがユナへの恋心に気づいてしまうかもしれません (笑)
2. 闇の巨人の「光堕ち」
さて、前々からファンの間で噂されていた「トリガーダーク」の存在がついに明らかになりました。ティガダークもいるなら……という類推と、ケンゴがよく見る闇の夢から示唆されていたものですが、来週は実際に3000万年前に行き、トリガーダークに遭遇するということで、超古代が一気に身近になってしまいます。
トリガーダークがいかにしてウルトラマントリガーになったかに示唆を与えるのが、ダーゴンの気持ちの変化なのかもしれません。つまり、あの時代の闇の巨人も、同じように守護者であるユザレに心を動かされたということです。すると、トリガーの裏切りの理由に、ダーゴンは気付いてしまったということになります。