命名、ハネジロー
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HANE2改めハネジローとともに地球を守るGUTS-SELECTの次なる戦いの舞台は「温泉」でした。シリーズものの単発回は、縦軸と関係ない要素がキャラクターやストーリーとうまくかみ合うと、とても面白くなります。今回は、「温泉」を様々に生かし、モンスアーガーの新設定もきらりと光る回になっていました。
1. 個性的復活怪獣・モンスアーガー
破壊獣モンスアーガーは、『ダイナ』の登場怪獣で、25年ぶりの復活でした。過去の怪獣と新作の同名怪獣をもっとも差別化するものは、設定です。強さやインパクトでは、どうしても初代が一番になってしまうものです。その意味で、『デッカー』のモンスアーガーは、とても個性的でした。
カプセルから発せられた音声をGUTS-SELECTが解析した結果、驚くべき事実が明かされました。モンスアーガーはメラニー遊星人が宇宙で販売している怪獣で、邪魔な文明を滅ぼすための、いわば「害虫駆除」の道具だったのです。1,300年前に地球に落ちてきて、眠り続けていたものが、人類が宇宙に進出し、駆除対象になったので目覚めたようです。モンスアーガーが落ちてきた地点であるユノハナ温泉では、地中に埋まったカプセル*1を「阿賀大明神」と呼んで祀っていました。
高い攻撃力とロンズデーライト*2からなる攻撃を寄せ付けない硬い表皮、そして弱点の頭のお皿という特徴は『ダイナ』から受け継がれています。バラエティ豊かな設定、そして申し分ない実力の両方が揃ってこそ輝くのが怪獣だと思います。
2. 地の利を活かしたバトル
印象に残るドラマや、新しい武器やフォームによってストーリーを彩るのもよいのですが、もう一つ、回を特徴づける要素があります。その戦いが行われている場所と、そこでしか見られない戦いを描くことです。戦いのフィールドといえば、市街地や山、空中、宇宙の小惑星など、いろいろありますが、今回は「温泉」です。であれば、温泉のお湯を使ったストーリーや作戦が、この回を特徴づけることになります。
まずは止まってしまった温泉の掘削ドリルが、モンスアーガーのカプセルを掘り当ててしまいます。町長*3はスフィアが原因なのではないかと予想しますが、むしろモンスアーガー起動が原因ではないかという気もします。モンスアーガーが出現したことで、逆にあちこちから湯が噴き出してきました。
GUTS-SELECTは手を尽くしてモンスアーガーを解析します。GUTS-SELECTの技術力には、ヒジリ夫妻が活躍していた頃からは20年近い蓄積があります。その結果、先述の言語を解読することができました。また、ハネジローは身体の構成や弱点を解析しました。
そして、ガッツホークの出力が低下し、決め手に欠けたハネジローは、温泉の湯脈の解析にも手を出しました。間歇泉の圧力で、離陸できないガッツファルコンを起動することができると踏んだのです。間歇泉は、かつてのユノハナ温泉の名物でした。それにより、ガッツホークはガッツファルコンと合体、ガッツグリフォンとなって、モンスアーガーの撃破に成功しました。
3. 一か八か
冒頭の訓練は、作戦を無視した突撃でカナタが「死んで」しまい、失敗に終わります。その直感的で短絡的な行動を、ハネジローに批判されてしまいます。しかし、ぶっつけ本番のガッツグリフォンへの合体は、ハネジローの「一か八か」の決断によるものでした。
ハネジローは、カナタの言うような「気合」でそれを実行したわけではありません。無茶な作戦でありながら、0.01%でも勝率の高い方を選択したのです。当たる「一か八か」は計算高いとでもいえるでしょうか。
人間とコンピュータの思考は全く異なります。しかし、ハネジローがこの決断を下せたのは、ハネジローに恐怖や不安の感情がなかったからでしょう。きっと人並みに怖いながらも気合でそれを乗り越えているカナタとは、似ているようで少し違うかもしれません。
ところで、訓練で変身しようとしてしまったカナタもそうですが、デッカーとの通信が漏れてしまっていたハネジローも、もしかするとウルトラマンという「人間を超えた力」を扱いかねているのかもしれません。ハネジローのカナタに対する理解度も、これからといえます、イチカとリュウモンを誤魔化すための声真似も、かなり大根役者でした。また、初合体も、結果的にメインパイロットのカナタ抜きになってしまいました。
ハネジローはせっかくウルトラマンと意思疎通ができる存在なので、カナタと一緒に成長していくことに期待したいですね。
