普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

上から来る新星と止まらない勝利の星と学校の希望の星 ~ラブライブ! スーパースター!! 第2期感想週報③『優勝候補』~

 前回のラストに登場した新キャラクターが、『代々木スクールアイドルフェスティバル』でヴェールを脱ぎました。

 その名はウィーン・マルガレーテ。突出した実力を持つ中学3年生です。何を思ってかのんに接近したのでしょうか?

 

新キャラクターの正体が判明

carat8008.hateblo.jp

『スーパースター!!』でも "領域展開"
(『ラブライブ! スーパースター!!』第2期第3話『優勝候補』より/
©2022 プロジェクトラブライブ! スーパースター!!/配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=F6u5ggoCdKY)

 

1. ウィーン・マルガレーテ

 今年も開催された『代々木スクールアイドルフェスティバル』(昨年も述べたとおり、本家とは性質の異なるイベントですが、同名のイベントにちなみ、本稿では「YSIF」と呼称します)。新人スクールアイドルの登竜門にもなっているこのイベントには、かのんと可可は2度目の出場でしたが、Liella! としては初参加となりました。イベントのトリという重責を背負い、ステージに立ちました。

 このイベントで、ウィーンは電撃的なデビューを果たします。たった一人で圧倒的な実力を見せつけ、ラブライブ! 優勝候補と噂されるLiella! を余裕で下し、初戦にして勝利を収めました。かのんに対しては、一人でいる時だけを狙い (神出鬼没で、公園のシーンでは千砂都が戻ってくるや否や退散していました)、常に上から (物理) マウントを取り、地雷も踏み抜いていく (「歌ってみてよ。できないの?」) というかなり腹立たしい挑発を繰り返してきました。どうやらスクールアイドルやLiella! のこともうわべでしか理解していないような口ぶりですが、かのんの「歌の」実力は認めており、何を求めてスクールアイドルになったのか、ひどく気になってしまいます。

 ウィーンの『Butterfly Wing』のライブシーンには、『スーパースター!!』では珍しい演出が採用されました。Liella! のライブシーンではライブ会場の様子が写実的に描かれることが多いですが、ウィーンのときは上下左右に輝く蝶の羽根や、機械時計のモチーフが出現し、世界がウィーンの色に染められていました。『虹ヶ咲』ではおなじみの演出*1です。ソロアイドルなのも相まって『虹ヶ咲』を思い出してしまいます。

 実はLiella! のライブシーンでもこの演出が使われたことがあります。1話の『Welcome to 僕らのセカイ』では、可愛らしいアニメーションの中でLiella! 1期生の5人が踊っていました。これは、きな子から見たLiella! を意味しています。なぜ『虹ヶ咲』でこの演出が多かったかと言えば、侑や、ライブを見ている人に見えている世界の表現だったからです。ウィーンの場合は、かのんに見せた光景があのビジョンだったというわけです。

 ところで、なぜこのイベントが「スクールアイドルフェスティバル」を名乗っているかについて、ウィーンの出場が鍵を握っているかもしれません。まだ高校に入学していない少女の出演が認められる程度に自由度の高い大会であることを意味しているからです。その目的は"本家"とは違って若い実力の発掘にありそうですが、様々に「特別賞」が用意されていることを考えても、No.1を決めるだけでなく広く才能を評価したいという趣旨の大会であるように思われます。

 完全に余談ですが、どれほど意識してのことか、ウィーンには、ニジガクメンバー、特にR3BIRTHメンバーを思わせる設定や描写がいくつか見て取れました。

・固有のイメージ演出で機械時計が出現する

・14歳で海外出身

・海外出身で、一人で観客を釘付けにするパフォーマンス力があり、主人公と対立姿勢を示す

・姓の「マルガレーテ」は"Margaret"のドイツ語読み

・ソロ曲タイトルが『"Butterfly" Wing』

 

2. 優勝してもチャレンジャー

 ライバルといえば、今年もSunny Passion (以下、サニパ) が登場します。サニパは、今年が3年生。2年前からラブライブ! に挑戦して昨年優勝を収め、今年は最後の挑戦となります。そのサニパですが、今年はYSIFには出演しませんでした。これは学園祭ライブに全力を挙げるためです。学校と島を愛するスクールアイドルであるサニパは、「ホームアイドル」としての性格をますます強めています。放送当日、沼津では花火大会が開催されており、地元のTV番組にAqoursが出演していました。このように、ラブライブ! 優勝者*2は、地元にとって宝であり、地元にその輝きを還元することのもつ意味合いは大きなものです。

 とはいえ、サニパは優勝して満足しているわけではありません。サニパが今年目指すのは、「史上初」の連覇です。毎年たくさんの新しいスクールアイドルが生まれ、既存のスクールアイドルはメンバーが卒業していく中、ラブライブ! 覇者であっても翌年も頂点に君臨し続けるということは、極めて困難なようです。サニパはどこかAqoursに重ね合わせたくなる要素をいくつか持っていますが、現役を続け、新境地を切り拓き続ける現実世界のAqoursにも似た強気の決意表明です。

 ところで、かのんが悠奈たちに「Liella! のどこに心が躍ったのか」という質問をする直前、悠奈が「こいの話?」と言っていましたが、「スクールアイドルにときめく気持ち」=「恋心」という「スノハレ理論」(当ブログ参照) が、アニメにも反映された台詞でした。

 

3. 中心に輝く星

 強いライバルがひしめく中、Liella! はYSIFでの勝利を逃してしまいました。そのLiella! の立ち位置について考える前に、リーダーであるかのん*3の様子について語りたいと思います。

 YSIFの前、かのんは「みんなで喜ぶには勝つしかない」けれど、それが楽しいと語っていました。サニパの挑戦を続ける意志や、きな子のひたむきな態度が、かのんの気持ちをより強くさせたのだと思いますが、このような、純粋な光のような眩しいことを平然と言うのが、本来のかのんです。1話のときも同じようなことを書きました。サニパとの会話でも、自分たちとぶつかることになるにもかかわらず、サニパの連覇への挑戦を応援すると豪語しており、幼い頃のかのんを見ているようです。まさに、それでこそ千砂都が愛したかのんです。

 ところが、歌えないという最悪の状況は昨年脱することができたものの、プレッシャーに弱いという弱点は変わらないもので、それもかのんの無視することはできない一面です。負けて悔しがるだけでなく、ナナミたちに気を遣わせてしまったと、申し訳なさそうに応援してくれた生徒たちのことを気にします。

 しかし、当のナナミたち結ヶ丘の生徒は、意に介していませんでした。Liella! はいつどんなときも、学校のスーパースターだからです。残念ながら、SIFで盛り上がり、学校全体のレベルが引き上げられた虹ヶ咲のようには、まだ駆け出しの学校である結ヶ丘は実績を生み出してはいません。しかし、これは予感ではなく確信ですが、これからそうなっていくのです。Liella! が先頭を走り、それを追いかける学校の生徒たちにとって、Liella! のことも、学校のことも大切な存在になってきています。これは、Liella! も前回、自分を貫いておいてよかったのではないでしょうか。

 新曲『Go!! リスタート』のフォーメーションは、誰かがセンターではなく、センターステージで円形に並ぶ形でした。かのんは「センターは無し」という表現を使っていましたが、この形ではLiella! は学校の生徒全員の方を向くことができます。目が合って力を貰うこともできれば、ファンサもし放題です。Liella! が学校を結ぶ中心的存在になっていることを象徴するものでした。

 

 ニジガクのソロアイドルを思わせるウィーン。

 Aqoursの「地元愛」と「チャレンジャー」を思わせるサニパ。

 そして、自由を願って姿を消した伝説の一番星、μ'sを思わせる神宮音楽学校のスクールアイドルの直接の後継者、Liella!。

 三つ巴の戦い*4が幕を開けます。

*1:某人気漫画にちなんで「領域展開」とも

*2:ここでは意図的に作中と現実を混同している

*3:推し

*4:ただし、ウィーンは来年高校に進学して、Liella! に加入する可能性もある。未来は誰にもわからない