闇の3巨人に挑戦するアブソリュートディアボロ。地上で大暴れするデアボリックに、ボロボロのトリガーを痛めつけるディアボロ。そしてそこに宇宙からウルトラマンリブットが現れ……、と、『ウルトラギャラクシーファイト』を手掛ける坂本監督らしいオールスターバトルが描かれる今回ですが、ラストにまさかの人物が登場します。
前回までの『トリガー』はギャグで振り返ろう (?)
1. ケンゴの運命と壁
前々回からグリッタートリガーエタニティ (以下、グリッター) に変身できるようになったケンゴ。しかし、力を使いこなすことができず、変身するたびに身体にもダメージが加わります。大きすぎる力に苦しむという描写は、どうしても『オーブ』のサンダーブレスターを思い出してしまいます。あの時はベリアルの力だったので、「闇堕ち」とも評されますが、今回は光とはいえ、危険な力であることには間違いありません。
ケンゴがトリガーそのものであり、「光」であることが分かった今、ケンゴは闇と戦うことを自分の運命と言い、あくまでウルトラマンであろうとしています。それに対して、ユナやアキトは、「人」であるケンゴ自身のことを心配しています。結局ユザレの「あなたは光であり」の続きは何なのかという謎はまだ残っていますが、アキトやユナとの絆の向かう先次第では、原典通り「人である」ということもあるのかもしれません。
前に期待したケンゴ=トリガーとユナ=ユザレの心の交流も描かれましたね。自分の運命を信じて、しかしそれに囚われているケンゴと、まだ怖くて受け入れ切れていないユナは、違う方向に悩んでいます。お互いのぶつかった壁を乗り越えるヒントになるかもしれません。
トリガーは最強形態を手に入れましたが、その途端に壁に突き当たってしまいました。このタイミングで苦しむウルトラマンも、前例としては珍しいものだと思いますが、精神的にはもう1段階の成長を残しているとみて間違いないでしょう、タツミ隊長もちょうどウルトラマントリガーの正体を察したようですし、若手組以外との交流を通して戦士として成長していく姿にも期待できると思います。
2. 怪獣! 闇の巨人! アブソリューティアン!
今回、地球に2つの球が襲来します、これが「赤い球と青い球」なら、『ウルトラマン』第1話以来受け継がれてきた伝統の演出で、赤い球がウルトラマンを、青い球が怪獣を指しています。ところが、今回出現したのは赤と青ではなく、赤と金の球でした。赤い球はウルトラマンリブットでしたが、金の方は2人のアブソリューティアンでした。アブソリューティアンは当然ウルトラマンではありませんが、怪獣にも分類できない巨人たちということです。
アブソリューティアンはタルタロスと新規のディアボロ、そして闇の巨人が3人、ウルトラマンが2人。前例がないわけではありません*1が、TV放送で7人も巨人が登場する回は珍しいかもしれません。
今回登場したデアボリックは、ディアボロとの名前繋がりで登場しているかとも思いましたが、初出が劇場版『オーブ』のロボット怪獣です。『オーブ』にはギャラクトロンという強豪ロボット怪獣もおり、圧倒的火力の魅力と使役怪獣としての使いやすさからか、ともに後の作品で最も活躍する『オーブ』怪獣となっています。
一方で、人類陣営にも超強力なロボット怪獣がいます。ナースデッセイ号・バトルモードです。今回アキトがアブソリューティアンの力を解析し、変形機能の解放用のナースのキーを作っていました。ロボットといえば、昨年の『Z』で特空機が大活躍したばかりなので、期待が高まります。
ところで、アブソリューティアンの情報が入ったメモリをくれたのはイグニスでした。イグニスは盗んだGUTSスパークレンスの習作と等価交換と考えているようで、以前トレジャーハンターはただの泥棒ではないと言っていた、イグニスの (身勝手な) バランス感覚がうかがえます。それにしても、敵かもしれない人から貰ったメモリを大事なナースデッセイ号のコンピュータに挿しこむのは、流石に危険ではないでしょうか? アキトはサイバーセキュリティの基礎を学び直す必要がありそうですね (笑)
3. ウルトラマンリブット参上!
今まで『ウルトラギャラクシーファイト』で活躍していたウルトラマンリブットが、ついにTVシリーズに登場しました。リブットは2014年にマレーシアのアニメに初登場したウルトラマンで、日本でも『ファイト』やボイスドラマ、ステージに登場して子供たちの間での認知度も高まってきたところだと思います。同年代のウルトラ戦士であるゼロがヤンキー風なのに対して、真面目な好青年といったキャラクターです。
今までは日本で人間としての姿を見せることがなかったリブットですが、今回はついにその姿を現しました。演じたのは土屋神葉さんです。土屋さんといえば最近では『白い砂のアクアトープ』*2などにも出演している声優ですが、今回は声ではなく生身の俳優としての登場となりました*3。その土屋さんが声優になったきっかけが、ウルトラマンゼロを演じる宮野真守さん*4だったというのです。土屋さんは宮野さんを追い、劇団ひまわりに所属して声優としてのキャリアを積んできました。さらに、ゼロを演じた経験もあり今はトリガーの中に入っている「Mr. ニュージェネ」岩田栄慶さんにも師事し、アクションを学びました。実姉の土屋太鳳さんは『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』などにエメラナ役で出演しており、それが土屋さんの今の経歴に繋がっていると考えると、まさにウルトラマンになるべくしてなった男といえるでしょう*5。実際ゼロの弟子になりたがって努力していた「リアルウルトラマンゼット」かもしれません。実は私はこの声優の存在を知って*6から、いつかウルトラマンに出ないかと期待していました。ゼットの声優、トリガーの声優 (?) など待ちに待ちましたが、俳優としての登場は期待を上回るものでもありました。
次回はケンゴとユナが、そのリブットから拳法の極意を学ぶようです。敵も謎の拳法を使ってきますし、秘伝の神業どうしの衝突が楽しみですね。ケンゴたちが歌う新EDも相まって、後半戦にも期待が高まります。