
6月21・22日 (土・日) の『Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』の感想の続きです。最初の曲から、アニメメドレーまでを振り返ります。
感想①
5. 今のAqoursから懐かしいAqoursへ
Aqours最後のライブにおける、最初の曲は何か? セットリスト予想については、事前のXでも様々な考えを見ました。これまでのあらゆる曲から強い曲を抜粋したセットリストなのか? これまでやっていない曲を網羅するのか? その中でも、多数派の予想としては1曲目がAqours始まりの曲『君のこころは輝いてるかい?』であるというものだったと思います。しかし、その予想は見事に外れました。
1曲目は、『DREAMY COLOR』でした。Aqours初の実写PV曲で、コロナ禍明けのAqoursの新しい時代を象徴する曲です。この曲を聴いてようやく未来の明るさを予感できたくらいで、以来私の中でトップクラスに好きなAqoursの曲になっています。そんな曲が、早速、最初に来ました。こことは思っていませんでしたが、やってくれると期待していたので嬉しかったです。
2曲目には6thライブで初披露された『GEMSTONE “DE-A-I”』が来ました。今回披露された曲の中では、初披露曲を除くと最も新しい曲 (2022年3月公開) です。コロナを挟んだり、そもそもAqoursのライブの機会が減ったりして、Aqoursと会える機会が減ってきた時代でこそ心に響く曲です。前回、東京ドームでの披露時のように「知らない」などということはもちろんなく、既にAqoursの思い出の中に刻み込まれていました。そして、初めて皆で「Wow Wow」できたのも嬉しい限りです。そういえば、これまでで2つだけ私が両日現地参加したライブが6th <WINDY> とFinaleなので、『GEMSTONE “DE-A-I”』は4回の披露すべてを現地で聴けています。
「出会い」は、『ラブライブ! サンシャイン!!』を形作る重要な要素の1つです。もちろん、どのラブライブ! も「出会い」から始まるのですが、ここでは一旦比較は置いておきます。千歌とスクールアイドルの出会い。メンバー同士の運命的な出会い。メンバーとキャストの必然の出会い。私たちとAqoursとの出会い、そして、Aqoursを通した私たち同士や、私たちと新しいセカイとの出会い。そのすべてが収束する場所がFinaleライブでした。多かれ少なかれ出会いが何かを変えたということを教えてくれる曲です。
ここから、一気に懐かしい曲の比率が上がります。1stライブのタイトルでもあった『Step! ZERO to ONE』(DAY1)、同時期の『Aqours HEROES』(DAY2)*1、そして『届かない星だとしても』(両日) と、すべてアニメ1期より前の楽曲です。『届かない星だとしても』は、μ’sのことを歌った歌としてよく知られています。『スクフェス』におけるジャケットのタイトルロゴがμ’sのメンバーカラーになっていることなどにそれが表れています。しかし、ここではそれだけでなく、メンバーという星を追いかけたキャストたちのことも内包しているように感じました。DAY1において、全員で「ギラン」ポーズをしたときはあっと驚きましたし、DAY2で小林愛香さんにはそう思わせておいて「ドッキリ」を仕掛けていたのには、そのときは見えておらずわからなかったのですが、後で知って笑いました。キャストにしてもメンバーを「演じる」というところから入って、メンバーを形作り、生を与えるに至るまでの変化がここに表れているとも考えられます。最後の最後でドッキリをやるくらいがAqoursらしいですよね。アーカイブでは、セット上の小道具のみかんで遊んでいるのも確認できました。また、この曲のフォーメーションはユニット毎となっており、ユニット曲が披露されない中でもユニットの楽しさも思い出させてくれました。
いつものコール&レスポンスも、9連続でできるのはこれが最後です。悔いが無いように声を張りました。特に笑いが起きていた、逢田梨香子さんの「梨子ちゃんレーザービーム」で、「ベルーナドームの壁が破壊される」シーンです。言うまでもなく元々ベルーナドームに壁なんかないのですが、その事実をイジっているにとどまらず、ベルーナドームの壁を壊して風が吹き込む会場に変えてしまったのが、よりにもよって「壁クイ」が大好きな梨子だったことが三重にも四重にも面白いです。DAY2ではDAY1にも増して暑くなった天候にやられてしまい、小林さんの「完全なる見切れさん」(ヨハネのハートアイで完全未切れ席を見通すという演出だったが、噛んだ)、小宮さんの「ほどほどに楽しんで」(ほどほどに (無理をせず)、全力で楽しんで、という意味と思われる) など迷言も多数生まれました。
このMCでは、キャストが着ていた新衣装の正体もわかりました。何かの楽曲の衣装ではないけれど、どこかで見覚えが……と思ったら沼津市制100周年を記念したイラストを実体化した衣装でした。2023年当時、沼津に行くとあちこちにこのイラストを使用した飾り付けがあったので、道理で見覚えがあるはずです。このライブでは1日あたり4着 (計5着) の衣装が使用されましたが、並み居る衣装を押しのけて最後の5着のうち1着にこれが入ってきたのは、Aqoursにとって市制100周年に立ち会ったことの意義がそれほど大きいということなのでしょう。
6. 青の記憶
「Aqoursの軌跡を振り返る旅」ともいえるライブは次の曲へと進みます。『恋になりたいAQUARIUM』は、TVアニメシリーズに続くAqoursの軌跡の出発点だと私は考えています。コールが多く、曲に合わせて入れているだけで楽しい曲でもあります。見慣れたPVに登場する曜のことを、またしても心の中で応援してしまいます。思い切って飛び込んだ日のワクワクとドキドキは何度でも蘇るのです。

この曲では、会場がライトブルーに染まります。この先ずっと思い出す、「青色」にまつわる思い出になりました。
そして、次の曲は「青」もそのままに『Deep Blue』でした。『幻日のヨハネ ~BLAZE in the DEEPBLUE~』主題歌で、『幻日のヨハネ』ライブ後に発売された楽曲なので、初披露です。ここに出てきたのは予想外でしたが、納得しかありません。 このライブで唯一の『幻日のヨハネ』関連楽曲となりました。Aqoursの10年間の後半を飾った意欲作で、もっと評価されるべきコンテンツだと思っています。そして、確かにゲームの主題歌なのですが、この曲は『幻日』世界とAqoursの世界を繋ぐ橋渡しのような位置づけをされています。というのも、歌詞とゲームの物語 (残念ながら未プレイ) を重ねることができると同時に、Aqoursの軌跡とも重ねることができるからです。「巡りゆく世界の果てで」というサビの歌い出しなど、まさにFinaleライブのことだと感じます。
「過ぎ去った思い出達 歌に乗せて繋いで行くから 忘れない忘れられたくない 呼ぶ幻 叫べ未来」
これは、Aqoursの決意です。
Aqoursの初期楽曲では、『君のこころは輝いてるかい?』で千歌と梨子の出会いが、『恋になりたいAQUARIUM』で千歌と曜の絆が描かれますが、『幻日のヨハネ』でそれに相当するのがヨハネとハナマルの友情です。この2人がセンターを飾っている曲がここに配置されたことで、『ラブライブ! サンシャイン!!』とのコントラストが味わえました。
その後には私たち全員、全世界数十万人? 数百万人? のAqoursファンが待ち望んだ「伝統のコンボ」が復活しました。『Daydream Warrior』『スリリング・ワンウェイ』の2曲続けて、会場のボルテージも沸騰状態を維持していました。2ndライブ以来*2、直近では6th <SUNNY> ぶりの、Aqoursを象徴するセットリストといえます。
「マイ未来 トライ・トライ・トライライ ホンキ デ ハシレ」というAqoursらしい突破力の表れを、みんなで叫びました。伊波さんが観客を煽る場面でもありますが、最後の「ラスト!」が強くて、しかし優しくも感じました。もうこれで声がなくなってもいいというくらい魂を込めました。Aqoursの皆さんに遠く及ばない私のような人間にも、熱い想いがあるのだということを伝えたい、その想いを伝えたいという一心でした。
Aqoursのファンを長くやってきて、今更になってわかったことがあります。それは、『デイドリ』と『スリワン』が何故コンボでなくてはならないのか、についてです。もっと早くこの考察に辿り着いていた人もいたと思いますが、あくまで私のタイミングで少し考察します。
『Daydream Warrior』は、Aqoursの曲の中でも異質な部分があります。
「悪い夢なんだ」
「自らの手で終わりにしよう」
「だけど幻は打ち砕かれたね」
「夢は夢でしかない」
何故か夢を否定するような言葉が、全編に渡って並んでいるのです。そうなった理由は、今考えればそれほど難しくありません*3。それは「ヨハネ」を否定しようとする善子の気持ちであり、ダイヤの挫折であり、あるいはそんな姉の姿を目の当たりにしたルビィの悩みです。大好きなものなのに、あるいは恥から、あるいは大切な人を傷つけた自責の念から、あるいは傷つけたくない気持ちから、「好き」に蓋をしなければならなかった人の想いを、「運命に抱かれた私のLost love」と呼びます。歌い出しが「気配が消えた…?」なのも特徴的で、気持ちの主人に消されようとした「好き」が消えまいと抵抗しているかのようです。シンプルな言葉で言えば「葛藤」と言いますが、「私」はそれを見つけ出して「自らの手で終わりにしよう」とします。
そのアンサーソングが『スリリング・ワンウェイ』、すなわち千歌であることは疑いようもありません。
「落ち込んでもイイじゃないか 上がろうよ シーソーゲーム」
「何度だって泣いちゃうんだ」
悲しみたくない、傷つきたくないという気持ちは捨てて、消そうとしても消すことのできない自分の心に正直に行動することを勧めます。
「どうしてあなたが敵なのか (きっと誰にもわからない)」という『デイドリ』の歌詞も、今回のMCなどを聞いていると新たな意味が浮かんできます。Aqoursのことを応援してくれるはずの、あるいは2025年の今となってはAqoursを応援している人々からの冷たい視線とも重なって見えるのです。それはAqoursにとってはまさしく「悪い夢」のような日々だったはずです。その文脈に『スリワン』の歌詞を重ねるなら、「誰かのためじゃなくて 自分勝手なパッション 勝手にやっちゃえレッツゴー!」でしょうか。Aqoursが自分の思う役割と違う軌跡を歩んでいることを批判した人や、Aqoursのためと思ってAqoursを傷つけていた人とっては、「そんななことは関係ない」というメッセージになっています。
このセクションではまだまだ外が明るく、レフト側のスタンドに日が当たっていました。その部分の観客のブレードはその中でライトの色を輝かせることはほとんどできず、その代わりに太陽の光を反射してきらきらと煌めいていました。まるで海面の輝きのようなその光を背景に踊るAqoursというのが、ライト側からしか見ることのできない格別に美しい景色でした。半野外であるベルーナドームでしか、この景色は生まれませんでした。
7. 豪華幕間アニメ
今回は、幕間のアニメにも非常に気合が入っていました。本編映像を組み合わせたものに新しいモノローグを付けたものと、学年毎の新規アニメーションを合わせたものが3パート、という構成でした。新しいモノローグは、千歌以外「それは、私たちの○○。」という始まりで統一されていました。それぞれの言葉で、『ラブライブ! サンシャイン!!』の1年間と、Aqoursの10年間を振り返っていきます。他のメンバーが日本語の単語を使う中、鞠莉だけは「ステージ」と英語なのは芸が細かいですね。
この幕間についてはまた触れます。1年生3人の分が終わると、次のステージへ進みました。
8. アニメメドレー! ~駆け抜けた軌跡~/赤の記憶
ここで、ようやくいつものようなオープニング映像が流れ始めました。もう8曲もやった後で、思わぬタイミングです。ニジガク5thライブで、「劇中の」1stライブのオープニングが流れたという前例はありましたが、ここで始まったのはTVアニメスペシャルメドレーでした。DAY1では1期の分しかなく、2期はDAY2のみという、本ライブ最大の日替わり要素でもありました。
事前の生放送で「新しい試みもある」と言っていましたが、これがそれに当たるようです。そういえば、これまでAqoursのライブで (ソロも含めて) メドレーはありませんでした。最後まで挑戦を止めないAqoursの心意気……とも言えるのですが、ここは思い出を1つも取りこぼしたくないという想いが感じられます。
DAY1では、『青空Jumping Heart』の披露後、早速驚かされることになりました。アニメの順番通り、曲はもちろん『決めたよHand in Hand』なのですが、なんと9人で歌い始めたのです。それに、歌が始まったと思ったらいきなり1番のサビに飛び、さらに2番後の間奏へと飛びました。メドレーと言ってもサビメドレーやショートバージョンのメドレーではなく、曲のクライマックスを残さず入れたいということがわかります。Aqoursのすごいところを全部見せてくれようというのです。
2年生3人しかいなかった頃の『決めたよHand in Hand』と『ダイスキだったらダイジョウブ!』、それに1年生3人が加わった『夢で夜空を照らしたい』を9人で披露するのも、もちろん史上初です。DAY2ではやらない曲なので、正真正銘最初で最後です*4。歌唱メンバーが増えたり変わったりするのは、ニジガク以降のラブライブ! シリーズでは度々見られますが、Aqoursでは「本来は」9人の曲である『想いよひとつになれ』9人ver. を除いてはほとんどありませんでした。これらの曲の9人での披露は、最後だから豪華なものを見せてくれているということにとどまりません。元々は本編で歌唱したメンバーの思い出だったこれらの曲が、今や9人みんなの思い出になっているということです。増えた1年生や3年生のメンバーも、ここで歌えて本当に良かったと思います。
DAY1は1stライブを思わせる1期のメドレーでしたが、DAY2は私が初めて行った3rdライブを彷彿とさせる2期のメドレーでした。3rdライブの会場の一つがベルーナドーム (当時はメットライフドーム) で、私が行ったのもここだったので、まさにこの場所での思い出が蘇ります。最初の曲は『未来の僕らは知ってるよ』で、「I live, I live LoveLive! days」という、それ以降のシリーズすべてに通じる歌詞が歌われました。こういうところでも、特殊な編曲が生きたと思います。ラブライブ! シリーズ総合マガジンの名前になって、永久に残る言葉です。
3話挿入歌の『MY舞☆TONIGHT』は黒澤姉妹がセンターなので、ペンライトの色はレッドとピンクになります。同系色なので、ベルーナドームは赤色に染まります。赤色を見れば、この景色を思い出しそうです。
『空も心も晴れるから』の後、本来のアニメ挿入歌の順番であれば『Awaken the power』となります。しかし、披露されることはありませんでした。この曲はSaint Aqours Snowの曲だから、Aqours9人でやるのは違うということのようです。Aqours1年生3人のバージョンは存在するのですが、3人はSaint Aqours Snowの発起人ですから特別です。そうでなければ、Saint Snow2人ver. はあってもAqours9人ver. はない、というのが、北の大地の2人組に対するリスペクトのあり方といえます。
さらに、『WATER BLUE NEW WORLD』さえも容赦なく短縮されました。この曲がかかったら皆でブレードを青にしよう、などと前々から話題になるほど、この曲が披露されることはファンの間でも当然視されていたのです。何しろAqoursがラブライブ! 決勝で歌った曲なのですから。ところが、この曲が大切だからこそ、ここで披露しなかった理由も浮かび上がってきます。最後に9人でやったのは、実は『異次元フェス』の舞台でした。すなわち、Aqoursは『WATER BLUE NEW WORLD』を東京ドームに「置いてきた」のです。このときは、フル・オリジナル衣装・オリジナル演出かつ聖地での披露でしたが、その条件を満たすのはリリースから現在までの7年半の間でも、この1回限りでした。「楽しく! 歌合戦」のセクションの中で明らかに異彩を放っていた披露でしたが (連覇を期していたLiella! は『スター宣言』でそれを誓った。そして、完全にラブライブ! モードになった会場をMILLIONSTARSが『ジャングル☆パーティー』で “軌道修正” した)、それほどの覚悟と思い入れを持った披露だったことがわかります。

6th <WINDY> では、観客からの声出しができなかったため、Aqoursは声出し解禁後に東京ドームにまた戻ってくるという「約束」をしました。その約束は、一見果たされなかったかに思われました。しかしながら、ワンマンライブでなくても、まさに完全版といえる『WATER BLUE NEW WORLD』を持ってきたあの大舞台によって、約束は果たされていたのだと、今になってわかりました。アイドルマスターシリーズがほとんどわからない中でも『異次元フェス』へ行って本当に良かったと思います。
両日とも、OPテーマ以外にもう1曲、フル尺での披露がありました。DAY1では順当に最終回楽曲の『MIRAI TICKET』がフルになりました。一方で、『WATER BLUE NEW WORLD』も『WONDERFUL STORIES』もフルにならなかったDAY2でフル尺披露されたのは、なんと『キセキヒカル』でした。確かにこれも、ないとおかしいほどの曲です。メドレーのトロッコ (DAY2の席からは本当にトロッコが目の前で、「見ている」というより「対面している」くらいの距離感でした) 上での披露を終え、センターステージに立った9人の姿は、ただただ美しく、幻想を見ているかのようでした。なぜこれほどに荘厳かといえば、ここまでのセットリストにも、『キセキヒカル』の歌詞にも、ここが長い長い軌跡の果てであることを感じられるからだと思います。
「いつの間にか来たね こんな遠いところまで ああ空はいつもの青い空」
「夜が明けた空には太陽」
どんな日にも朝が来ること。苦しかったあの日にも、最高の一日 (つまり、この土日) の次の日にも。そしてその朝が来たら、少しだけ前の日より勇気を持った自分がいて、昇る太陽には希望を見て取ることができるのです。
③
*1:TVアニメ関連以外で両日で曲が変わっている部分は、実はここだけ
*2:この時の1曲前は『恋になりたいAQUARIUM』なので、その再現といえる
*3:Liella! のライブを経て、挿入歌以外をストーリーに当てはめて考える癖がついたため
*4:『夢で夜空を照らしたい』に関しては、『沼津地元愛まつり2023』で鞠莉が加わったことがある