ウルトラシリーズはシリアスとギャグの振れ幅が激しい
GUTS-SELECTアジアの総司令官に昇進したタツミ隊長。自分の愛したトリガーが帰ってきたカルミラ。自分のセンスで皆に笑ってもらえるケンゴ。ユナに「約束」の白いバラを渡されるダーゴン。獄中にいながら宝の地図を見つけるイグニス。宝くじが当たるヒマリ。ポスターのモデルに選ばれるテッシン。憧れの物件を見つけるマルゥル。そして光に選ばれるアキト……。
そんな虫のいい話があるわけがないではありませんか。
1. 悪意に弄ばれるギャグ回
前回の次回予告から感じた不穏さは嘘ではありませんでした。今回登場人物たちに訪れる幸運は、すべて幻覚だったのです。狐に化かされたような話です。
その被害に遭うのは自分が昇進したと思っていたタツミ隊長だけではありません。ケンゴ、イグニス、ヒマリ、テッシン、マルゥル、アキトと、GUTS-SELECTの隊員や関係者が続々と夢を見せられてしまいます。そんな中ユナだけが何故か正気を保っていたのが今回最大の謎です。もしかすると下手人は逆にユナを狙っているのでは……と思わされました。
そして、幻覚を見せられたのは地上の人々だけではありませんでした。カルミラとダーゴンも、トリガーとユナの幻覚を見てしまいます。となると、ヒュドラムとも何か関係がありそうです。消去法の邪推が続きます。
人に幻覚を見せるという悪質な能力で、ナースデッセイ号も大ダメージを負うに至りましたが、それがあくまでギャグ回として描かれているのが今回のポイントだと思います。ダダのようなリアルな恐怖を感じる攻撃や、ヒュドラムのような吐き気を催す邪悪など、恐ろしい悪が描かれがちな中で、明るい作風を崩さない配慮なのかもしれません。しかし、人というものは降って湧いた幸運に弱く、それがぬか喜びだと知った瞬間の絶望感にもとても弱いものです。そしてその姿は、傍から見ると大変滑稽にも見えるものですが、それを滑稽だと嗤う我々は、知らず知らずのうちに悪意の側に立たされているのです。これはフィクションでコメディなので大いに笑えばよいのですが、あなたは人のそんな姿を嘲笑したことはありませんか? あなたの笑いは、SmileではなくLaughではありませんか……?
2. キリエル人、そして……?
今回の騒動の仕掛け人は、前々から登場が予告されていたキリエル人とみられる男でした。これは「キリエルじん」ではなく「キリエルびと」と読みます。ティガに何度も挑戦した、自らを「救世主」と名乗る存在です。
GUTS-SELECTへの挑戦は、何を意味しているのでしょうか。単純な侵略者や破壊者ではない以上、これからのストーリーでもかなり重要な意味を持つことになると思われます。
そして、次回予告で光っていたシズマ会長。「降臨する伝説の光」という言葉は、シズマ会長がいた世界で戦っていたあのウルトラ戦士を意味しているのでしょうか? だとしたら、トリガーの世界に何を残していくのでしょうか。
本編冒頭で共闘していたカルミラとトリガーの関係も気になります。セグメゲルと戦っていたその姿は、カルミラも光の側だったようにも見えますし、ケンゴはそんなカルミラを「笑顔だった」と評しています。2人は、どのようにして出会ったのでしょうか。
「NEW GENERATION TIGA」は、謎多き佳境へと突入していきます。