普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

突然の裏切りと未来からの使者 ~ウルトラマンデッカー感想週報⑭『魔神誕生』~

「デッカー」とは何なのか、後編で明かされる?

carat8008.hateblo.jp

 後半戦1発目です。衝撃に次ぐ衝撃展開。私としては、やはりこの怪獣を好きにならないわけにはいきませんでした。

 まずは「魔神」の話をして、その使い手について考察していきます。

それでこそ魔神
 (『ウルトラマンデッカー』第14話『魔神誕生』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=QMu81dw0pmg)

 

1. テラフェイザーの覚醒

 ひたすらな、絶望的な強さ。これこそが、私がロボット怪獣に、ひいては電脳魔神の後継に求めたものです。もちろん、先月までのヒーローとしての活躍もわくわくするものではありましたが……。

 クローアームでウルトラマンの首根っこを拘束する姿も、自慢のTRメガバスターも、「一推し」デスフェイサーを彷彿とさせるものでした。そもそも、私が大人になってウルトラマンにはまったきっかけも、『オーブ』13話を見た直後、続く14・15話に登場したギャラクトロンにその面影を認めたからだったような気もします。

 その待望の凶悪兵器を操るのは、アサカゲ博士改めバズド星人アガムス*1です。

 

2. アサカゲの野望

「花…木…空…風…雲…太陽…虹…海…浜辺…森…石…砂…大地…」

 TPUに潜入して自らの野望のための兵器を作っていたアガムス。カナタたちへの好意的な接触も、全部演技だったのだとしたら、何も信じられなくなってしまいます。もっとも、TPUは8年前にもザビルの、あろうことかGUTS-SELECTの隊長としての潜入を許しているので、これは人類側の失点でもありますが……。

 それ自体が全く予期せぬサプライズでもあり、とんでもないことでもありますが、そうなるとこれまでのアサカゲとしてのアガムスの言動の一つ一つが気になります。何よりもテラフェイザーの初登場回である11話で命懸けでテラフェイザーを守ろうとしていたアサカゲの真意が、これで完全に分かったことになります。一見GUTS-SELECTと連係プレイをしているようで、GUTS-SELECTを利用していたということになってしまいます。

 彼が自然の美しいものをいくつも挙げたことからすると、彼にも守りたいものがあったのでしょう。それがなぜ、デッカーの排除、地球人との敵対という結果になってしまったのか気になります。次章でも少し予想したいと思います。

 

3. アガムスとレリア、そしてデッカー

 サプライズは突然の裏切りだけではありませんでした。

 銀河の彼方から謎の男が現れ、アガムスを止めようとします。その声は、カナタが聞いたことのある声でした。そして、いつのまにかDフラッシャーはカナタからその男の手に移り、その男がウルトラマンデッカーに変身してしまいました。その戦い方はカナタのものと全く違い、正体を知らないながらデッカーの戦いをよく見ていたリュウモンも異変に気づいていました。

 カナタが聞いた声は、カナタにしか聞こえなかったデッカーのものに違いありません。ということは、この男が本来のデッカーだったということになります。以後、デッカー (仮) と呼称します。一方、アガムスがカナタを「この時代の」デッカーと呼んでいることから、アガムスは星が違うだけでなく別の時代から来たことがわかります。『トリガー』ならばそれは超古代ですが、地球がスフィアに飲み込まれることを知っていたことや、その出で立ちから、アガムスは未来人であることが予想できます。だとすれば、地球が滅びる運命にあることを知りながら、様々な開発を急いでいたことになりますし、3話でムラホシ隊長が未熟な新人の起用に疑問を持ったアサカゲに対して「未来のことに備えておくべきだ」と答えたことに、思うところがあったに違いありません。

 では、アガムスとデッカー (仮) はなぜ対立していたのでしょうか。12話でアサカゲは「当てのない善意は逆に人を傷つけることもある」という発言をしていました。今となっては、アガムス自身、過去 (未来!) に当てのない善意によって傷つけられたことがあったと予想できます。その当てのない善意とは、おそらくデッカー (仮) のものですし、それがデッカー (仮) の言っていた「レリア」という人物と関係あるのでしょう。「レリア」は、デッカー (仮) が救えなかった妻か子どもではないかと、私は予想します。アガムスにとって大切な人なら誰でも可能性はあるのですが、後述するようにアガムス役の小柳友さんはウルトラマンゼロになったことがあるので、同じゼロになったタイガ ノゾム (両親を怪獣とダイナの戦いで失った) やレイト (大切な妻子がいる) の要素を想像してしまいます。未来のバズド星に地球を滅ぼしたスフィアが襲来して、そのような事件が起きたのだと考えられます。この地球がスフィアに襲撃され、デッカーがやってくることを知っていて、その前の時代に遡って暗躍すると同時に、カナタには自分の知るデッカーのようになってほしくなくてそのようなことを言ったのかもしれません。

 

4. 余談

 さて、今回はカナタのデッカーとデッカー (仮) の両方がウインダムを使用しましたが、OPのウインダム役のスーツアクター「瀬名日出樹」と表記されていました。しかし、これはスーツアクターの名前ではなく、デッカー役 (というより、歴代主人公ウルトラマン役) で活躍している岩田栄慶さんが『ジード』で演じた*2シャドー星人ゼナの地球人としての通名なのです。

 本人からこれが自分自身であるという旨の発言がなされています。

 先程、小柳さんがウルトラマンゼロになったことがあると書きましたが、この時、ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国でゼロに変身するランの弟であるナオを演じていたのが、幼い頃の濱田龍臣さんでした。そう、後の朝倉リク/ウルトラマンジード役です。ベリアルの息子でありながらウルトラマンとしての道を選び取ったジードと、スフィアと戦うはずの存在でありながら、ウルトラマンと敵対してしまったアガムスはある意味対照的です。苗字も「アサクラ」と「アサカゲ」でどこか似ているような気もします。偶然かもしれませんが、やるべくしてやった『ジード』ネタのように感じました。

 

 敵になったテラフェイザー

 未来からウルトラマンと人類に仇なすアガムス。

 カナタから変身能力を取り上げてしまったデッカー (仮)。

 予告に後姿を見せたウルトラマンダイナ。

 ご唱和ください。

「どうなっちゃうの~!?」

*1:本編でその名は明かされず、公式サイトで紹介

*2:もちろん、同時にウルトラマンジードのスーツアクターもやっている