
2月2日 (日)、『LoveLive! Series Asia Tour 2024 ~みんなで叶える物語~』横浜公演DAY2に参加してきました。史上初めて、μ’sから蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブまでの5作品5校が出揃う合同ライブが開催されました。
このライブ全体を通して感じたことは、合同ライブで1グループあたりの曲数はそれぞれ5曲程度でありながら、各グループのワンマンライブの楽しさが再現されていたということです。そこで、それぞれのワンマンライブのことを思い出しながら、各作品にありそうなワンマンライブのサブタイトルを付けつつ、感想を書いていこうと思います。
- セットリスト一覧
- 1. 集結の場所、横浜
- 2. ようこそラブライブ! の殿堂へ
- 3. Liella! 5.5th LoveLive! ~Way to Second Sparkle~
- 4. Aqours EXTRA LoveLive! 2025 ~Our Era, Our Sunshine~
- 6. 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 7.5th Live! ~虹が繋がる場所~
- 7. 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 3.5th Live Dream ~TRY TRI TRI UNITY!!!!~
- 8. μ's 14th Anniversary LoveLive! ~μ'sic goes on~
- 9. 総括
セットリスト一覧
1. 僕らは今のなかで [μ]
2. 青空Jumping Heart [A]
3. 虹色Passions! [虹]
4. START!! True dreams [L]
5. Bloom the smile, Bloom the dream! [蓮]
MC
6. Let’s be ONE [L]
7. 青春HOPPERS [L]
MC
8. Starlight Prologue [L]
9. Second Sparkle [L]
10. TO BE CONTINUED [L]
11. 水しぶきのサイン [L×果林・せつ菜・エマ]
12. On your mark [さやか・梢・吟子×歩夢・しずく・璃奈]
13. 恋になりたいAQUARIUM [A]
14. KU-RU-KU-RU Cruller! [A]
MC
15. 未来の僕らは知ってるよ [A]
16. 幻日ミステリウム [A]
17. ユメ語るよりユメ歌おう [A]
18. Hop! Stop? Nonstop! [A×綴理・瑠璃乃・姫芽]
19. 繚乱! ビクトリーロード [虹×A×かのん・きな子・マルガレーテ×花帆・慈・小鈴]
20. Just Believe!!! [虹]
21. DIVE! [せつ菜]
22. Rise Up High! [しずく]
23. ツナガルコネクト [璃奈]
24. VIVID WORLD [果林]
25. Cara Tesoro [エマ]
26. Awakening Promise [歩夢]
MC
27. 未来ハーモニー [虹]
28. NEO SKY, NEO MAP! [虹]
MC
29. 愛♡スクリ~ム! [ASR]
幕間
30. Now or Never [蓮]
MC
31. 水彩世界 [スリブ]
32. AWOKE [ドルケ]
33. ド! ド! ド! [みらぱ]
34. KEY of Like! [蓮]
35. もぎゅっと “love” で接近中! [μ×蓮]
36. Wonderful Rush [μ]
MC
37. 僕らのLIVE 君とのLIFE [μ]
38. タカラモノズ [μ]
39. Snow halation [μ]
40. No brand girls [全員]
MC
41. Bring the LOVE! [全員]
1. 集結の場所、横浜
今回の会場は『ユニット甲子園』と同じKアリーナ横浜でした。『CDLL』もぴあアリーナMMなので、『ラブライブ! フェス』がさいたまスーパーアリーナであった以外は、合同ライブはいつも横浜で開かれていることになります。
前回の合同ライブ!
通常、ライブ会場の周辺で物販や展示などのイベントが開かれていますが、それに加えて横浜駅近くの横浜アソビルでも展示が行われていました。これは、翌週2月8日 (土) に本格発売されたオフィシャルTCG『ラブカ』に関連するもので、会場ではデッキの先行販売や試遊会が行われていました。また、『ラブライブ!』から『蓮ノ空』までのすべてのスクールアイドルが新規描き下ろしのスタンドパネルになって、ひな壇のようにずらりと並んでいました。そこにはメインだけでなくライバルのスクールアイドルたちの姿もありました。ライブイベントに出演しないA-RISEもいました (登場が直前も直前だったEdel Noteは流石にいませんでしたが)。総勢57人のスクールアイドルたちはとても1枚の写真に収めることなどできず、壮観でした。
今回の席はLEVEL3の最後列でした。後ろを気にしなくてよい楽な席だと思っていましたが、座席の後ろに段差がなく、すぐ通路になっているため、荷物の管理に気をつけなければなりませんでした。後ろに押し出されてしまったUOの入った袋を、スタッフの方に落とし物として回収されてしまったようで、なくなってしまいました。
Kアリーナ横浜の会場側でも、面白いものを販売していました。会場内に飲食物を売る売店がいくつもあるのですが、ここで売られていたのが青色、黄色、紫色、ピンク色の「シーズナルドリンク」。味の名前しか書かれていませんが、明らかに今回出演するAqours、ニジガク、Liella!、蓮ノ空 (μ'sという解釈もできる) を匂わせる色のドリンクでした。

2. ようこそラブライブ! の殿堂へ
間違いなくラブライブ! シリーズの歴史に残るであろうライブは、各作品のTVアニメ主題歌から始まりました。1曲目から何の「溜め」もなくμ'sが登場したのには流石に驚きましたが、まだ想定の範囲内です。アニメ主題歌のメドレーは、これまでも各都市の出演メンバーによって歌い継がれてきました。横浜では、『僕らは今のなかで』以外これまで2期を中心に組み立てられていた曲目が1期中心に変わり、『僕らは今のなかで』『青空Jumping Heart』『虹色Passions!』『START!! True dreams』の各曲になりました。『START!! True dreams』を通して11人で歌うバージョンは、今回初披露だったようです。
そして、4組が歌い終えた後、ステージに蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブが現れました。蓮ノ空は、アジアツアーに横浜のみ出演しており、初出場となりました。そして、これまでAqours、ニジガク、Liella! がカバーしていた『Dream Believers』ではなく、『Bloom the smile, Bloom the dream!』を歌いました。Fes×LIVEでも披露がなく、先日の3rdライブ神奈川公演が初披露だった曲です。曲が終わりに近づくと、ステージの両サイドにはμ's、Aqours、ニジガク、Liella! の姿があり、曲に合わせて一緒にリズムを取っていました。
蓮ノ空は、つい前の週に開催されたラブライブ! 決勝大会プレーオフで瑞河女子高校を倒し、ラブライブ! 優勝を果たしました。これは劇中の出来事ですが、『蓮ノ空』の物語が現実と同期する特性により、現実の出来事とも見なされます。μ's、Aqours、Liella! はみな、ラブライブ! の歴史の中でも特に重要な優勝チームです。そして、ニジガクはスクールアイドルフェスティバルや大規模単独ライブを通して、ラブライブ! 出場校と同じくらい、スクールアイドルを含む多くの人々に影響を与え、さらにスクールアイドルグランプリへの参加によって現在進行形でスクールアイドルの新しいあり方に挑戦しています。そのような歴史に名を残すスクールアイドルたちが、優勝校の仲間入りを果たした*1蓮ノ空のスクールアイドルたちを祝福してくれているように感じました。それが嬉しくて仕方なく、まだオープニングなのに、改めて優勝の事実を自分のことのように噛みしめて泣いていました。
その後は全体の挨拶も手短に、各校毎のパフォーマンスが始まります。
3. Liella! 5.5th LoveLive! ~Way to Second Sparkle~
トップバッターLiella! のステージは『Let's be ONE』から始まりました。Liella! は『スーパースター!!』TVアニメ3期を終えてから初のステージですが、早速OP主題歌の披露となりました。当時、まだワンマンライブは開催していませんでした。既に外部のフェス出演時には披露していますが、シリーズのフルライブでは初です。これまであった「ワンマンライブ未披露曲は合同ライブでは出さない」という暗黙の了解を破っての披露でした。
Liella! のワンマンライブの魅力は、圧倒的な実力で「魅せる」パフォーマンスと、若さからくる熱量です。まさにラブライブ! 連覇チームというパワーをこれでもかというほど浴びせてくれます。
Liella! のワンマンライブ
次の曲目は、カップリング曲の『青春HOPPERS』でした。リリースイベント以外での初披露はわずか1週間前のフェスという、信じられない鮮度です。1ヶ月後の6thライブで出すはずの曲をこんなに出してしまって大丈夫なのでしょうか? それは、ここで見せても次のライブでの新鮮な感動を損なわないというライブにかける自信から来るものだと思います。その自信は、決して最初から備わっていたものではありませんでした。一般公募でキャストになるという重圧もありましたし、メンバーの葛藤といっしょになって苦悩したり、逆にメンバーの煌めきが眩しすぎてしまったりと、それぞれに苦しい戦いをしてきました。そのことをMCで泣きながら吐露することもありました。そうした日々があったからこそ、誰もが憧れるスーパースターが今、ここにいるのだと思います。
ただし、そんなLiella! もMCではかっこいいばかりではない茶目っ気を発揮しています。マルガレーテ役の結那さんは、Liella! 加入前だった3rdライブからステージ上でダジャレを披露し、メンバーのキャラクターとのギャップでファンを驚かせていましたが、今回もかましていました。「アジアツアー」にちなんで「アジのお味」というネタでしたが、今回はまさかのだだ滑り。しかしそれが愛嬌でもあります。
Liella! のパフォーマンスが最後の曲『TO BE CONTINUED』で終わった (これもワンマンライブを感じさせ、銀テープの幻聴が聴こえます) にもかかわらず、直後に『水しぶきのサイン』が始まりました。ステージを見るとスクールアイドルが増えていました。Liella! に加え、果林・せつ菜・エマ (久保田未夢さん・林鼓子さん・指出毬亜さん) による14人での夢のパフォーマンスです。ニジガク勢は、かりゆしをベースにした7thライブの衣装で登場しました。『水しぶきのサイン』という選曲は、劇場版で沖縄の海辺を舞台にした物語を繰り広げたニジガクに対するLiella! からのエールとも考えられます。このメンバーの中で第1章の「当番」だったのはエマだけですが、「NEW TOKIMEKI LAND」を共に創った7thライブのストーリーラインには全員が関わっています。季節は真冬 (『えいがさき』の季節も2月) ですが、『水しぶきのサイン』は披露されるだけでその会場を「夏」にする曲の一つです。1期目、2期目のTVアニメを駆け抜けた、一度きりの夏を謳歌する曲であり、今しかない瞬間を楽しいものに変えていくニジガクのあり方とも重なる部分があると思います。
4. Aqours EXTRA LoveLive! 2025 ~Our Era, Our Sunshine~
平成の『恋になりたいAQUARIUM』。
令和の『KU-RU-KU-RU Cruller!』。
それらを歌い上げる斉藤朱夏さん、小林愛香さん、降幡愛さんの3人の名は、今回は「わいわいわい」ではなく、「Aqours」でした。
Aqoursのワンマンライブの魅力は、圧倒的な実力と経験に裏打ちされた引き出しの多さと、終わってみればそれらがすべて「エモ」につながる点です。強い曲も、猛烈に盛り上がる楽しい曲も、しんみりとしたバラードも、果てはラブソングまで、長い歴史の中で作られてきた曲の多様性は相当のものです。しかしそれらはいずれも (曲だけでなく、理不尽ギャグのドラマCDでさえも……?)『ラブライブ! サンシャイン!!』という物語にどこかで紐付けられています。ナンバリングやアニメの挿入歌はもちろん、『少女以上の恋がしたい』のような一見それらから独立した曲や、『コットンキャンディえいえいおー!』や『わーいわいわい わいわいわい!』に至るまで、アニメでも現実でも逆風の中をがむしゃらに駆け抜けてきたAqoursの軌跡や、Aqoursと同じ時代を生きてきた自分たちの歩みを思い起こさせてくれるのです。それを、「I live, I live LoveLive! Days!!」と言います。
Aqoursのワンマンライブ
MC後のセットリストは、アニメ2期OPの『未来の僕らは知ってるよ』、アニメ『幻日のヨハネ SUNSHINE in the MIRROR』のOP『幻日ミステリウム』、アニメ1期EDの『ユメ語るよりユメ歌おう』と、引き続き平成と令和を行ったり来たり。それに加えて、すべてアニメ主題歌なのにこれほどの振れ幅があることに驚きます。特に、Aqoursのライブとして『幻日ミステリウム』が披露されるという事実には、Finaleライブでももしかすると……、という期待が高まります。
『恋になりたいAQUARIUM』こそ曜がセンターの持ち歌ですが、9人のAqoursとこの3人を比較したとき、素人目に一番目立ちそうな気がするのは千歌役・伊波杏樹さんの不在です。Aqoursの正真正銘のリーダーであり、がむしゃらさや力強さ、それだけでなく愛らしさまでを先陣で印象付けるAqoursの顔でもあります。しかし、これまでのAqoursの9年半のキャリアの中で、後半ではファンミーティングなどで伊波さん不在の展開が増えていました。その集大成とも言えるのが、この3人編制と言えるかもしれません。その千歌のパート (もちろん、それ以外の5人のパートも) は、3人で分け合っていたのですが、積極的に降幡さんが取りに行っていたのが印象的でした。コーレスの「かんかんみかん」まで取ってしまったのには流石に笑ってしまいましたが。
Aqoursのパートの後には、Liella! と同様のコラボステージが用意されていました。時代は平成と令和のちょうど狭間 (映画公開は平成31年、5thライブは令和元年)、劇場版から『Hop? Stop? Nonstop!』です。Aqoursに全集中していた劇場版の頃を思い出して熱くなると同時に、アップテンポなイントロそのものにひたすら胸が高鳴ります。私がライブでこれを聴いたのはそれこそ5thライブ以来です。とても久々に聴けただけでも嬉しいのに、そこになんと蓮ノ空メンバーまで加わってきました。菅叶和さんと来栖りんさんの姿を確認し、「わいわいわいと言えばみらくらぱーく!、だからだな」と、互いのラジオ番組への出演実績などを思い出していると、もう1人の蓮ノ空メンバーは慈役・月音こなさんではなく綴理役・佐々木琴子さんでした。
なるほど、「ツバサ」だ……。
確かに自由を愛しながら、同時に自由を恐れた綴理が歌うのに相応しすぎる曲です。『リンクラ』活動記録は、ラブライブ! 優勝後、3年生 = 102期生の卒業に関するエピソードに差し掛かっています。この曲も、それに向けたAqoursによるエールだったのです。変わらないものと変わっていくもの、旅立つものと遺されるもの。未来へはばたく全ての人に贈る、最高のコラボステージでした。
Aqoursもまた、旅立つもの
6. 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 7.5th Live! ~虹が繋がる場所~
登場というものは、インパクトを与えられれば与えられるほど良いものです。Aqoursの次にステージを任された虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が、「やりやがりました」。
『繚乱! ビクトリーロード』。
『異次元フェス』で強烈な爪痕を遺し、ラブライブ! シリーズとアイドルマスターシリーズを繋いだあの曲が、ラブライブ! シリーズ横断仕様で帰ってきました。今回出場しているニジガク選抜メンバー6名と、Aqours、Liella!、蓮ノ空から3人ずつの豪華15人で、ステージを目一杯横に使った披露でした。ニジガクメンバーたちはおなじみの「特攻服」を着ていました (他グループの分はなし)。『繚乱』はニジガク担当のソウル公演のほか、Aqoursしかいない台北公演でも披露されていましたが、Liella! と蓮ノ空のメンバーは『異次元フェス』と異なり、新しい口上のお披露目でもありました。蓋を開ければ、花帆の「フラワー!」慈の「ハロめぐー!」*2小鈴の「ちぇすとー!」と、それぞれのキャッチコピーをふんだんに盛り込んだボリューム満点の歌詞でした。個人的に嬉しかったのは、かのんの歌い出しが「私の名前は澁谷かのん」だったことです。何の気なしのような台詞ですが、実はこれはアニメ1期10話の台詞です。メンバーの中でラップが得意なメンバーをセンターにしようという話題の中で、かのんはうまく言葉を繋げることができませんでした。選ばれたのがすみれ (『ノンフィクション!!』。横浜DAY1では披露があったとか) だったのですが、『異次元』で『繚乱』に参加したすみれに次いで、あの頃より大きく成長したかのんが『繚乱』で暴れ回ったのです。かのん推し冥利に尽きる出来事でした。
繚乱!
そろそろ『虹』の話をします。シリーズの「異色作」として8年目も独自路線をひた走っているニジガクですが、そのワンマンライブの醍醐味は、曲そのものがシリーズの中で最もバラエティ性が強いにも関わらず、ライブ毎に世界観を印象に残していく力があることです。私が参加できなかった (配信は観た) 7thライブは特にその傾向が強いと思います。従来アニメ作品の後のライブではその作品のストーリーをライブで再現するという手法が採られるのが基本でしたが、『えいがさき』第1章直後のこのライブでは、第1章で曲を披露したのが一部メンバーのみだったいう事情はありますが、同作品以外の曲も盛り込みながら、ライブとしては独自のストーリーに則って展開していました。自由に創られるライブの世界観には不思議な力があり、私にとっては「御利益」さえ感じることもあります。ちなみに、Kアリーナ横浜を最もライブに使っている (というより、2月時点ではまだ他のグループは誰も同会場で単独フルライブをしていない) ので、ニジガクのホームグラウンドという感じもします。
ニジガクのワンマンライブ
今回のテーマは、ずばりアニメシリーズでした。前日は『スクスタ』ベースのセットリストだったようで、そこからがらりと変えた形です。もう始めることができない『スクスタ』と異なり、これからでもバンダイチャンネルやBDで追いつけるアニメの方がより入門者にも優しいセットリストだったといえるかもしれません。しかも、アニメ展開がもうない『サンシャイン!!』、まだない『蓮ノ空』3期を終え、映画化の予定も今のところない『スーパースター!!』、と異なり、この後映像作品の新作が控えている唯一の作品なので、最新の『えいがさき』第1章まで追いつけば、従来のファンと足並みを揃えて第2章を待つことさえできます。もっとも、DAY1で『スクスタ』後のスクールアイドルであるLiella! や蓮ノ空と歌った『TOKIMEKI Runners』も、見てみたかったものではあります。
今し方初心者向けのようなことを書きましたが、それにもかかわらずいくらなんでも火力の高すぎるセットリストになっていました。ニジガクで再生回数最多の『ツナガルコネクト』に加え、『えいがさき』1章組のしずくとエマは劇場版楽曲を投入してきました。これまでのしずくのイメージを覆す『Rise Up High!』、エマ = 指出さんの伸びやかな歌唱力をフルに活かす『Cara Tesoro』の両方とも大変な盛り上がりでした。私は7thライブに行けなかったので、ニジガクは1曲1曲の披露回数が少ないことから『Cara Tesoro』を諦めかけていました。しかし、ショートバージョンとはいえ生の歌唱を聴くことが叶いました。『哀温ノ詩』に続き、合同系のライブにおける幸運でした。全てのライブに行ければそれに越したことはありませんが、行けなくても諦めずに行けるライブに顔を出していれば、トキメキのチャンスは巡ってくるのだと感じます。
さて、最後の『NEO SKY, NEO MAP!』を終えた後、歩夢役大西亜玖璃さんがステージに1人残りました。歩夢が所属するもう一つのユニットといえば、シリーズ初の越境ユニット・AiScReamです。『ラブライブ! シリーズのオールナイトニッポンGOLD』発のユニットであり、9月には各作品からライバルユニットなどを集めた合同ライブの開催が予定されています。今回はなんと、そのデビュー曲『愛♡スクリ~ム!』が初披露されました。この曲のシングル発売はわずか11日前の1月22日。早業での披露でしたが、キャッチーな「何が好き?」のコール&レスポンスは会場一堂楽しんだだけでなく、ライブ後のSNSでも流行を見せていました。
史上初めてラブライブ! シリーズを一つに繋げたニジガクが生み出す越境コンテンツはまだまだ続きます。この日は『スクスタ』要素こそ薄めでしたが、このような機会の実現は『スクスタ』の具現化ともいえるのではないでしょうか。
7. 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 3.5th Live Dream ~TRY TRI TRI UNITY!!!!~
話は少し前、Liella! とAqoursの間に遡ります。『水しぶきのサイン』の後に、疾走感のあるイントロとともに蓮ノ空とニジガクの一部メンバーがステージに現れました。曲は蓮ノ空が初めてリアルライブで披露した『On your mark』。本格的な出番前に蓮ノ空を力強く印象付けました。本家蓮ノ空もかっこいいパフォーマンスを見せていましたが、この曲のMVPはなんといっても「大女優」しずく役・前田佳織里さんでした。最後のロングトーンも完璧に決まり、あたかもこの楽曲を自分のものにしているかのような、それを可能にする変幻自在さを感じました。
蓮ノ空のはじまり
蓮ノ空のナンバリングライブが他と大きく異なるところは、実際に同じ時間軸でメンバーたちも金沢から「遠征」し、それぞれのライブ会場でライブを行っているということです。1月まで開かれていた3rdライブツアーは、ユニット毎に一都市ずつに「遠征ライブ」、そして横浜アリーナには「ラブライブ! の決勝大会」として赴いていました。そのようなライブへの没入体験こそが、普段の配信と車の両輪での『蓮ノ空』『リンクラ』の特徴となっています。今回は、3rdライブが直前まであったので、そのおさらいの部分が多かったです。
蓮ノ空のワンマンライブ
また、前回の合同ライブは2024年3月の『ユニット甲子園』だったので、104期生の3人は合同ライブに初出場となりました。普段蓮ノ空を追いかけていないファンへのその紹介という要素もありました。スリーズブーケ・DOLLCHESTRA・みらくらぱーく!の3ユニットが、それぞれ現実世界におけるデビュー曲を歌いました。これらの楽曲は、いずれも3rdライブのユニット公演で満を持して104期ver. が初披露されたものです。とりわけみらくらぱーく! の『ド! ド! ド!』は、いつもながらここまでのどの曲よりも観客の声が大きく、会場が沸騰していました。μ's時代のファンにとっては、活気あるライブ会場が帰ってきた、という感じかもしれません (?)。
締めくくりはラブライブ! 北陸大会の勝利楽曲『KEY of Like!』でした。ラブライブ! の大会向け楽曲は、どれも詰め込まれた想いが溢れ出し、夢見ることや頑張ることの素晴らしさを教えてくれます。そのような楽曲だからこそ勝つのです。もちろん、劇中であと一歩だった『MIRAI TICKET』や『Starlight Prologue』も、その強さには疑う余地がありません。蓮ノ空のラブライブ! 優勝後改めて聴くと、これから起こることに固唾を呑んでいた3rdライブのアンコールとはまた違った晴れやかな感情に包まれました。
ここまでの流れからすると次に来るのはコラボパフォーマンスです。今度はどの曲が流れるのだろう、と思っていた私を、衝撃が襲いました。
イントロもほぼなく始まったのは、まさかの曲。
『もぎゅっと “love” で接近中!』
μ'sの曲です。
蓮ノ空の9人に加わっていたのも、もちろん穂乃果役・新田恵海さん、ことり役・内田彩さん、真姫役・Pileさんの3人でした。漏れ聞こえてきた前日の曲 (『Dancing stars on me!』) とも異なり、完全なるサプライズで客席からも大声が上がりました。確かにAqoursもバレンタイン衣装であるEXTRAライブ (2023) の衣装を着ていましたし、時期的に来てもおかしくなかったのですが、私にとってμ'sの曲をコンスタントに聴いていたのは『スクフェス』『スクスタ』を本格的に遊んでいた時以来ですから、完全に忘れ去った引き出しを開けられた気分でした。
伝統を重んじる最新作から、革新的だった元祖にバトンが渡り、いよいよお待ちかねのμ'sのライブが始まります。
8. μ's 14th Anniversary LoveLive! ~μ'sic goes on~
振り返ること約9ヶ月前の2024年3月31日。私は同じ横浜市のパシフィコ横浜にて、初めてμ'sと対面しました。形はオーケストラコンサートで狭義のライブではありませんでしたが、『ラブライブ!』を知った頃には既にFINALライブに向けて歩き出していたμ'sの歌声を聴くことが叶いました。
オーケストラコンサート
そして今度は、「μ'sのライブ」の現場に居合わせることが実現したのです。まさかこんなことが叶おうとは思ってもみませんでした。
μ'sとして最初に披露したのは、なんと『Wonderful Rush』でした。μ'sの楽曲の中で一番好きな曲のパフォーマンスを見ることが、いきなり叶ってしまいました。それもFINALライブ以来の披露だったと聞いて驚きました。この曲の好きなところは、1番から2番、3番 (と呼ぶに相応しい気がする) と進むにつれて次々にメロディが移り変わっていくダイナミズムです。楽曲の躍動感に乗りながら、ラップの比率が多いものに変化していくのは、まるで旅をしているようです。
実は、アジアツアーのキービジュアルに登場していた飛行機と、『Wonderful Rush』のPVに登場する飛行機はよく似ています。MCでもそのことに言及があり、センターを務める内田さんが飛行機のぬいぐるみで遊んでいました。今のところ、アジアツアーに関わる5タイトルすべてに飛行機や空港のシーンが登場し、共通のモチーフといえます。
『ラブライブ!』……同曲、ことりの留学騒動、劇場版など
『サンシャイン!!』……函館編、劇場版
『虹ヶ咲』……嵐珠の帰国騒動、歩夢のロンドン留学
『スーパースター!!』……上海編、かのんのウィーン留学準備
『蓮ノ空』……瑠璃乃の帰国で小松空港が登場
飛行機の旅というものには、よく緩急がついています。人が行き交う空港ターミナルでの時間に始まり、静かに出発を待つ間、離着陸という劇的な場面転換、空の上という日常から隔絶された空間で過ごすひととき。そしてタラップやボーディングブリッジを抜けると別世界が広がっています。このように緩に急に感情を揺さぶってくる旅*3は、ライブとも似ています。
μ's、そしてラブライブ! シリーズの歴史の長さを感じさせられたのが、『僕らのLIVE 君とのLIFE』です。この曲名にも『ラブライブ!』の本質が詰まっていますね。しかし、他と明らかに違うのは振り付けです。踊る立場からするとどうなのかはわかりませんが、少なくとも見ている限りは複雑な振り付けはほとんどありません。現代の曲は、歌詞や曲のメッセージが振り付けで表現されていたり、高度なフォーメーションダンスだったりして、かなり振り付けが難しくなっていると思います。それに比べるとかなりシンプルに見える振り付けには、『ラブライブ!』が今のようになるとは誰も思っていなかった時代背景が垣間見えます。演じている側や制作する側にはそれぞれの夢や想いがあったのでしょうが、どこを目指すのかも決まっていない中で、何もかも手探りで作っていた頃があったということです。その夢が海の向こうに、『紅白歌合戦』や東京ドームに、そしてたくさんの後輩たちに恵まれた未来に届きました。そんな未来を今生きているのを実感します。
μ'sの最初の曲が『ぼららら』なら、ラブライブ!シリーズの全ての源流といえるのが『Snow halation』です。この曲についてはもはや説明不要と思います。2万人が作るオレンジ色の光の海が実現しました。この景色は、演者を除けばステージから1番遠いLEVEL7の最後列の人が一番綺麗に見えたのではないでしょうか。
そして、ラブライブ!シリーズを横断するライブとして嬉しかったのがその1曲前の『タカラモノズ』の披露でした。μ'sの代表曲としてはあまり挙げられない曲ですが、このような場だからこそ輝く曲です。これは、『スクフェス』の初代テーマソングなのです。イントロでは内田さんが『スクフェス』シリーズへの感謝の言葉を述べていました。
ここに来ている全てのスクールアイドルが、『スクフェス』シリーズとの関わりを持っています。Aqoursは当初から『スクフェス』に参戦し、『スクフェス』からニジガクが生まれ、派生作品『スクスタ』も親しまれました。後継作『スクフェス2』はわずか1年足らずの稼働期間ながらLiella! が本格参戦し、蓮ノ空の楽曲もわずかながらプレイできました。何よりも、ここに集まっているシリーズのキャストのほとんどが『スクフェス』で『ラブライブ!』を知り、ファンになったことが人生を変え、『スクフェス』が社会現象となったことから制作側も『ラブライブ!』をここまで続くシリーズにしようと考えたわけで、シリーズがここまで続くきっかけを作ったのが『スクフェス』であることは論を待ちません。DAY1では『スクスタ』より『TOKIMEKI Runners』、『スクフェス2』より『MIRACLE NEW STORY』、『リンクラ』((『スクフェス』シリーズではなく、他作のスクールアイドルも直接登場しない。だが、蓮ノ空メンバーによる歴代カバー楽曲が多数収録されている))より『Dream Believers』がいずれもコラボで披露されたようです。こうしてアプリを通じてラブライブ! シリーズの輪が広がる、その始まりには『スクフェス』がありました。
スクフェスありがとう
『Snow halation』のあと、超アップテンポのビートがかかり、Aqoursから蓮ノ空までのスクールアイドルがステージに登場しました。会場のボルテージがみるみる高まる中、横長のステージいっぱいにスクールアイドルたちが並びます。そして堰を切ったように始まった曲が、『No brand girls』でした。この曲は、とにかく最初から最後まで観客を叫ばせる曲です。わけもわからぬままに熱狂の渦に呑まれ、喉が枯れ果てるまで絶叫していました。わけもわからぬままに、と書きましたが、冷静になってみると2番の歌詞割りをそのメンバーの経験と重ね合わせているなど、合同ライブならではの工夫にも富んだ披露だったことがわかります。
私はμ'sの1stライブからFINALライブまで、映像で見たことはあります。しかし、その場にいなかった者にとって、「これがμ'sのナンバリングライブらしさだ」というものはまだ見出せていません。したがって、当時と今でどこが同じでどこが違うのかというのは言語化できませんが、あの熱気だけは紛れもなく当時のものだったのかなと思うことにします。
9. 総括
最後のMCでの新田さんの言葉に、μ'sに「いつ出会ってもいい」というものがありました。前々から同様のことを言い続けてくれていますが、FINALライブから9年を迎えようとしていることを考えるとその言葉の重みも増しているといえます。μ'sのライブは決して見られないと思っていた私が、それを目の当たりにできたことでも証明されました。
このアジアツアーは、時間的にも空間的にも簡単には会えないスクールアイドルたちに会える機会だったと言ってよいと思います。海外に住んでいる人が日本に行かずにライブに参加できるだけでなく、μ's時代より後にはまった人がμ'sのライブに参加できたり、しばらくラブライブ! シリーズから離れていた人が蓮ノ空のパフォーマンスを見たりできました。「1人きりの部屋ずっと その笑顔を探してた」「この場所で/やっと会えた」という『Bring the LOVE!』の歌詞がそれを物語っています。
また、今回は、μ's登場の前段で蓮ノ空がライブをしていたということが一つの意味を持つと思います。各国での公演に蓮ノ空は登場していません (定期的に配信を行う必要上、9人で出国するのは難しいと思われる) が、少なくともこの横浜公演に関しては蓮ノ空がリードしたと言っても過言ではありません。というのも、これまでの合同ライブでも、その当時の最新作と関連あるテーマが設定されていたからです。
『ラブライブ! フェス』……ニジガクと『スクスタ』を軸に、初めてのオールスター合同ライブが行われた。(μ'sを連れてきたのは、劇中同様直下の後輩であるAqours)
『CDLL』……翌年に初めての新旧システムを採用することになるLiella! が出演して、みんなで一緒に年を越すという体験を共有した。
『ユニット甲子園』……蓮ノ空を中心に歴代シリーズの個性溢れるユニットたちが集まった。
そして、このアジアツアー横浜公演のテーマは「歴史」と「より広く届ける」だったと思います。ラブライブ! シリーズの歴史を振り返り、日本国外にも直接ライブが届けられました。『リンクラ』は歴史と伝統を重んじる蓮ノ空女学院を舞台とし、スクールアイドルたちが世界中に声を届けるコンテンツになっています。VPNなどを上手く使えば、文字通り全世界から蓮ノ空と繋がることができるはずです。それぞれに好きなスクールアイドルはいても、ラブライブ! シリーズの時代を作っているのは常に最新作なのです。
ただし、例外と言えそうなのがAqoursです。最新作でなくなったあとも毎年のように新しい挑戦を続け、Aqoursの時代を作り上げています。これがいかにすごいことなのかも実感します。2025年は、そのAqoursにとっても集大成となる年です。
一方で、『蓮ノ空』もついに最新作でなくなるときが来ます。ラブライブ!シリーズの新作は合同ライブの後に発表されることが多いのですが、今回も特報映像が流れました。暗い背景に何かを訴えかけるような少女の姿。画面に表示された文字は、「いきづらい部」→「イキヅライブ! LOVELIVE! BLUEBIRD」と変化しました。これまでと比べてもかなり直球のタイトルですが、「生きづらい」または「(学校に・部活に) 行きづらい」と読めます。
このタイミングで新作発表が来たら、きっと私もみんなも歓喜するだろうと思っていました。ところが、実際に起きたのは「なんだこれは!?」というざわめきであり、ある種の不協和音でした。
ここまでのシリーズは、いずれもμ'sという最初に見た光に手を伸ばしたときが始まりでした。『スクフェス』があって、それが世界を繋げていました。そんな光が届かない場所が、新作の舞台なのかもしれません。学校が好きで、生きることを謳歌してきたスクールアイドルたちとは違う形で学校と向き合い、生きようともがいている少女たちの物語が始まるのかもしれません。