
ニジガクを外から攻めるような『にじよん あにめーしょん2』ですが、5話は一見して普通の予告だと感じてしまいました。しかしそれは、私自身が長くニジガクを追いかけてきた証でもありました。その「普通」だと感じた部分は、つまるところ以前からのファンが懐かしいと感じる要素だったのです。
ただそれだけで幸せです
1. 腹黒系スクールアイドル
この回の前半は、誰にとっても懐かしいニジガクをとことん詰め込んでいます。
校舎裏でポーズの練習をするかすみを果林が見つけるシーンは、アニメ1期2話の歩夢と果林のシーンを、歩夢からかすみに置き換えただけです。この回はかすみの当番回で、かすみから課題を出された歩夢がポーズの研究をしていましたが、歩夢とかすみは努力家という部分では大いに共通しているので、このシーンは違和感がありません。
そもそもかすみと果林の組み合わせ自体が、分室活動時代からであり、その4コマ漫画を描いていたのが誰あろうミヤコヒトさんなのです。その最初期からかすみがお姉さんポジションの果林にいじられるという構図を確立していながら、かすみのキャラクター性が変わった分、少し味わいが変化していると思います。変わったというより、実際には掘り下げられ、どういう人物なのかが明示された過ぎないのかもしれません。
かすみの2つ名は、かつて「腹黒系スクールアイドル」でした。最初期の時点で、決して本当に悪いことを企んでいるスクールアイドルというわけではありませんでしたが、悪戯をしてライバルを蹴落とそうと口では言いつつ、実際には自分の幼稚さを創り、演出しようとしていたように見えます。その一方で、ネズミのおもちゃで人を怖がらせたり、有名ではありますが実際にやっているところが描かれたわけではない「靴をコッペパンに詰め」*1たりといった本格的な悪戯は、今ではほとんど鳴りを潜めています。今回最初に果林に突っ込まれていた通り、真っ当な努力や善行を悪だくみだと言い張るような、照れ隠しの目的で「腹黒」発言をするのが主になりました。
かすみにとって、ライバルよりも認められる自分を作るために、日々の努力を欠かさないことに加え、努力だけでは埋められない部分を埋めるのにこういった発言が役に立っているのではないでしょうか。「そんなことを言って、結局まじめに努力していて可愛いじゃん」という評価を引き出せているからです。真っ直ぐな「かっこいい」ではなく「かわいい」にするためには、ある種の屈折、つまりギャップが必要なのです。
ともあれ、昔のかすみと今のかすみの両方を感じる描写から、ニジガクの変遷と今を感じて懐かしい気持ちになれる、校舎裏のワンシーンでした。
2. ギャップ萌えの名手
先程少し触れかけましたが、私の信頼する人物が以前、「すべての萌えはギャップ萌えである」(ゆえに、「ギャップ萌え」とは「頭痛が痛い」ようなものである) という発言をしていました。本来の「小悪魔」という言葉からはかけ離れているような気がしますが、「そのことを隠そうとしているけれどこつこつ頑張っているかすみは可愛い」というのは、ある意味で可愛さを生み出している裏表ではあります。以前『にじよん あにめーしょん』1期の感想でも、可愛いとは意外性である、という話をしたところです。
その点で、果林の可愛さに隙はありません。最近は絶えず強調されているように、クールでセクシーと見せかけて抜けているところを度々垣間見せるお姉さん、というだけで既に可愛さが成立しています。それにしても勉強が苦手とか、パンダが好きとか、エマの前では赤ちゃん返りしているだとか、ギャップ側の要素が多すぎる気がしますが、果林の大人の魅力はどうやったってなくならないので、それぐらいして初めてつり合いが取れるのかもしれません。
今回の内容とはあまり関係ないものの、果林のギャップはそれだけではありません。「冷静沈着なようでいて実は負けず嫌いで熱血」という要素があります。冷静さも熱さも、かっこよさをつくる要素ではあるのですが、例えば一歩引いて構えたつもりで、頼りにしている人物にだけ本音を吐露するシーンなどは、いじらしさを感じられるものです。
2段構えのギャップ萌えの名手・果林にかすみが届く日は来るのでしょうか?
3. にじよんと作画
『にじよん あにめーしょん』には、1期から『ぼっち・ざ・ろっく!』などで活躍中のけろりらさんが参加しています。『にじよん』にとどまらず、劇場版ではついにメインのキャラクターデザインでも参加するそうです。それに伴ってか、各回のハイライトに当たるシーンでミヤコヒトさんのデフォルメ絵準拠ではなく、けろりらさんの等身絵に切り替わっています。
その点でいえば、仮に果林からオトナカワイイを学んだかすみのシーンで使われたのならまだしも、なんと寝起きの果林の場面でこの「作画解放」が実施されていました。ここでもメンバーの魅力は確かに引き出されているので、意表は突かれましたが違和感はありません。
『にじよん』を初期から描き続けてきたミヤコヒトさんのデザインも、今更ですが秀逸だと思います。デフォルメではありますが、メンバーの頭身や体形など特徴がかなり捉えられていると思います。それも人気の秘訣だと思うので、今後も『にじよん』が続くことを祈っています。