「超獣」。怪獣より強い能力をもつカテゴリーで、本来出現していた『A』の枠を飛び出して様々な世界で人類やウルトラマンを苦しめてきました。今回は、超獣の主ヤプールの暗躍共々、はありながら、超獣の強さをこれでもかと見せつけてくれました。
ヒーローはきっとそばにいる。ではアガムスにとってのヒーローは?carat8008.hateblo.jp
1. 摩訶不思議ヤプール
不気味に揺らめきながら、アガムスに協力を持ちかけるヤプール。この後、ヤプールとその手駒、超獣アリブンタは様々な能力を発揮します。
アリブンタは、未知のエネルギー反応としてGUTS-SELECTに捕捉されました。「超獣」という概念は、この世界ではここで発見されたことになります*1。調査に向かったカナタたちの来た地下駐車場で、突然空間が割れました。最近ウルトラマンにはまった方にとっても、この力は見覚えがありすぎて恐ろしいはずです。『Z』ではセレブロに唆されて人類がその力を利用してしまい、最悪の兵器D4レイを作り上げてしまいました。カナタがアガムスによって異空間に拉致されると同時に、別の異空間からもカナタが出現。リュウモンたちを誘導しました。しかし、その先にいたのはアリブンタでした。カナタはヤプールが化けた姿だったのです。観察能力に優れたリュウモンですら見抜けなかったので、仕草まで含めて完璧に化けていたか、あるいは精神影響能力でも使って、リュウモンたちにカナタだと思わせていたのでしょうか。
現れたアリブンタはウルトラマンデッカーとの戦いで火炎や冷凍、怪力など「兵器」ならではの多彩な力を披露し、デッカーを苦しめました。
極めつけは、デッカーの目さえも欺く再度の変身でした。これについては後述します。そして異空間を使ってデッカーを追放してしまいました。今の人類には、とても手に負えない存在のように見えます。
2. 敵の連携もさる者
ウルトラシリーズではヒーローサイドのキャラクターたちが素晴らしい連携プレイを見せることが多々ありますが、今回は敵であるアガムスとヤプールが連携していました。
ヤプールが利用したのは、カナタの弱点です。以前アガムスは、カナタに「当てのない善意は逆に人を傷つける」と忠告していました。カナタは相変わらずで、アガムスが最も憎んでいる存在でありつつ、そのアガムスを救いたいとアガムス自身に訴えます。アガムスにとっては、自分を苦しめるカナタの剥き出しの善意を利用しない手はありません。そのことをヤプールに伝えていたのは一体いつだったのでしょう。ヤプールが取ったのは、傷ついたアガムスに扮し、アリブンタの攻撃からデッカーに身を挺して守らせるという作戦でした。
ところで、この2人は本当に共闘関係なのでしょうか? ヤプールが「悪魔」と呼ばれ、本人もそれを自覚していましたが、それを踏まえると、本当は欲に溺れたアガムスがヤプールに縋って、ヤプールに利用されているだけだと考えられます。本当に自分を救ってくれる存在は、自分の言うことを聞いてくれて、思い通りに動いてくれる存在ではないということです。
3. カナタの成長
アガムスを救いたいという気持ちを早速悪用されてしまったカナタですが、戦い方の面ではかなり成長しているように見えます。
今回アリブンタとテラフェイザーを同時に相手したデッカーは、1対2でも問題なく立ち回れているようでした。特に、アリブンタの腕からミラクルタイプで脱出するところにはこれまでの成果が、あるいは与えられた力を自分のものとして使いこなす実力が現れているように思えました。ストロングタイプで力ずくで抜け出してもいいところですが、ストロングでうまくいかないことはミラクルで、ミラクルでうまくいかないことはストロングでうまくいく傾向にあると思います。そこからの戦いでは分身して2体を同時に相手にするという芸当も見せていました。こういう機転は戦士としての経験の賜物です。