
約束の地でのライブを成し遂げたAqoursにとっては、「もはやコロナ禍ではない」という言葉が似合うほどでした。しかし、まだこの時点では私たち「10人目」の声を届けることは叶っていませんでした。
Aqoursは、これまでそうであったように、再び新しい挑戦のために立ち上がりました。あるいはよりローカルに、あるいはよりグローバルに立ち回ったこの年のAqoursのプロジェクト名は、「無限大WORLD☆ Project」でした。
本文内では、特に記載のない限り6月30日から12月31日までの日付は2022年、1月1日から6月29日までは2023年を指します。
~2016
2016~2017
2017~2018
2018~2019
2019~2020
2020~2021
2021~2022
Aqoursと私の略年表 (2022. 6. 30~2023. 6. 29)
| 年月 (日) | Aqoursの歩み | 普門寺 (筆者) の歩み |
|---|---|---|
| 2022. 6. 30 | 『ユメ+ミライ=無限大』リリース | |
| 2022. 8. 13・14 | ||
| 2022. 8. 24 | 『BANZAI! Digital Trippers』リリース。初音ミクとのコラボシングル | |
| 2022. 11. 3 | わいわいわい 1stシングル『わーいわいわい わいわいわい!』リリース | |
| 2023. 3. 11・12 | 『Aqours EXTRA LoveLive! 2023 ~It's a 無限大☆WORLD~』<White Day Concert> 開催 | DAY2アーカイブ視聴 |
| 2023. 3. 31 | 『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』サービス終了 | |
| 2023. 4. 15 | 『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!』リリース | 岡山県にてインストール |
| 2023. 5. 28・6. 24 |
『Aqours 浦の星女学院RADIO!!! JMA出張放送局 ~バブ卒大集合! ラジオとライブでわいわいわい~』開催。 ・in NMZ……降幡愛さんが欠場 ・in NMB……中止 ・in 8OJ……予定通り開催 |
in 8OJ 昼公演現地参加 |
| 2023. 3. 25 | JR東海『沼津ゲキ推しキャンペーン!』開催 (~8. 31)。以後、毎年開催 | |
| 2023. 6. 17 | 『沼津ゲキ推しキャンペーン!』に伴い沼津を訪問。 | |
| 2023. 6. 18 |
『さわやかウォーキング』開催に伴い、浜松駅発沼津駅行き急行『ラブライブ! サンシャイン!!』運行。人気につき続行便も設定される |
1. 沼津地元愛まつり
この年、沼津でライブ&ファンミーティングイベントが開催されました。夏休みにあたる8月11日 (木・祝) から14日 (土) まで、平日の12日を除く3日間、キラメッセぬまづがAqoursの里帰りを出迎えました。
実際には、11日が『Aqours浦の星女学院RADIO!!! JMA放送局』の公開録音、13・14日がLIVE & FAN MEETINGと、2つのイベントをつなぎ合わせる形で開催されました。また、このときは同時に隣接するプラサヴェルデで物産展が開かれ、Aqoursのイベントというだけでなく、沼津市のイベントという性格も表れていました。
このときは不参加だったのですが、『沼津地元愛まつり』は、なんとその後毎年恒例で開催されるイベントになりました。Finaleを終えた今年も、『沼津地元愛まつり2025』が開催されました。今回は、4年目にして初めて現地参加しました。
2. わいわいわい
2016年から毎週インターネットラジオとして配信されてきた『Aqours浦の星女学院RADIO!!!』は、メインパーソナリティを時期ごとに交代しながら続いてきました。アニメ1期・2期の時期は各キャストの持ち回りでしたが、1期と2期の間で伊波杏樹さん・小林愛香さん・小宮有紗さんの「ぐ~りんぱ」が登場しました。続く2018年以降、パーソナリティを務めたのが斉藤朱夏さん・小林愛香さん・降幡愛さんの「わいわいわい」です。さらに2020年には逢田梨香子さん・高槻かなこさん・鈴木愛奈さんの「くさおるりこ」に交代するものの、こちらは高槻かなこさんの休業で1年弱しか続きませんでした。ゲストを週替わりで交え (ゲスト名によって「くさおくるりこや」「くさおたつるりこかこ」などユニット名が変わるという珍現象が起きていました)、2022年頭まで放送が続けられました。
そして、2022年4月6日の放送から新しいパーソナリティとなることが予告されていました。その日、わくわくしながら『音泉』を開くと、挨拶していたのは「斉藤朱夏さん・小林愛香さん・降幡愛さん」……なんと、「わいわいわい」が復活していました。ラジオタイトルも『Aqours浦の星女学院RADIO!!! JMA放送局』にパワーアップしていました。このパーソナリティで、『幻日のヨハネ』放送時期の休止を挟んで現在まで放送が続いています。わいわいわいによる放送回数は、毎週放送が終了した2025年10月29日時点で285回。1年は約52週なので、5年以上、すなわちAqoursの歴史の半分以上、このユニットがラジオを賑わわせたことになります。
これまでは専らラジオパーソナリティとしての活動をしてきましたが、この年このユニットが大きく動くことになります。11月9日 (水)、この3人がシングルをリリースし、アーティストとしての活動も始めたのです。そのタイトルは、『わーいわいわい わいわいわい!』。面白おかしいタイトルだと思いきや、その通り面白おかしい内容でした。しかしながら、ただ面白おかしいだけでなく、『ラブライブ! サンシャイン!!』らしさを十二分に盛り込んだ内容でした。あまりにも歌詞が難解だったので、考察記事を書いてしまいましたが、少なくとも私はそう解釈しています。作詞を担当したのは、「ヒャダイン」こと前山田健一さんです。『ラブライブ! サンシャイン!!』としては初めて畑亜貴さん以外の作詞となりましたが、流石この方なら、と思える歌詞になったと思います。これ以降、Aqours9人の楽曲以外を中心に、畑亜貴さん以外が作詞をすることも増えていきました。 (『虹ヶ咲』以降では、既に畑亜貴さん以外の作詞がほとんどになっていた)
考察記事
アーティストになったということは、リアルイベントでも歌うようになったということです。5月28日 (日) には沼津で、6月24日 (土) には八王子で、『JMA出張放送局 ~バブ卒大集合! ラジオとライブでわいわいわい~』が開催されました。6月3日 (土) 大阪での公演も予定されていましたが、台風の接近により東海道新幹線が全面的にストップし、公演が中止になってしまいました。あの3rd福岡でさえ開催できたので、スタッフ、あるいはキャストが到着できないなど致命的な原因が何かあったのでしょうか。降幡さんの体調不良により、沼津でもフルメンバーが揃わず、このときに無事開催となったのは結局八王子公演だけになりました。

わいわいわいのコメディユニットというヴェールの下には、ダンスに強みを持つユニットという真の姿がありました。文句なしの強さではありますが、普段のラジオとのギャップがあってこそ、より輝く姿かもしれません。
アジアツアー2024以降は、わいわいわいがAqoursの代表として活動することも増えてきました。この原稿を書きながら向かっていた『U-NEXT MUSIC FES LoveLive! Series EXPO 2025 STAGE ~Right now!~』でも、3人がAqoursとして活躍しました。
3. まさかの初音ミクコラボ ~電脳空間への旅~
Aqoursのニューシングルに関して、前年の『We are Challengers Project』の時点で、「アーティストコラボ」であることが明かされていました。もちろん、Aqoursのコラボ楽曲は『Shadowverse』コラボの『Deep Resonance』、『モンスターストライク』コラボの『KU-RU-KU-RU Cruller!』と、Aqoursの楽曲としても素晴らしいもの揃いなので、その部分は心配していませんでしたが、今回はそのアーティストと一緒に歌うとあって、どんなアーティストが来るのか気になっていました。今をときめく売れっ子アーティストとのコラボとなり、そこからAqoursにもたくさんのファンが流入するのか、あるいはAqoursが売り出しのアーティストの背中を押す構図になるのか……。
6thライブ <WINDY STAGE> で発表されたコラボ相手は、なんと「初音ミク」でした。クリプトン・フューチャー・メディア社が発売する音声合成ソフトウェア (VOCALOID) の1つであり、その声を持つキャラクターでもある彼女は、「アーティスト」と聞いてまず思い当たる存在ではありません。しかし、確かにアーティストといえばアーティストです。実体のない歌姫は、ある意味生身の身体で架空の存在を現実に表現するAqoursとは対極の存在にさえ思えました。
発売された『BANZAI! digital trippers』を聴くと、ミクの特徴的な歌声がAqoursの歌声と見事にマッチしていました。PVも、電脳空間を通じて世界中を旅する、夢に溢れた楽しいものでした。そして、センターを務めたのはダイヤでした。ここにきてようやく、単独センター (構図によっては、ミクとダブルセンターに見えなくもありませんが……) を手に入れることができたのです。
次に気になったのは、このコラボ楽曲をどのようにライブで表現するのか? ということでした。その答えが示されたのが、明け2月・3月の『Aqours EXTRA LoveLive! 2023 ~It’s a 無限大∞WORLD~』でした。開催時期にちなみ、それぞれ <Valentine's Day Concert> <White Day Concert> と銘打ち、Aqoursからのプレゼント、そしてお返しという文脈を纏ったライブとなりました。ライブでは、来場記念のお菓子も実際に配られました。そして、『BANZAI! digital trippers』は、まずAqours9人で歌われ、さらに初音ミクとのコラボステージと、各2回ずつ披露されたのです。コラボステージでは、バックスクリーンに等身大のミクが現れ、ミクのダンスと完全にシンクロするように9人がダンスしていました。Aqoursのシンクロパフォーマンスの対象が、ミクをも現実に降臨させることができるように “拡張” されたのです。今のAqoursならこんなことができる。そう見せつけられたような気がしました。

このライブは、コロナ禍以降初の、すなわちCYaRon! 1stライブ、9人でなら『ラブライブ! フェス』、あるいはワンマンなら5thライブ以来となる、観客の発声が認められたライブとなりました。Aqoursが届けてくれる歌に声援を送り返す。あるいは、Aqoursと一緒に歌う。一時は当たり前でなくなってしまったものを、長い年月をかけて取り戻した瞬間でした。
4. JR東海コラボ ~日本中から沼津へ~
この年、これまたこれまででは考えられなかったコラボが実現しました。Aqoursと、地元・沼津を走るJR東海とのコラボです。三島まで東海道新幹線に乗って沼津を訪れるルートが想定され、三島までの『EXご利用票』を沼津駅の観光案内所に持ち込むと、記念グッズがもらえる企画のほか、グッズや旅行商品の販売が行われました。
JR東海といえば、かつてはアニメなどとのタイアップをほとんど行わない会社だと言われていました。流れが変わったのは、2017年に映画『君の名は。』のコラボTOICAを発売したときですが、2020年に『ゆるキャン△ 梨っ子号』を運行するなど、徐々に自らのイメージを塗り替えてきました。2021年『推し旅>>UPDATE』を始めると、この年になって対象がアニメ作品などへ一気に拡大したのです。そこにきて、それまでは沼津駅単独でポスターを貼るなど細々とタイアップしていた『ラブライブ! サンシャイン!!』が、「JR東海とコラボしている作品」の筆頭格に一気に躍り出ました。
このタイアップは必然のように見えますが、実は「後輩であるLiella! が連れてきた」という側面があります。JR東海の企画担当者は、元々『ラブライブ! スーパースター!!』にはまったことをきっかけに沿線の『ラブライブ! サンシャイン!!』を知り、それがタイアップに繋がったのだそうです。奇跡のコラボですが、何がきっかけになるかわからないものですね。
この1年の終わり、Aqours8周年を控えた6月18日 (日)、沼津を巡るJR東海のウォーキングイベント『さわやかウォーキング』が開催されました。それに合わせて浜松発沼津行きで運転されたのが、急行『ラブライブ! サンシャイン!!』号です。作品名がそのまま列車名になりました。指定券は一瞬で売り切れ、人気を反映して続行便まで設定されました。車内ではAqoursメンバーの装飾や放送に迎えられ、大盛り上がりだったといいます。
私はこのイベントには参加していませんでしたが、ちょうど前日の17日 (土) にJR東海のスタンプラリーに参加するために沼津を訪れていました。まずはEXご利用票の条件を満たすために小田原*1から『こだま』号で三島入りしました。当時、伊豆箱根鉄道でも『幻日のヨハネ』のスタンプラリーをやっていたので、これも並行して進めました。
スタンプの配置は沼津駅周辺に3箇所、中心市街地に2箇所 (ゲーマーズ及び沼津リバーサイドホテル)、びゅうお、御用邸記念公園、内浦に2箇所 (あわしまマリンパーク本土側および三の浦総合案内所) と散らばっていました。初めに沼津観光案内所に寄って台紙を引き換えてから、北の2箇所を無視して沼津港へ向かいました。帰りには伊豆箱根バスラッピング2号車が来ました。
上土で降りて、沼津リバーサイドホテルからゲーマーズを通り、徒歩で沼津駅北口へ戻りました。善子の家の近くにある沼津リバーサイドホテルでは毎年善子の誕生日に小林愛香さんの出演するイベントが開催されることで知られており、数多くのグッズや色紙が飾られていました。続くゲーマーズ沼津店は、今度は「ヨハネ」の家に相当する場所にあります。『幻日のヨハネ』放送直前の、ふたりの「ヨハネ」を巡る盛り上がりを垣間見ました。

さて、ここからは内浦方面へ向かえば良いのですが、国道414号線→県道17号線を下るバスは1時間に1本しかありません。御用邸と淡島でスタンプを押さなければいけないため、普通に考えればこれだけで2時間のロスとなってしまいます。さらに、沼津駅の南北移動には手間がかかり (あまねガードまで迂回するか、入場券を買って跨線橋を通過)、内浦方面へのバスは発車間際という大ピンチ。この日の夕方にはまた別の予定があったので、なるべく早くスタンプを集めきらなくてはなりません。そこで、北口からタクシーに乗って御用邸へ直行してしまうことにしました。御用邸に来るのも2009年以来で見ていきたかったのですが、バスはすぐ来るのでスタンプを押したらすぐ戻る必要がありました。そして、あわしまマリンパーク (島に渡る必要はありませんでした) からは三の浦総合案内所まで歩きました。9個目のスタンプを押してタイマーストップ。記録は2時間43分でした。
ようやくここで少し時間の余裕ができたので、伊豆箱根鉄道のスタンプ設置場所でもあった伊豆・三津シーパラダイスでセイウチやイルカを見てからバスで伊豆長岡駅へ移動し、伊豆箱根鉄道のスタンプラリーに移行しました。

スタンプを押しては先を急ぐ慌ただしい行程でしたが、これまでに訪れた沼津の交通知識を総動員する、パズルのような旅になりました。
なお、この後コラボイベントはほぼ毎年のように開催されるようになりました。このコラボが続いていることが大きく効いてきたのが、幕間アニメでJR東海のロゴが映し出され、コラボ楽曲『僕らの旅は終わらない』が披露されたFinaleライブです。さらに、現在も車内コンテンツが配信されています。『僕らの旅は終わらない』公開当時の車内コンテンツは2025年2月に聴くことができたのですが、現在のそれは大阪・関西万博に行くのに新幹線に乗ったにもかかわらず、残念ながら聴き忘れてしまいました。
5. そして、もう一つの世界へ
6月25日 (日)、ついに『幻日のヨハネ ~SUNSHINE in the MIRROR~』のTVアニメが放送開始となりました。正確には、放送開始はAqours8周年を過ぎた7月2日 (日) だったのですが、ABEMAでは1週間先行配信が行われたため、「無限大の世界を旅する」というこの年のAqoursの活動テーマにぎりぎり収まる形での配信開始となったのです。
詳細は感想記事をご覧いただきたいですが、『幻日のヨハネ』は「異世界でありながら、ご当地アニメである」という、「グローバルでローカル」なこの時期のAqoursを象徴するような作品です。ヌマヅを見ているとますます沼津へ行きたくなる、そんな不思議な世界です。
この世界でどんな奇跡が起きるのか。それについては、次号で簡単に触れたいと思います。
*1:小田原に別の用があった