普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

ときめき、大爆発!! ~にじよん あにめーしょん2 感想週報⑪『同好会とビクトリーロード その3』~

可能性がセカイをトキメかせる
 (『にじよん あにめーしょん2』第11話『同好会とビクトリーロード その3』より/©プロジェクトラブライブ!にじよん あにめーしょん2)

 

 3度目の『同好会とビクトリーロード』です。もうええやろ、という気もするものの、前回不穏な引きで終わった以上、投げっぱなしでもいけません。

 

侑のスクールアイドルとしての一面

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これまでの『同好会とビクトリーロード』シリーズ

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1. 魔王の役

 「魔王歩夢」よりも魔王らしい最悪の魔王、「魔王しずく」が爆誕しました。生徒会室を占拠し、世界を滅ぼすことを宣言します。この「魔王」ですが、歩夢に取り憑いていたときとも少し様子が違うようです。彼方とエマから、世界を滅ぼせば物語や演劇も犠牲になると指摘を受けたしずくは、「魔王としての使命」を気にして躊躇します。魔王に取り憑かれた以上、魔王らしく振る舞おうと「頑張っている」のは、どうやらしずく自身のようです。思えば、くすぐりに弱かったのは歩夢の素の部分で、魔王の弱点を攻撃したわけではありませんでした。

 特にしずくの場合、素の自分に対する自信が未だに弱い部分があります。かすみに激励されるまでは演技で自信を繕っていたほどです。一般に、演技することのリスクとして、役に自分自身が乗っ取られてしまうということがあります。例えば、スパイとして忍び込んだ組織の思想に影響を受けたり、騙す相手に情が移ったりする例があると思います。演技者であっても、役の影響を受けやすい人は特に受けやすいもので、しずくも魔王に乗っ取られやすい体質だったと考えられます。

 

2. 高咲侑 ~「あなた」なるもの~

 ピンチに陥った同好会メンバーたちの元に現れたのは、たくさんの侑でした。と思いきや、現れたのは「たくさんのファンたち」という説明が。これは侑が脳内で想像している、新しいライブの演出案です。なので、イメージ上そうなっているだけではあるのですが、歩夢がたくさんの侑を前にして「エラベナイヨー」と言っていることから、彼女たちは正真正銘、皆高咲侑なのだとわかります。

 ところで、ついに歩夢が発言した「エラベナイヨー」という言葉の元になる「ヒトリダケナンテエラベナイヨー」は、たくさんのスクールアイドルの中から1人だけを選んで推すことなんかできない、みんなが一番だという意味です。正式に侑の台詞になったのは、『にじよん』1期1話のことでした。好きはいくつあっても構わないという言葉に対して、歩夢のそれは誰を選んでも侑であるという点で、似ているようで違います。降ってきた侑たちは色とりどりのペンライトを灯していて、それぞれ推しが違うようです。誰を推している可能性であっても、どんな「あなた」であっても構わない、侑は歩夢の幼馴染なのだという意味合いが込められています。

 元はと言えば、高咲侑とはたくさんの「あなた」の中のひとつの可能性なわけです。TVアニメ化に伴って、その可能性の1つに命が吹き込まれたのです。本来、ニジガクが好きなひとりひとりが「あなた」なのです。ニジガクが個性豊かだから誰にとっても推しメンバーが見つかるのと同じように、それだけたくさんの「あなた」がいるからこそ、スクールアイドルにとっては不完全な自分のことも受け入れてくれるファンがいます。歩夢にとってのみならず、誰にとっても「あなたがいるから私がいる」のです。

 「あなた」から始まり、ひとりのキャラクターとして花開き、ひいてはある種の「スクールアイドル」にもなった高咲侑は、この回でこうして「あなた」に還元されました。スクフェス2』などでは、プレイヤーと別個のキャラクターとして扱われさえしましたが、そんな時代も経て一周回ってきた感があります。そのことは、『アニガサキ』『にじよん』共々、アニメシリーズでは「ヒトリダケナンテエラベナイヨー!!」の逆輸入から始まり、度々強調されてきたことです。

 「天丼は2回まで」のセオリーを破って『繚乱! ビクトリーロード』が流れ出しました。この曲はまさにニジガクの個性爆発の象徴です。どんな個性も、受け入れてくれる誰かや、共鳴する誰かがいて、その誰かからまた誰かへとトキメキが伝わり、次々に花開いていくのです。次は、あなたの番です。

 TV最終回のサブタイトルは『仲間でライバル』。ところで、TVアニメ1期9話のタイトルも『仲間でライバル』で、完全に一致しています。つい先日発表されたLiella! CLUB特典の新曲名『アイコトバ!』が、ルビィの4曲目のソロ曲『アイコトバ』と被っている件が物議を醸しましたが、こちらも思わぬところで被りが発生します。さて、最後はどんな「爆発」が待っているのでしょう?