普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

【開催中・残り8公演!】愛と「実在性」のお祭り ~輝け!Aqoursぬまづフェスティバル~

 2022年5月15日 (日) に『輝け! Aqoursぬまづフェスティバル』に参加してきました。『ラブライブ! サンシャイン!!』で2度の『リアル脱出ゲーム*1』を手掛けたSCRAPによる新しい体験型イベント『体験する物語』の第1弾でもあります。

 この公演は、当初5月13日 (金) から6月12日 (日) まで、計24公演が予定されていましたが、終盤の3日間6公演が行われないことが発表されました。よって、6月5日 (日) の千穐楽まで残り4日間8公演となります。声優の登場しない公演ということもあり、あまり注目されていないのかと思いましたが、実際にはライブとも違う全く新しい「実在性」を追求した、大変興味深く、感動できるイベントでした。

 15日午後公演には、目測で約200名以上の方が参加されていたのではないかと思います。とはいえ、全公演で多くて数千名だけでこの体験を寡占してしまうのは、もったいないと思います。

 気になった方は、ぜひとも公式サイトから情報をご確認ください。

www.scrapmagazine.com

1. お出迎えから『サンシャイン!!』

よみうりランドへは京王よみうりランド駅からゴンドラで

 『輝け! Aqoursぬまづフェスティバル』の会場は神奈川県川崎市多摩区*2よみうりランドのらんらんエリアです。入り口には、Aqours9人のスタンドパネルが設置されていました。全員の髪に青メッシュが入っていて、勢いと統一感を感じます。

入口付近のAqoursスタンドパネル

 入口で案内してくれる係員……と思いきや、この方も早速浦の星女学院の生徒」です。「もしかして助っ人さんですか!」とテンション高く話しかけてくれました。

 実は、このエリアでは普段、アシカショーが行われています。ここは水族館ではないのですが、この場所では何故かアシカが飼われていて、従って海水があります。後述のストレッチとアニメ映像が終わった後フェス会場の広場へ徒歩移動するときに、海水の匂いがして、よい「沼津気分」の導入になりました。

 最初はストレッチから始まります。そんなにたくさん身体を動かすのかとやや不安になりましたが、やっておいて損はありません。2年生メンバーのかけ声に従って身体をほぐします。今までに参加したどのイベントとも違うのだと思い知らされます。

 その次に企画のイントロダクションになる映像が流れました。このアニメは新作ではなく、映像自体は『サンシャイン!!』のTVアニメや劇場版本編映像をつなぎ合わせたものですが、ボイスはすべて新規で、全く新しいストーリーが展開されます。ストーリー的には、SCRAPで過去開催されたリアル脱出ゲーム2作の流れをくむ続編ということになっているようです。私は2作に参加していないのですが、今回もその時と同じように、助けてくれる人を募って問題に立ち向かおう、ということで、私たち助っ人が集結した、という筋書きで、イベントが始まります。

 イベントの流れは、フェスティバルの準備時間が1時間、次いでフェスティバル本番が約1時間、最後にAqoursメンバーの (映像) ライブからエンディングとなっています。準備時間も本番も1時間ずつで、どれほど多くのブースを回れるかという勝負になってきます。また、今回は全てのブースが開場しましたが、準備が間に合わないブースは開場できないという仕組みになっているようです。6月の公演が一部中止になったのは、準備に必要な人数が揃わないと見込まれたからかもしれません。

 

2. 色とりどりのブースたち

 私が参加したいくつかのブースを紹介します。

【準備】ぬまづ富士山神輿

 人の背丈より大きいくらいの富士山型の御神輿に、青いシールを貼っていって富士山を完成させます。一番最初に行って5枚シールを貼りましたが、準備時間後半になっても白い部分が多く、後半にもう10枚貼って行きました。準備時間終了数分前に無事完成のアナウンスが流れました。

【準備・本番】ミニステージ

 Aqoursメンバーが登場する4つの企画が行われます。準備時間には、ダイヤとルビィのクイズコーナーに参加しました。参加者が考えた沼津に関するクイズを専用のフォームから送信します。そして、選ばれた数問が、実際に本番で出題されます。全問正解すると、「沼津王」の賞状を獲得できます! 実際、相当な難問を出しても、解答者はついてきてくれるので、私は作問が間に合いませんでしたが、思いつき次第どんどん送るといいと思います。

 準備の時間に参加したのはこれだけでしたが、曜・千歌が音頭を取って大勢で踊っていた『サンシャインぴっかぴか音頭』にはついつい巻き込まれ、振り付けもうろ覚えのまま踊ってしまいました。盆踊りですから、問題はないのですが、準備時間に参加すれば振り付けの練習も可能です。

 最後の時間には梨子と花丸のトークショーを聴いていました。好きな「本」がテーマでしたが、このテーマも準備時間に決定します。このメンバーで「本」と聞いて何かを察した方は、内容が気になることでしょう (笑)。

 どれにしても、気になる企画には準備時間から参加することをお勧めします。とはいえ、ミニステージにずっといるとフェスティバルが終わってしまうので、取捨選択するか、リピートして全部参加することになります。

【準備・本番】輝け! フェスフラッグ

 開会式で、フェス会場の端から端まで連なったフラッグが掲揚されます。そのフラッグは、スタート時点ではなんと真っ白。参加者の1人1つのメッセージでフラッグを作っていきます。広げると思ったより長くなることもあり、掲揚の瞬間には感慨がありました。

 開始後、このブースはAqoursのこれまでの歩みを振り返るブースになりました。

【準備・本番】みかんハッピートレイン

 みかんに見立てたおみくじを引けるブースです。準備時間には、おみくじをみかんに封入し、木に吊るす作業を行います。本番では、そこを本編にも登場した「みかんトロッコ」に見立てた台車に乗りながら、それを1つ収穫し、中のおみくじを持ち帰ることができます。アニメで果南が壊したあのレバーも再現されており、乗るときに壊さないように注意がありました。

 おみくじの内容もアニメに即しています。私は大吉を引くことができました。

『みかんハッピートレイン』の台車
【準備・本番】I♡LOVE沼津展示

 事前に募集された写真を展示するコーナーと、参加者が沼津の好きな場所を共有するコーナーがあります。1人1枚付箋を取って、沼津のお勧めスポットを書いて、沼津のイラストマップに貼ります。本番はそれを見て、また沼津で次に行きたい場所を探す、という楽しみ方ができます。また、Aqoursメンバーの好きな場所もまとめられていました。 

【準備】JAふじ伊豆

 JAの出張販売スペースですが、準備時間は鉢巻きの作成場所になっていました。ここで沼津への愛をアピールする文字を鉢巻きに書くのですが、私は鉢巻きを二つ折りにしたまま書いてしまい、位置を間違えてしまったのです。なんとかデザインを取り繕い、自分で苦笑しながら担当の学院生に話しかけると、「千歌ちゃんみたいですね」と言われました。学校のエースでありながら、一般生徒の目にもそういったおっちょこちょいな言動が目立つ千歌がますます可愛いと思うと同時に、自分のミスはどうでもよくなってしまいました。

 本番も立ち寄ろうとしましたが、目当てのみかんジュースは完売でした。

【本番】ぬまづアンテナショップ

 みかんジュースが買えなかった私に声をかけてくれたのは隣のアンテナショップの担当でした。ここもGrandmaさんのひものサブレしか商品が残っておらず、その生徒は自らの発注ミスだと詫びていましたが、本当に入荷しなかったのか本当のところはよくわかりません。店の奥には段ボールが無造作に積まれており、学園祭のバックヤードを覗いてしまった気分になりました。

ぬまづアンテナショップのバックヤード

 当イベントの公式サイトには、イベント内の決済手段は基本的にキャッシュレスと記載があります。しかし、実際には後述のヨキソバのように現金でしか買えないものもあり両方用意していくのが良いでしょう。レジに立っていた生徒も、Edyの操作には不慣れなようでした。

【準備・本番】ヨキソバキッチン 渡辺亭

 ヨキソバといえば、曜が作るオム焼きそばのことですが、ここでは完全再現されたヨキソバを食べることができます。

 準備では、複数人でチームを組み、曜が読み上げた (本物そっくりの) 食材をかごに入れていくゲームをします。このブースは水泳部員が担当しているようで、曜の後輩に当たる1年生のチエが張り切って進行していました。私が入れられたチームは、かごの近くの参加者がリーダーシップを発揮して、クリアに導いてくれました。

『ヨキソバキッチン 渡辺亭』

 このブースの隣に、本物のヨキソバを販売しているキッチンカーがありました。祭りの屋台の焼きそばといえば、プラスチックのパックに入って500 - 600円が相場ですが、このヨキソバは1,250円です。卵が乗っていることと版権料を考えれば仕方ないかなと思っていたところ、車から出されたのは大きな皿に山盛りの焼きそばでした。なんとヨキソバはサイズも完全再現だったのです。

 実はこれをいただいたのは本番ではなく準備時間残り10分のタイミングでした。ヨキソバとシャイ煮は準備時間から販売していて、食べている人はコンスタントにいました。本番には早めに完売してしまうかもしれないという担当生徒の言葉に負けて買ってしまいましたが、丸々一食分あるヨキソバを10分で食べるのはフードファイトの様相を呈していました。なんとか完食しましたが、これを狙うなら昼食は抜いていっても構わないと思います。

ヨキソバ
【本番】休憩所

 これは休憩所ですが、ここにもサプライズがあります。その内容は、ご自身の目でお確かめください……!

 

3. 1回の参加で楽しめなかったこと

 終わってみて心残りなのは、もっと生徒たちにAqoursメンバーについて、浦女について聞いてみればよかったということです。休憩所にいたミナモは果南と鞠莉の友達だと言っていたので、あえてダイヤ*3のことを聞いてみました。すると、美しすぎて畏れ多い、とのことでした。なるほど一般の生徒には本当にそう見えているのだと、納得させられるものがあります。ミナモ役のキャストの方にとっても、もちろんそんな台本があるわけがなく、キャストとしての生の「Aqours観」を伝えてくれていたのです。演じている「役」はあるものの、それは人間と人間のコミュニケーションに他なりません。

 先述の千歌の件もそうです。ブースでの準備活動を通して「生徒」たちと話すことはあり、他にも沼津についての話をすることはありましたが、Aqoursについても今までよりもっと深く知るチャンスだったのです。

 これから行かれる方は、ぜひ「推し」について語り合ったり、情報収集したりという活動にチャレンジしてみてください。

 

4. ラブライブ! における実在性とは?

 このイベントによって、Aqoursの「実在性」は、新たな次元に進んだと考えています。

 ラブライブ! シリーズは、現実にある地域を舞台にし、メンバーを演じる声優が実際にライブパフォーマンスを行うという共通の特徴があります。もちろんこれを満たす作品は他にもありますが、ラブライブ! シリーズはそれを通して「実在性」を非常に重視してきました。

 ここでいう実在性とは、実際にそこにいることを感じられることです。フィクションである物語と、現実世界を生きている自分自身が、誰かの働きかけによって繋がることができる状態が、実在性の確保されている状態です。ざっくり言えば「2.5次元」の一種なのですが、それには2つのアプローチがあります。2次元の存在が3次元にやってくることと、3次元の存在が2次元に行くことです。ライブイベントであれば、キャストが自らの身体にメンバーを「降ろす」ところを見ることができ、2次元のメンバーがこの世界にやってくる体験ができます。逆に、我々3次元の人間が物語の世界に行ける体験が、『体験する物語』です。

 「世界」には「住人」がいます。「住人」は、「世界」を語り、動きます。その語りと動きを鋳型にして、その場にいないAqoursが浮かび上がるというのが、新しい実在性の形です。ここではスクールアイドルも一般生徒も、同じく一つの学校の生徒で、友達であったり、部活の先輩後輩であったりします。

 私たちは、ライブ以外の形でスクールアイドルを感じたいとき、聖地巡礼という形をとってきました。秋葉原に、沼津に、函館に、お台場に、原宿に、あるいは神津島に、読者の方の中にも足を運んだ方はいらっしゃると思います。そこで生活している人々や、遊びに来ているラブライバー以外の人々を見て、そこからスクールアイドルや、それに関わる人々の姿を想像してきたと思います。まさにその部分を切り取って詰め込んだイベントが『ぬまづフェス』です。Aqoursに誘われて沼津へ行き、沼津の素晴らしさを知った他の参加者とも、直接、あるいは『沼津展示』などを通して間接的に交流することができ、行った後に沼津に行きたくなることも間違いないと思います。本物の沼津は年中無休ですし、残りの公演日程にスケジュールが合わない方はぜひとも本物の沼津に行くことも検討してみてはいかがでしょうか

 

2022. 6. 17追記

☆このフェスのストーリー部分などについて、後日談的な記事ができました! ぜひこちらもお付き合いください。

carat8008.hateblo.jp

 

*1:「リアル脱獄ゲーム」ではない

*2:劇中では一貫して「東京」と呼ばれている。よみうりランドの本部は東京都にあるので、間違いではない

*3:推し