普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

マジカルヌマヅ、沼津と言ったらAqours ~幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR- 感想週報⑧『届け! Sea breeze』~

ここにいるみんなが宝物

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 『幻日のヨハネ』に、少なくとも私が見ようとしているものは、「ファンタジー」と「ヌマヅ」でした。迎えた夏祭り当日、ここで見られたものは「沼津」と「Aqours」でした。視聴者たちの評判には、いささか戸惑いもあったように見られます。

 しかし、私は結局沼津とAqoursが大好きなのだと、あらためて思い知らされてしまったのです。

 

「実質Aqours
(『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』第8話『届け! Sea breeze』より/©PROJECT YOHANE)

 

 

1. ヌマヅ夏祭り

 前回話に出てきた夏祭りですが、今回は早速その当日です。出店も山車も賑やかで、こちらの気分まで高揚します。

 この回には、これまで登場しなかった沼津や『ラブライブ! サンシャイン!!』の要素が現れています。ヌマヅの様々な通りに、みかんやお茶などの特産品と、ヌマヅへ行けない私たちも、「沼津」に行きたくなってしまう描写がたくさんありました。さらに、うちっちーまで登場していました。『幻日のヨハネ』スタンプラリーに参加していた伊豆・三津シーパラダイスですが、こちらの世界にもあるのでしょうか?

 

2. 魔法の杖

 1話で誕生した、ヨハネの杖。これはヨハネの特別な力を象徴するアイテムだと、ヨハネライラプスは認識しているようです。この杖は、今までにはヨハネ自身を少しだけ素直にしてくれたり、ダイヤとチカを仲直りさせたりと、心理的な効果があるようですが、いずれも魔法が無くても普通に成り立つことなので、これは魔法というよりも願掛けというか、おまじないに近い効果があると考えています。今回も、9人で歌うことへの不安を肩代わりさせていたように見えます。

 ところが、ヨハネはその杖をなくしてしまいました。最終的にはみんなの懸命な協力の末、ひょんなことから見つかりましたが、こうなってしまうと、杖の存在が逆にヨハネにとっての枷となってしまっている、と言わざるを得ません。最初、杖を失くしたときは、依存しすぎると魔法で消えてしまうのかと思ったほどです (そんなことはありませんでしたが)。

 もっとも、お祭りの一日を経て、ヨハネの心境にも変化があったのも確かです。始まる前は以前同様の空元気と、一足飛びに異変を解決できることへの期待、それと背中合わせの不安を抱いていたヨハネが、みんなとお祭りに参加できたこと自体が楽しく、その時間が過ぎていくことが惜しいと感じるようになってはいます。まだまだすぐにヨハネの自己肯定感が高まるわけではないとも思いますが、本当の宝物に気づいたとき、ヨハネにとってこの杖はどのような存在になるのでしょうか。また、かつての英雄も同じような魔法の杖を持っていましたが、彼女 (彼?) は、どうして杖を持っていたのか。ファンタジー要素は閑話休題のような回ですが、よくよく考えるとそこにも謎が残されています。

 その「異変」に関しては、ヨハネの早合点であったのだと思います。おそらく、最後も同じようにみんなで歌うことでヌマヅを救うことになるのではないかとは予想できますが、まだまだ9人の関係性も始まったばかりですから。

 もう1つ気になるのが、最近ライラプスとの関係が良くないのではないか? と感じるところです。今回冒頭でのヨハネの「特別な力」を無条件に持ち上げるような励まし方は、あまり今までのライラプスには見られなかったような気がします。ヨハネのほうも、女子会の準備の時も然りですが、ライラプスに素っ気なくなりました。次回予告では一匹で佇むライラプスの姿が見られましたが、ついに仲違いしてしまうのでしょうか。

 

3. 全員曲Wonder sea breeze

 ついに『幻日のヨハネ』でも "全員曲” が披露されました。グループがあるわけではないので何をもって全員かわからなくなりそうですが、私たちの誰もが知っている9人組に対応する、7話で女子会に最後まで参加していた9人のこととします。この9人で歌う姿には、こちらの世界に住んでいる私はどうしても安心感を覚えてしまいます。

 言うまでもなく、要はAqoursだからです。

 『Wonder sea breeze』の曲調にも振り付けにも演出にも、Aqoursらしさが盛りだくさんです。サビでの、女子会の班分けと合わせたフォーメーションも、「なぜか」Aqoursを強く意識させるものになっています。

 『ラブライブ! サンシャイン!!』とは異なる、新たな物語を紡ぐのに、Aqoursの存在は蛇足ではないか? とか、結局着地点が同じなら飽きられてしまうのではないか? など、『幻日のヨハネ』が始まる前は気にしていたものです。むしろ、本作に期待したことも、ファンタジー世界を活かした過去作に縛られない作品作りでした。しかし、蓋を開けてみればその方向性は当初の予想とは異なっていて、しかしそれも良いものだと思っています。

 まずは、過去の私が持っていた1つ目の疑問である、Aqoursに対応する9人がみんなで歌うことについてですが、これについては過去の私ももう答えを知っていました。どんな世界に生まれても、どんな運命を辿ってもひとつになる人たちというのがいて、Aqoursの9人もその一例です。『スクスタ』の鞠莉や、μ's・高坂穂乃果も近いことを言っていました。

 もう1つが、結局9人で歌うなら……というところですが、そこだけに着目してしまうと今までの1話から7話はなんだったのか? ということになります。どんな運命を辿っても同じところに辿り着くにしても、どんな道を辿ったかによってその意味は変わります。前回、ヨハネの回り道にこそ意味があったという趣旨の回だったのを思い出してください。

 実際、街のみんながお祭りを楽しんで、その中でメンバーのうち誰か (今回はヨハネ) にトラブルが発生し、それをみんなで解決して、最後はみんなで歌っておしまいという構成は、『幻日のヨハネ』らしくはないかもしれません (もっと言うと、『サンシャイン!!』にもあまり似ておらず、むしろ『虹ヶ咲』に近い)。そういう意味で、構成にこそオリジナリティがなかったかもしれませんが、「沼津をモデルにした街」の人々の華やかな一日を描くのに、そこにAqoursの存在があっていけない理由はないと思います。言い換えれば、この回はAqoursに対応する9人だけでなく、ヌマヅの人々の心の音を、現実の沼津に照らして表現した回ということです。

 

素晴らしい安定感