普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

繋がる声と声、結ばれる想い Liella! 3rd LoveLive! Tour 埼玉公演Day2感想

ついにLiella! もベルーナドームに来た

 2022年12月、私はラブライブ! スーパースター!! Liella! 3rd LoveLive! Tour ~WE WILL!!~』愛知公演Day2に参加していました。宮城から3ヶ月をかけて7都市14公演を回るこのツアーのゴールは、埼玉県となっていました。

愛知公演の感想

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 その千穐楽にあたる、3月5日 (日) の埼玉公演Day2にも参加することができました。ツアーの最後にして「初めて」要素満載のこのライブでは、Liella! キャストとして活動してきた9人のたくさんの想いに触れることが叶いました。唯一無二のスクールアイドルとして、正解のない問題に何度も立ち向かってきたことが、いかに私たちを勇気づけてきたか、改めて確認するに至りました。

 今回は、本編のセットリストが愛知Day2と完全に同じなので、「全曲感想」の扱いとはせず、ドームやツアーファイナル特有の事情や、声出しや演出の変化がどうだったかを中心に書いていきたいと思います。

 

 

1. 初めてづくしのライブ

 今回の会場は、もはやラブライブ! ではおなじみのベルーナドーム (西武ドーム)Aqoursは4回8公演、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会も2公演を実施していますが、Liella! にとっては、初めてのドーム公演となりました。

 また、2月からラブライブ! シリーズでは観客の声援が可能なライブが再開されています。Liella! は『オダイバ!! 超次元音楽祭』で結成以来初めての声援を経験しましたが、ワンマンライブでは今回が初めてとなりました。東京公演以前と同様のセットリストで、声援があるのとないのでどう違うか、キャストもファンもよく理解できたのではないでしょうか。

 シリーズとして初めての要素もありました。ご存じの通り、複数枚のチケットを「連番」で購入できるシステムがありますが、今回は連番で購入可能な枚数が通常の2枚ではなく、なんと4枚に増えました。席数に余裕のあるベルーナドームならではの試みです。私も、今回は4連番のチケットを入手していました。2ndライブ横浜公演で集結したあの5人組です。今回は1名は来ることができませんでしたが、客席で横にずらりと見知った顔が並ぶ光景は新鮮なものでした。クレジットカードで5万円近い決済がなされたときは面食らいましたが、同時にえもいわれぬ高揚感がありました。

いつか5連番も可能にしてほしい

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2. 9つの星を結んで

西武線のスタンプラリー

 ベルーナドーム*1での3rdライブといえば、Aqoursもアニメ2期に準拠したライブを行いました。このとき、系列企業でドームへの観客輸送を担当する西武鉄道では、9人のスタンプを線内各駅に設置したスタンプラリーを開催していました。Aqoursのスタンプラリーは2ndライブと『スクフェスAC』コラボイベントでも行われましたが、今回、Liella! のスタンプラリーも開催されることになりました。

 私は練馬駅 (可可) からスタンプを集め始めました。池袋線狭山線には1期生、新宿線には2期生のスタンプが配置されていました。千砂都のスタンプが設置されている大泉学園駅には、『銀河鉄道999』の装飾が各所になされています。原作者の松本零士さんは、先月2月13日 (月) に亡くなるまで、大泉に住んでいたとのことです。私たちも西武線に乗って、Liella! という煌めく星々を目指して旅を続けていきました。

 このスタンプラリーは、終演後4月2日 (日) まで開催予定です。

 14時過ぎに会場に着きました。しばらくライブ会場でも見られなかった、キッチンカーやドーム内の飲食販売が再開されていて、感動しました。私たちは満腹だったので利用しませんでしたが、これは会場内で熱々のたこ焼きが食べられるということです。

 ベルーナドームではフラワースタンドが駐車場に並べられます。今回は見たことがないほど多数のフラスタが並べられ、駐車場の2辺をも埋め尽くしていました。ファンの情熱とセンスを感じる、ライブ前の欠かせない鑑賞時間です。

 14時台の間でも、急激に人が増えてきました。ベルーナドーム公演なら、最低でも開演90分前の来場がマストで、できれば120分前くらいがちょうど良いと思います。

ベルーナドーム」になって初めて開催されたのはラブライブ!

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 入場した席は、三塁スタンドの下の方でした。見づらい席ではありませんが、なぜか西武ドームではこれまでもアリーナに行けたことがありません。ここからではキャストの表情までは見えないので、モニターを確認しながらの鑑賞となりました。

 

3. ベルーナドームという極限状態

 『ユニゾン』が流れ終わり、Liella! が登場します。『WE WILL!!』を歌いだすのですが、どうも様子が変です。Liella! の9人の声は、どこか震えているように聞こえました。ベルーナドームの音質の悪さを差し引いても、違和感がありました。まるで、ベルーナドームの「空気」に押し負けているかのようでした。ドームの収容率はおそらく50%を下回るくらいで、つまり観衆は約2万人いることになります。満員には程遠いものの、Liella! にとっては今まで相手にしたことがない多数の観衆です。人の数だけでなく、悪い音質、寒さ、先輩たちが使った会場という重圧など、この会場で戦わなければならない相手はたくさんありました。

 各グループの声出し復活公演に参加してきましたが、特に楽しいものの1つがコール&レスポンスです。Liella! では、この公演で初めて本来の形でのコーレスが実現しました。特に、かのんのそれは皆で『だいすきのうた』を合唱するという、この上なく楽しいものでした。キャストの皆さんも、この時間を思う存分に楽しんでいました。可可のコーレスが変則になり、会場にウェーブを起こしたり、ここでしか見られない光と声の呼応が起きていました。

 そのような楽しい一面はありますが、やはりこの巨大な会場、大勢の観衆に囲まれてパフォーマンスをしなければならないことは、人間にとってある種の「極限状態」だと思います。Liella! が『Welcome to 僕らのセカイ』を終えると、ウィーン・マルガレーテ役・結那さんが登場しました。その「極限状態」にあって、結那さんは一見、それをものともしていないように見えました。知らない国にたった一人でやってきて孤独に戦っていたマルガレーテのことです。それを思えばこそ、ベルーナドームの重圧をはねのけられるのでしょうか。

 それに対するLiella! の『Go!! リスタート』は、センターステージの良さを最大限に引き出す曲です。Aichi Sky Expoでは、学校の体育館のようなフラットな施設で、この曲の披露された場面が完全再現されていました。その一方で、会場自体が丸く、遥かに多くの光に囲まれるドームのセンターステージにも、他に代えがたい良さがあると思います。ぐるぐると回ってきて、次々に楽しませてくれるメンバーに、遠くても大満足していました。

 

4. みんなで楽しみ、解けていく

 『リエラのうた2』パートの組み合わせは、各公演で基本的に同じだったようです。つまり、私が前に観たのもDay2なので、同じ『プライム・アドベンチャー』『エンドレスサーキット』『駆けるメリーゴーランド』を聴くことになりました。

 『エンドレスサーキット』では、可可とすみれがゴーカートに乗って勝負するのですが、それをLiyuuさんとペイトン尚未さんはトロッコで再現します。愛知の時点でかなり速く動いていたトロッコは、ベルーナドームではさらにスピードを出して暴走していました。私の席からはトロッコを動かすスタッフの姿も見えたのですが、もはやダッシュしていました。

 アニメ映像を挟んで『ビタミンSUMMER!』から『Chance Day, Chance Way!』までは、声出しになってとにかく楽しいパートでした。ところが、イメージしていたように声が出せません。会場にいたたくさんのファンも、思うように声が出せていないように見えました。Liella! のファンは大人しいのですが、これは初めてのライブから直前の東京公演まで一度も声援を贈ることができていなかったからで、仕方のないことです。事情は、ファンがかねてより声出しに慣れていてすぐに感覚を取り戻せたAqoursとも、初めての声出し公演がちょうど楠木さん引退公演に当たり、今まで我慢してきたものが爆発したニジガクとも異なっています。もしかすると、声出しが怖いという感情が私たちにもあったのではないでしょうか。それは感染症のことや、周りへの配慮のことだけでなく、どれほど声を出すことが「許されて」いるのか、逆に声を出さなければならないのか、どうしたら自分の気持ちを声援で表現できるのかという部分も含みます。キャストが空気に負けている、などと失礼なことを考えていましたが、私たちの方、少なくとも私こそ、「声出し公演」というものに負けてしまっていたのかもしれません。

 そんな中ではありますが、MCでキャストが水を飲むとき、私たちと一緒に飲もうということになりました。かのん役・伊達さゆりさんの音頭で、2万人で「乾杯」をしました。(確か) 夏美役・絵森彩さんからは、まさかの「お水おいしー?」返しがなされました。シリーズ初の声援再開公演での大西亜玖璃さんもそうでしたが、アイドル出身者の機転にはやはり盛り上げる力を感じます。盛り上がる曲で声が出せたことを歓び合い、会場の緊張も解けてきたような気がします。

声を届けられるのは素晴らしいこと

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5. 本当の歌 ~正解のないこの世界で~

 ベルーナドームが想像以上に真っ赤になった『揺らぐわ』、それに続く『色づいて透明』を経て、「ラブライブ! 編」に突入しました。先にパフォーマンスするのは結那さんです。この『エーデルシュタイン』で、結那さんは笑顔を浮かべていました。愛知以来、間の公演を全く観ていないのでわかりませんが、今までで一番の笑顔だったのではないでしょうか。後のMCでも、Liella! との出会いで心が解けていくマルガレーテを表現したかったと言っていました。本編の頃のマルガレーテは、観客に向けて微笑みかけるなどということは考えられなかったのですが、私には、結那さんが背負っているマルガレーテがいち早く、ベルーナドームとその観客たちを味方に付けたように見えました。「合わせ鏡」の演出にも愛知の時のような恐怖は感じませんでした。この2公演で最も印象が変わった曲の1つです。

 満を持してLiella! が登場しました。『Sing! Shine! Smile!』から『私のSymphony』までの3曲には、基本的に合いの手といったものは入りません。それができない時代でも、演者とファンが目と目で心を通わせ、魂同士で触れ合うことができるように作られた曲であり、セトリであるからです。

 Liella! の名誉のために言っておくと、ベルーナドームの真ん中で歌うLiella! が不安そうに見えたのは、きっと私自身がLiella! のことを不安に感じていたからに他なりません。そのような不安な気持ちを吹っ切れさせてくれたのが、この3曲のパフォーマンスでした。

 この「本当の歌」を通して、私たちは顔が見えないほどの距離にいながら、見つめ合うことができました。ドームという未知の環境でキャストたちが数知れぬ工夫をし、努力したのは言うまでもありませんが、私たちもどのようにこの公演に参加して盛り上げようか、手探りで模索していました。そうした中で、私は開演前に考えていたことを思い出しました。

 Liella! のキャストたちは、実に様々な面で並外れた才能を持っています。特に恋役・青山なぎささんや、結那さんなどは、見た目よし・歌よし・ダンスよし・演技よし・ギャグさえもよしという、流石はミスコン出身というだけあって、特別な才能のデパートです。連番の1人は「人生が2周目のようだ」とまで言っていましたが、彼女たちは決して「強くてニューゲーム」などではありません。役者は、誰も答えを持っていない役の人生に、自分が失敗したらその人生に傷が付くというプレッシャーのもとで向き合い続けています。『ラブライブ! スーパースター!!』は、そんな役者の人生の物語にもスポットライトを当てるコンテンツですが、それは誰かが描いた物語ではなく、一人の人間が苦悩し、努力した結果に過ぎません。まさに、「なんでもできそうなあの子も いつも笑い絶やさないあの子も 迷いながら 戸惑いながら きっと夢をみてる」とか、「(いつも) ヒーローは誰よりも (強くて) 勇敢に描かれてたけど (たぶん) 揺れたり迷ったり (僕と) 同じなんじゃないのかな?」ということです。

 神ならぬ一人の人間が、そうやってこれほどのものを創り出していることは、なおのこと凄いのではないかと思ってしまいますが、人生に正解がないのは何も役者に限った話ではありません。私たちも、混沌とした時代の中で、安易な「正解」に縋らず、自分の力で進むことを求められています。私たちに必要なのは、未知に挑む不安や恐怖に打ち勝つため、誰かと気持ちを繋ぐことであり、それを可能にする「本当の歌」なのだと思います。音楽の学校だった結ヶ丘に普通科があるのは、きっとそのためでしょう。

 

6. かすかに聴こえた未来

 観客の気持ちも、だいぶ暖まってきました。そのせいか、幕間のアニメ映像には、そこかしこから好き勝手に合いの手が入り、笑いを誘っていました。

 ラブライブ! 決勝の楽曲、『未来の音が聴こえる』は、初めてアニメと同じ屋外で披露されました。今までの会場の中で、広さも音響も最も国立競技場 (劇中では神宮競技場) に近く、国立競技場での披露を想像するだけで泣きそうになってしまいました。1期の『Starlight Prologue』がそうであるように、この曲の真価はこれからできる、と前に書きましたが、少しだけ、その片鱗が見えてきた気がします。ただ、見えてきたからこそ、それが遥か遠くにあることも意識してしまいました。国立競技場ライブが開催されるまで、そして私もそれを見るまでは、終われません。

 曲の途中、モニターの上とステージ前方から花火が上がりました。今までの会場では見られなかった、ベルーナドームならではの豪華演出です。実はここまでにも、『スター宣言』の最後に花火が打ち上がったり、『揺らぐわ』で映像だけでなく本当に火が燃え上がったり、愛知の時よりも演出がダイナミックになっていました。

 アニメ準拠ライブの楽しみが、Liella! にも1つ加わる日が来ました。EDテーマを観客も一緒に皆で歌うというものです。ただ、私は『追いかける夢の先で』をフルで覚えてくることも、心の準備もできていなかったので、満足に歌うことができず、心残りになってしまいました。周囲を見てもあまり盛り上がっていなかったような気がします。Aqoursのライブでは、毎度大合唱が起きており、先日のEXTRAライブ (2023) <Valentine's> でも数年ぶりに歌うことができました。自戒を込めて、一緒に歌うのは楽しいということを皆様にお伝えしたいです。

 

7. Second Sparkle

 アンコールを叫ぶ時間です。皆様が気になっていたのは、「何と叫べばよいか」でしょう。拍手以外でLiella! を呼んだことはないのですから。結果として、「Liella! コール」が大多数となりながら、綺麗には揃っていませんでした。

 アンコールは、2期の発表からの振り返り映像から始まります。「バナナダンス」のシーンで、ステージの電飾を使ってバナナが踊っていたのには爆笑してしまいました。

 ところで、Liella! メンバーが点呼をするシーンで、絵森さんの「9!」のあとに「10!」をコールするファンがたくさんいますね。既に10人目の登場が決まっている中で、賛否両論*2ありますが、私はステージに上る9人への連帯を表明したいという気持ちには共感します。私は、「9」が聞こえたら拍手をしていました。言葉以外にも伝える方法があるというのは、コロナ禍の声援禁止ライブから学んだことです。

 今回は、新たに3rdツアーの様子も映像に追加されていました。舞台裏の様子も映りましたが、人から見えないところにもかかわらず、ネオンサインなどがあって、おしゃれな空間になっていたのが印象的でした。

 各公演の本番で披露されたさまざまな楽曲も流れ、コールできなかった過去の公演にコールできたのも良かったと、連番の1人は言っていました。

 大阪公演のLiyuuさんが「9人のLiella! はどうですか?」と問いかけた、MCの名場面も収録されていました。

 最後に、埼玉公演に向けたビデオメッセージが流れます。アンコールにかけてほしい声については、ここで答えのない問いと向き合い続けてきたキャストから、未知の声出し公演に参加したファンたちへの “ちょっとした” ヒント*3が与えられました。

 これを受け、ようやくLiella! コールが1つにまとまりました。Liella! ファンもやるときはやるのです。

 皆の声援を受けて現れたLiella! に、私たちは目と耳を疑いました。疾走感と綺麗さを兼ね備えたイントロ。そしてモノトーンにまとめられた衣装。

 発売前の『Second Sparkle』が特別に披露されました。

 5人のときとは全く違う新しさを感じるとともに、アニメ挿入歌との連続性があるからか、今のLiella! にとてもはまっているようにも思えました。これが、「9人のLiella!」としてのひとつの到達点です。その印象は、歌詞が正式に発表されたら、改めて証明されると思います。

 楽曲の「先行披露」は、ここ西武ドームで開催されたAqours 5thライブで『Jump up HIGH!!』が披露されたのが初めてとなります。長らくそれがただ1つの例でしたが、今年度に入ってからAqours 6th <WINDY> では完全未発表の『迷冥探偵ヨハネ』が、ニジガク5th <Next TOKIMEKI> では『永遠の一瞬』が披露されました。

歴史に残る「特別」なライブたち

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 短いMCの後、すぐに再び演奏が始まりました。この流れからすると、アンコールでかなりの曲数をやることが予想できます。ここからは、通常の3rdツアーの流れの中に千穐楽ならではの要素が交じるような曲順となっていました。まずは通常通り『水しぶきのサイン』です。とてもかっこいい『Second Sparkle』の衣装は、この曲では爽やかな印象に変わりました。モノトーンなので、違う曲をやれば印象は変わります。未来の衣装だけに、次の夏を予感させるものにも感じました。次に披露されたのは『ユニゾンでした。以前、私は3rdライブの中で、Liella! が過ぎていく時を切なく思うだけでなく、自分の「意志」で時間の道を進むようになるまでの物語が描かれていると書きました。しかし、1年目の『ユニゾン』が5人のLiella! 最後の曲だったように、9人のLiella! にも終わりが近づいています。この瞬間に馳せる想いは、1年前と重なります。ただし、これはファン投票で1位に輝いたことで選曲された楽曲なので、このように文脈が通じたのはファンの想いがうまくつながったから、要するに結果論ではあります。Day1では2位の『Shooting Voice!!』だったようです。

 『ユニゾン』でトロッコに乗り、ホームベース側にやってきたLiella! は、『Day1』で戻っていきました。これも、3rdライブの各公演で披露された曲です。

 

8. 結ばれて初めて響く言葉たち

 いよいよ、最後のMCです。最初に結那さんのトークがありました。先述した通りLiella! との出会いに感謝しつつ、「埼玉に咲いたマルガレーテ!」という「熱い」ダジャレ*4を披露していました。

 Liella! も、一人一言ずつ感想……と言いたいところですが、とても一言には収まらないほど、抱いていた目標、今まで苦悩してきたこと、そして今この場所に辿り着いた想いを全部話してくれました。9人の時間を合わせると、なんと合計55分 (『Day1』から『TO BE CONTINUED』までの合計時間は、約70分) にも上ったようです。

 絵森さんは、「私がLiella! でいいのか、ずっと悩み続けて、ようやく認められたのを感じられた」と。

 大熊さんは、「成長する寂しさの半面、自分が成長すれば四季はもっと成長してしまい、背中も見えなかった」と。

 薮島さんは、「既にレベルの高い1期生がさらに考え抜いてきた背中に学んで成長した。皆の力になれる自分になりたい」と。

 鈴原さんは、「いつも輝いているアイドルと自分をずっと比べていたけれど、自分がすでに誰かの力になれていたことに気づいて、いよいよ自分を信じられるようになった」と。

 青山さんは、「苦しむ恋を輝かせようと、ファンの声を恐れるほどになりながらもがいていた。助けようと必死だった恋に、ようやく背中を押してもらえるようになった」と。

 ペイトンさんは、「9人と1人、それぞれが悩みながらメンバーとキャストで『私』を追い求め続けて、今ここにいる」と。

 岬さんは、「自分らしくいられればいい」、そして、「2期生が来てくれてよかった」と。

 Liyuuさんは、「5人で声出しできなかったのは悔しいが、今はできるようになったのが素直に嬉しい。声出しができるまでのライブのことも忘れない」と。

 伊達さんは、「等身大だと思っていたかのんの成長が著しくて、追いかけるのに下手すると1期よりも苦しみ抜いた」と。そして、コロナ禍の制限下で始まったからこそ、幸せを一つ一つ噛み締めてきた」と。

 1時間の間、足や手は先端から冷えていきましたが、心と目頭は熱いままでした。

 そんな手足を温めようと、鈴原さんが提案したのが、なんと「バナナダンス」。振り返り映像で「バナナ」を拒否していたメンバーも含めLiella! 全員*5 と、会場の2万人でこれを踊ることになりました。MCをやるとどうしてもしんみりしてしまうところ、これでこの後の曲のパフォーマンスに向けて、会場のボルテージが復活しました。

 

 さて、「本当の歌」がもたらす魂の触れ合いに、言葉はいらないのだと、愛知公演のときに知りました。しかし、実際には、歌には歌詞があります。なぜ、畑亜貴さんや宮嶋淳子さんの歌詞が心を震わせるのか。Liella! の1時間にも及ぶMCが心を打つのか。一番最初の絵森さんも言っていましたが、目と目で、声と声で繋がった信頼関係があって、それに基づいた言葉が初めて力を持ち、他の何物でも伝えられない想いを伝えてくれるのだとわかりました。

 しかし、これほどのMCもSNS上では賛否両論を呼んでしまいます。青山さんのトークで、「恋が皆に嫌われるように」という演技指導がなされたことが、脚本の無理難題によって恋に対するあの当時の風当たりが生まれた、と捉えられたようです。私もあの当時は、恋がどうしてああなってしまったのか、この苦しみをどうやって打開するのか、ずっと考えていました。他でもないただ一人のキャストである青山さんが、恋をここまで連れてきてくれたことには、感謝しかありません。そもそも『ラブライブ! スーパースター!!』に限らず、演じるという行為は、自己の存在そのものに負荷をかけ、身を削るような、ある意味危険な仕事だと思っていますし、その苦労が誰か悪者のせいで生じた、意味のない苦労だったとは、私は思いたくありません。

 

9. 止まらない想い

 『TO BE CONTINUED』を歌い、Liella! は満場の歓声に見送られながら退場しました。3rdライブでは1人が残り、一言言うことになっているようですが、最後の最後を飾ったのはかのん = 伊達さんでした。これだけの苦悩の果てに「私、やっぱり歌が好きだ!」で締めたのは、3rdライブツアーの最後にふさわしい最高の言葉でした。

 が、会場の熱気は収まりません。気持ちの昂るままに、Liella! コールがドームいっぱいに響きます。私も驚きましたが、精一杯にLiella! を呼びました。

 ダブルアンコール実現です。今回は、ショートバージョンで『TO BE CONTINUED』が披露されました。Liella! の9人も、歌いながら歓びをいっぱいに叫んでいて、最高のダブルアンコールでした。

 ラブライブ! シリーズでのダブルアンコールは、史上5回目です。これも今年度に入って、Aqours 6th <WINDY> で『なんどだって約束!』、ニジガク5th <Next TOKIMEKI> で『Future Parade』と、よく見るようになりました。しかし、Liella! では当然初めてな上、先日のA・ZU・NAのように、ファンのコールがあっても実現しない場合もありますし、今でも特別中の特別であることに違いはありません。

 今度こそLiella! が退場し、会場が暗転すると、告知映像が流れ始めました。2本柱の1つが、『Liella! CLUB』の開設でした。『Aqours CLUB』と同様のオンラインファンクラブのようです。もう1つが、3期生が4月28日 (金) に発表されるというものでした。いよいよ、Liella! 最後の物語が幕を開けます。

 

10. 総括 ~夢を追う人間たち~

 今回、たくさん想いを語ってくれたこともあり、強く感じたのが、Liella! としてステージに立つ9人の、「人間」としての一面です。ステージに立っていないスタッフやクリエイターも間違いなくそうなのですが、まだこの世にないもの = 「夢」を創り出すために、あるいはまだこの世にいない、なりたい自分になるために、苦悩し、何度も挑戦し、辿り着けないと涙を流し、再び立ち上がってきたということが、何にも増して尊いのです。

 人生は、とりわけ何かを叶えようとする人にとってのそれは、正解など誰も知らないものです。自分がいま立っている場所すらわからず、暗闇の中で戸惑うようなものです。

 『スーパースター!!』の物語の中では、学校を立ち上げた人たちも、そしてその学校に最初に入ってきた1期生たちも、そのような状況に直面していました。そして、9人になったキャストも、初めてづくしのこの公演に際して、どうしてよいかわからないことがたくさんあったと思います。客として観る立場ではあったものの、ファンもそのような「産みの苦しみ」を少しだけ追体験できたかもしれません。推しへの想いの伝え方、ファン同士での歓びの分かち合い方などは、他の誰かを傷つけないための最低限のルールこそあれ、正解というものはありません。

 正解のないことは、怖いことではありますが、今回も最終的はLiella! の歌に癒され、力を貰って、Liella! とひとつになれました。繰り返しになりますが、必要なのは正解ではなく、それを自分の力で追いかけるための勇気です。

 またひとつ、歌の凄さを感じたツアー千穐楽でした。

 

セットリスト一覧

0. ユニゾン

1. WE WILL!!

2. スター宣言

MC

3. Welcome to 僕らのセカイ

4. Butterfly Wing

アニメ映像

5. Go!! リスタート

リエラのうた特別映像

6. プライム・アドベンチャー

7. エンドレスサーキット

8. 駆けるメリーゴーランド

アニメ映像

9. ビタミンSUMMER!

10. POP TALKING

11. ユートピアマジック

12. Chance Day, Chance Way!

 MC

13. 揺らぐわ

14. 色づいて透明

アニメ映像

15. エーデルシュタイン

16. Sing! Shine! Smile!

17. 名前呼びあうように

18. 私のSymphony

アニメ映像

19. 未来の音が聴こえる

MC

20. 追いかける夢の先で

アンコール

振り返り映像

21. Second Sparkle

MC

22. 水しぶきのサイン

23. ユニゾン

24. Day1

MC

25. TO BE CONTINUED

ダブルアンコール

26. TO BE CONTINUED

 

*1:当時はメットライフドーム

*2:9人しかいないAqoursのときも議論はあった

*3:実際には、まんま「Liella! Liella!」と言っていた

*4:3期で、マルガレーテがダジャレキャラにならなければいいが……(笑)

*5:Liyuuさんだけ結局踊らなかったが、「バナナ……バナナ……」と棒読みしていた