普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

歩む者、侑ける者 ~にじよん あにめーしょん感想週報⑪『侑と幼馴染』~

 『にじよん あにめーしょん』は3分アニメです。尺は短いですが、可能性は無限大だと、前回を通して知りました。

 

トキメキはここに

carat8008.hateblo.jp

 

 今回もまた、『虹ヶ咲』本編を観ているような濃厚な尊さ、そして3分アニメの尺に似合わないほど長い2人の時間を感じさせるものでした。

同じ距離、同じスピードで
 (『にじよん あにめーしょん』第11話『侑と幼馴染』より/©プロジェクトラブライブ!にじよん あにめーしょん/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=f3lC7F94u50)

 

 

1. 幼馴染にだけわかること

 侑と嵐珠の誘いを断った歩夢。嵐珠は嬉しそうな侑を見て不思議がっていましたが、歩夢がこつこつ努力するのが得意なのは昔からですし、それでいて昔とは違う表情を見せてくれるのも侑にとっては素晴らしいことで、侑は歩夢の全部が好きなのでこれは自然なことです。

 一方、同好会には嵐珠と栞子という、もう一組の幼馴染がいます。栞子は前にも年上であるはずの嵐珠のことを「手のかかる妹のよう」と言っていました。栞子は、嵐珠に振り回され、「目が離せない」とため息をつきながらも、嵐珠の面倒を見ることに満更でもなさそうです。もちろん、栞子にとって、実姉の薫子と見比べて「できる人とできない人がいる」、とコンプレックスの原因になってしまった側面もありますし、『スクスタ』でそうだったように、自分に余裕がないときに嵐珠を突き放してしまったことさえあります。それでも、栞子にとって嵐珠が憧れであり、同時に放っておけない存在であることに変わりはありません。

 他人にとって時に奇異に映ることもあるのが、愛情というものです。あるいは、当人たちにだけわかることこそが、その関係性を特別たらしめているのかもしれません。

 

2. 成長する喜び

 アニメ『虹ヶ咲』本編という、「目まぐるしい、でも楽しい」日々とは、侑と歩夢の関係が次々に変化していった時期でもありました。

 何に興味を示すでもなく、ただ2人でいればよかった2人は、スクールアイドル・優木せつ菜の存在に触れ、「アイドルとファン」に分かれます。アイドルになった歩夢は、アイドルとの関わりの中で侑が夢を見つけたことに、恐れを抱くようになりました。それと同時に、変わっていく自分自身が侑から離れていくことへの恐怖もあったと思います。その後、仲間が増えていくにつれて、夢を繋げる方法や広げる方法を知り、やがては「正面からよりも横顔」、つまり作曲コンクールや短期留学というより大きな挑戦に対して互いの背中を押せる関係になっていくのですが、侑の方はというと、歩夢の成長にたえず喜びを感じ続けていたと言ってもよいでしょう。だから歩夢の不安に気づかず、すれ違ったというのも確かなのですが……。

 『にじよん』6話で、せつ菜やミアを追い抜いて1位に躍り出た歩夢と覚しきゲームのアカウントに対して、「意外とこういうの得意」と笑っていた侑は、時間をかけて成長していく歩夢の一面をよく知っていたのです。以前侑は、歩夢のことを「表情がころころ変わって可愛い」と表現していました。その変化の中には、日進月歩の成長も含まれていると思います。昔から歩夢自身が自覚していないところで、歩夢ができないことをできるようになっていくところ見ていて、その度にときめいていた侑の姿が思い浮かびますね。

 侑が同好会のマネージャーとして、メンバーたちのことをよく見ているのは、ずっと見ていても楽しい歩夢が長年隣にいたことで培われた力なのかもしれません。一番よく見ている歩夢が1人でたくさん努力して、靴がボロボロになっているのも見逃しませんでした。きっと新しいシューズをプレゼントしたりするのだろうな、などと想像が捗ります。

 想像といえば、私は、皆でジョイポリスに行く話も流れてしまったのではないか、と考えています。歩夢が努力しているのを知れば、それに刺激されて負けじと頑張るのが「仲間でライバル」の同好会メンバーです。結局皆で練習することになるか、逆に歩夢のライブ後に盛大に遊びに行ったかもしれません。

 

 TVで放送されるのはあと1話です。次回も侑に関する話のようです。あいにくリアルタイムでは観られそうにありませんが、最後までニジガクらしさはぎっしり詰まっていると信じています。