普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

恐怖4点盛り ~ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA 感想週報⑯『嗤う滅亡』~

 毎度数千文字の感想を書いていますが、今回の感想は2文字で書けます。

 「怖い」

f:id:Carat8008:20211109233525p:plain

ホラー映画でもありそうな地下からの出現シーン
 (『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』第16話『嗤う滅亡』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=xp6tB3f2cKQ)

 前後編なのもありますが、特に画面が明るい (広義) ニュージェネウルトラマンにおいて、最初から最後まで怖い回というのはそれほど多くないはずです。今回は何が怖いかをさっくり列挙していきたいと思います。

その前に、玩具売上も快調なナースデッセイ号の活躍をご覧ください

carat8008.hateblo.jp

 

1. 恐怖その1: ウルトラマンのお約束を破壊! トリガーダーク

 イグニスが変身したトリガーダーク。その目的がヒュドラムへの復讐であることは前回予想した通りでしたが、以前のトリガー本人だったトリガーダークとは全く異なる戦い方をするようになりました。

 その鍵になるのが、以前イグニスが盗んだホロボロスキーとザイゴーグキーでした。トリガーのスカイタイプとパワータイプのような使い方ができるのですが、これを使うと口元が変形し、ウルトラマンらしからぬ顔つきになります。そしてその能力も、怪獣のものをそのまま放出する禍々しいものでした。もちろん、ビクトリーやエックスのように、怪獣の力を使うウルトラマンはいましたが、これらもウルトラマンが主体になるようにデザインされていたと思います。怪獣に乗っ取られているような描写は、タイガの怪獣リングをさらに先鋭化したような感じでしょうか。それにしても、「笑顔」がテーマの『トリガー』において、怒りであれほど醜悪な顔つきになるというのも、トリガーを反転させた存在としてよく考えられていると思います。

 地下空間から這い出す動きも、恐怖を感じるのに十分なものでした。『Z』で、セレブロに乗っ取られたウルトロイドゼロも同じような動きをしていましたね。ヒュドラムは狂気に満ちた発言を繰り返していましたが、これを指した「まるで獣」という台詞にだけは共感した方も多かったのではないでしょうか。

 ところで、トリガーのメツオーガとの戦いを妨害していたトリガーダークですが、トリガーに突っかかっている暇はあるのか? という疑問が浮上します。イグニスの敵はあくまでヒュドラムです。怒りに支配され、制御不能になっているのでしょうか?

 

2. 恐怖その2: 純粋にキモい! 魔獣メツオーガ

 今回登場した宇宙伝説魔獣メツオーガの見た目は『タイガ』の最終回怪獣、ウーラーとよく似ています*1。ウーラーにあった可愛げがまるで失われ、醜悪で悍ましい姿になっています。それだけでなく、バリアを張り、それに接触した地面を破壊して蟻地獄のように対象を捕食するという、ウーラーにはない能力も持っています。そもそも捕食というだけで、怪獣の恐ろしさ、気持ち悪さは一段と増すと思います。ガゾートやスペースビースト、ボガールはいずれもその例です。怪獣以外でも、『鬼滅の刃』の鬼たちでもわかりやすいと思います。まして人だけでなく惑星も食べてしまうのですからそのスケール感は桁違いです。

 ところで、この怪獣を見ていて私はある符合に気づきました。「不揃いな牙と虚ろな目を持つ醜悪な怪獣」、「紫色の光を放つエネルギー溜め」、「強力な兵器の攻撃を受け、形態が変化」、そして「破壊光線が辺り一面を薙ぎ払う」……。どこか、シン・ゴジラ』のゴジラを思わせます。この映画が公開されたのは5年前、2016年の7月ですが、劇中でゴジラが出現したのが11月3日で、ちょうど5周年になります。メツオーガが進化したメツオロチの原型になったマガオロチが登場した『オーブ』も、同じ5年前でした。私が特撮にはまったのがこの頃なので、思い出深い怪獣たちです。

 

3. 恐怖その3: 行動原理がヤバい! ヒュドラ

 元はといえば、このメツオーガを持ち込んだのはヒュドラムでした。それも自ら持ち込んでおきながら、メツオロチへの進化を見て「これだから使わなかった」などと言い放ち、そのトリガーとなった人類の一撃を嘲笑う、まさに吐き気を催す邪悪です。

 そもそもメツオーガを目覚めさせたのはヒュドラムです。エタニティ・コアを吸い込まれたら困るから使わないなどと言いながら平然と使っているのです。その時点で意味が分かりません。とはいうものの、エタニティ・コアを欲しがっていたのはカルミラですから、ヒュドラムとしては殺戮がしたいためにカルミラの下についていて、本当はエタニティ・コアなどどうでもよいのかもしれませんが。

 それに、リシュリア星人の殺戮・捕食のこともです。口ぶりからすると、生きるために食べたのではなく、娯楽としてスイーツ感覚で食べていたとしか思えません。先述の捕食の気持ち悪さとも重なりますが、尊厳あるものの尊厳を片っ端から愚弄していく徹底ぶりに虫唾が走ります。

 

4. 恐怖? その4: その力、本当に大丈夫? ナースデッセイ号

 さて、このような脅威を前に、ウルトラマントリガーの戦力も振るわず、ユナがようやく自分のものにしたユザレの力も発動せず、絶望的な雰囲気が漂う中、ただ一つだけキレッキレに戦っていた存在がありました。地球人の切り札、ナースデッセイ号です。今回もバトルモードに変形し、圧倒的な火力を見せつけていました。さらに、攻撃の通用しないメツオロチに対し、タツミ隊長は「ガーゴルゴンキーの使用」を宣言します。

 実は私は、放送前日に何の気なしに「ガーゴルゴンのキー」について言及していました*2

 勿論、人類が知恵と力を結集して怪獣を倒すのもウルトラシリーズの醍醐味ですし、その意味では人類の持てる超火力兵器や特殊兵器はロマンではあるのですが、しかしやはりそこはウルトラシリーズ。強すぎる力には、負の面があります。昨年の『Z』は無論別の世界観の物語ですが、ウルトラマンの力に手を出した結果その兵器を乗っ取られ、大いに手を焼いたばかりです。このような力を持つことに、大きな期待と、一抹の不安を感じます。まあ、ナースデッセイ号は一度ダダに奪われかけましたし、今から似たような展開があるとも思えませんが……。

 

 せっかく『シン・ゴジラ』を思い出したところなので、「ヤシオリ作戦」を思い出しながら次回を待つことにします。ガーゴルゴンの力ということは当然メツオロチを石化することをもくろんでいるわけで、一切の攻撃が通用しないゴジラを封印したこの作戦がヒントになるかもしれません。

*1:有り体に言えば改造

*2:メインアカウント普門寺飛優 (@twhr8008UC) | Twitterの他に、創作以外に関するアカウント飛優(ユーゴ) (@twhr1448A) | Twitterを使用している