メガロゾーア誕生までの経緯
邪神メガロゾーアと化したカルミラは、執拗にケンゴを追います。ケンゴには、ケンゴを守るGUTS-SELECTが狙われていることを隊員たちに伝える義務がありました。
すると、終盤の名物、「ウルトラマンバレ」が発生します。
1. 『トリガー』流の「ウルトラマンバレ」
かつては「正体が知られたら星に帰らなければならない」とまで言われた、防衛隊やそれに類する仲間のメンバーにウルトラマンの正体を告白するシーン。最近は『メビウス』正体を知ったうえで一緒に戦うことや、『ジード』のように最初から知られていることもあり、必ずしもそうとは言えなくなってきました。今回は、トリガーの正体を知っている若手組と、知らないナースデッセイ上空組に分かれての正体バレとなりました。
上空組の中でも、ケンゴがトリガーであることに薄々気づいていたタツミ隊長の反応が特に印象に残りました。タツミ隊長は今までも隊員を守るという意識が強い、父親のような行動を見せていましたが、隊員が何度も身一つで怪獣に立ち向かい、負傷してきたことを知った隊長は、ケンゴに深々と頭を下げました。
今回ユナがそうであったように、光であることには、自己犠牲という一面が強くあります。運命を背負い、命を賭して立ち向かうことが光ならば、他者を抱きしめ、共にあることこそが人としてできることです。今回ナースデッセイ号がメガロゾーアの闇に呑まれかけ危機に陥ったとき、タツミ隊長の目にはケンゴのルルイエがありました。それは、ケンゴにとって、すなわちGUTS-SELECTにとっても守るべき大切な夢の象徴です。ユナだけが、あるいはケンゴだけが犠牲になることなく、共に大切なものを守る、そんな場所を守り続けてきたタツミ隊長は、今回も闇の支配者メガロゾーアに対し、一丸となって立ち向かうことを宣言しました。
それには、自分が何であるかよりも、想いがより重要なことであることも確かめられました。あの場には光の化身であるケンゴ、メトロン星人のマルゥル、リシュリア星人のイグニス、そして別次元の地球人シズマ会長がいました。シズマ会長の言う通り、故郷を守れなかったイグニスにとっても、地球が新たな故郷になったということでしょう。
2. ホッタ登場!
今回のもう1つの注目すべきトピックが、ホッタマサミチの登場です。彼は『ナースデッセイ開発秘話』の登場人物で、TPU技術部特務三課でナースデッセイ号の開発責任者を務めた中年男性です。同作では、苦労人ぶりや調子の良さ、時々見せる子供っぽさなど、人間的魅力に満ちたキャラクターとして、ショートドラマを盛り上げています。GUTS-SELECTにとってはマルゥルのかつての上司で、実はヒマリの教官の夫でもあったことがわかっています。本編ではわずか30秒の登場シーンでしたが、その濃厚なキャラクター性を詰め込んだような演技でした。
『ティガ』を受け継ぐ作品として、やはりGUTS-SELECTの周囲にTPUという組織が存在していることは欠かせないものだと感じます。GUTS-SELECTメンバーの内面描写すら物足りない側面はあるものの、存在感のある壮大な組織が地球防衛に立ち向かうさまを見られるのは、『ティガ』を始め平成ウルトラマンの面白さの一つだと思います。前作のストレイジは母体組織と対立してしまったので、このように協力して地球を守る熱いシーンが少しでも描かれたことは嬉しく思います。また、若い美男美女以外にも「かっこいい」人物が登場することも、防衛組織ドラマの深みであると思います。
ところで、ホッタの名前の由来ですが、おそらく『ティガ』のホリイマサミ隊員だと思われます。妻の名前も同じ「ミチル」です。
3. 進撃の邪神
ウルトラファンがメガロゾーアに求めるものは、25年前に絶望を撒き散らした邪神ガタノゾーア並みのラスボスとしての存在感だと思います。設定的にはカルミラの意思をもって暴れていることが悪質だと思いますが、演出としては今までとは決定的に違う火薬量、そして倒されても復活し、進化することで表現されました。それでも、何よりも怖いのはカルミラの狂気なのですが……。第2形態はガタノゾーアの特徴である巻貝状の殻を纏い、ガタノゾーアとは違って陸上を進撃し、そこにあるものをなぎ倒していきました。
希望は、私たちに微笑んでくれるのでしょうか。次回、いよいよ最後の戦いです。