普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

繋がった光 ~ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA 感想週報㉒『ラストゲーム』~

 『トリガー』第1話のサブタイトルは、『光を繋ぐもの』でした。『ティガ』の『光を継ぐもの』ではなく「繋ぐ」なのは何故なのかに注目して見てきましたが、イグニスの最後の戦いで、ついに光が「繋がった」と思います。

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トリガーダークもウルトラマントリガーの一部
 (『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』第22話『ラストゲーム』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=jsCRs_mv9uo)
イグニスの葛藤の片鱗が現れた前回

carat8008.hateblo.jp

 

1. 揺れ動き、光を選ぶもの

 イグニスはユナのことを仲間として認めていて、ユナの自由意志に手を貸したこともありました。しかし、イグニスもまた、奇跡を起こすエタニティ・コアの力を必要としていたのです。

 仲間と故郷を失ったイグニスは、エタニティ・コアの力があればリシュリア星と人々を取り戻せる可能性に気づいたようです。悲しい過去をなかったことにできるなら、誰でもその可能性に賭けてみたくなるかもしれないと、ケンゴも指摘しています。

 しかしそれは、GUTS-SELECTの仲間を裏切ることに他なりません。イグニスは地球でできた新しい仲間を守り、未来へと進んでいきたいという気持ちも確かに持っていました。しかし、自分では過去を振り切ることができず、GUTS-SELECTに挑戦状という形でSOSを残していきました。この挑戦状の形は、『ティガ』のユザレのホログラムを彷彿とさせるものでしたね。それがSOSであることには、当の攫われたユナしか気づいていませんでした。

 ケンゴを足止めするからくり人形まで仕掛け、自分の気持ちに触れてほしくないという思いと、それでも助けに来てほしい、前に進む勇気を授けてほしいという心の叫びが最後まで葛藤していたのが、大胆に描かれました。

 それでも、そのユナがヒュドラムによって危機に陥ったとき、イグニスが選んだ道はひとつでした。GUTS-SELECTを待つことなく、自らトリガーダークに変身しようとし、ヒュドラムに立ち向かったのです。皮肉にも、自らが討とうとした仇のおかげで、イグニスは決心することができたのです。それだけでなく、駆けつけたアキトや、メカムサシンに辛勝して援護に来たケンゴたちにも応援されて強くなったことや、それに怒ったヒュドラムが3人を攻撃した時に身を挺して守ったことは、すべて「光」の要件を満たしています。このシーンのスローモーションを駆使した剣戟は、あまりにも印象的でした。

 「光」になったイグニスに、ケンゴが宿していたエタニティ・コアの光が呼応しました。イグニスはその光の力で、ヒュドラムとの対決に勝利しました。

 『ウルトラマンティガ』のメッセージは、「人は誰でも、自分の力で光になれる」ということでした。それは、形を変えて『トリガー』にも受け継がれました。闇のトリガーが自分の持っていた光の部分 (ケンゴ) に呼び覚まされて光になったように、その闇を盗んだイグニスのトリガーダークも、戦いを重ねるごとに光に目覚め、不器用で素直でなくても、他の人に信用されなくても、自分の信じる道を進んで、とうとう光になることができたのです。

 

2. 令和怪獣が目指す「超個性派」?

 イグニスが葛藤のさなかに、さながらダチョウ倶楽部のような書き置きとともに置いていったカラクリ武者・メカムサシンは、からくり人形の歌舞伎役者で、グリッタートリガーエタニティを圧倒する強さを誇りました。と、この一文だけでこの怪獣の「濃さ」がわかります。既に膨大な数の個性的な怪獣たちがいるウルトラシリーズにおいて、これからも語り継がれるべき新たな怪獣には、ゴロサンダー・バリガイラーで見たように、強烈な個性が必要です。それは、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の後を追って作られた昭和2期シリーズがそうだったのと同じムーブメントだと考えられます。とてつもなく変で、とてつもなく強い。強いので、物語の後半で登場することにもなります。

 トリガーはナースデッセイ号の援護を受け、メカムサシンの刀を奪ってメカムサシンを斬りました。最近のウルトラマンは何かしら剣を持っていることがほとんどですが、シンプルな日本刀もとてもよく似合うものです。

 

3. これからの『トリガー』とウルトラシリーズ

 五輪の放送枠の関係か、『トリガー』はなんとニュージェネ初の年跨ぎで放送されることになりました。実にメビウス』以来15年ぶりとなります。本項はクライマックスを迎える『トリガー』について取り上げます。

 イグニスに倒されたヒュドラムは、改心しないままに怒り狂うカルミラに吸収されてしまいました。ヒュドラムも、同じようにリシュリア星人たちを吸収したのでしょうか。だとするとこれは闇の種族共通の能力ということになります。

 そして、次回はダーゴン回であることが予告されました。そのタイトルは『マイフレンド』。これは劇場版『ティガ』のダーラムの口癖と重なります。さて、ダーゴンの運命はどうなってしまうのでしょう。

 ところで、玩具の通販で予約が始まった怪獣「メガロゾーア」。ガタノゾーアやデモンゾーアとは似つかない姿ですが、ラストのカルミラの台詞からすると、カルミラがヒュドラム (と、おそらくダーゴン) の闇を使って生み出すか、自ら変貌することが予想されます。結局、カルミラとも決着をつけなければならないことになりそうです。

 また、来年の「クロニクル」番組も発表されました。トリガーとダイナを中心にした番組になり、例年通りならば来年の新作もダイナ関連となることが内定します。トリガーの光が、どんな「新たなる光」に繋がるのか、今から楽しみです。


 恐らく今年は年末の振り返り記事を執筆しないことになりそうです。従って本日が最後の更新になるかと思います。

 皆様、よいお年をお迎えください。