普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

「光であり、人である」とは? ~ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA感想週報⑮『オペレーション・ドラゴン』~

 前回も巨人がたくさん登場しオールスターバトルの様相を呈していた『ウルトラマントリガー』ですが、今回は輪をかけて詰め込みまくっていましたね。ナースデッセイ号・バトルモード、ケンゴの二度目の覚醒、アブソリュートハート、トリガーダーク……。

前回・アブソリューティアン編前編

carat8008.hateblo.jp

 そんな中、話題をかっさらっていったのがこのお方。

f:id:Carat8008:20211030103954p:plain

「妖麗」の名に相応しいお姿
 (『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』第15話『オペレーション・ドラゴン』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=mGBap37S-0w)

 

1. カルミラ人間態

 なんとカルミラの人間態として、カルミラの声を担当している上坂すみれさんがご登場になりました。本人役声優の生身出演といえば、『ジード』のレムを演じた三森すずこさんの前例があります。このときは予告がありましたが、今回は事前に一切情報の無かったサプライズです*1

 カルミラがここで人間の姿を取った理由が特にないというのが、今回の面白いところです。坂本監督がこの美貌を見てもらいたかった……というのはさておき、いつもの姿で研究所に忍び込んでも問題はなかったはずですが、今回の敵が人類の敵でもあるアブソリューティアンである関係上、あまり人間の作戦を邪魔したくなかったのでしょうか。取るに足らないと思っていた人間であるケンゴの力に手を噛まれたことの影響も、で、人間に対する捉え方も変化しているかもしれません。

 余談ですが、グリッタートリガーエタニティ (以下、グリッター) の必殺技・エタニティゼラデスが発動するとき、グリッターブレードから「Violet!」という音声が鳴ります。もちろんマルチタイプのカラーのことですが、このvioletという単語は「すみれ」という意味でもあります。奇妙な偶然の一致です。

 

2. 先輩の貫禄と、心に眠る領域

 今回はリブットが、ゼットとはまた違う先輩らしさを見せてくれました。特訓に来ていたケンゴとユナ、そして (何故かいる) イグニスの心を見抜くような発言、的確な指導、そして歴戦の勇者らしい戦い方と、変身前後のどれをとっても魅力的なウルトラマンの見せ方だと思いました。

 リブットと特訓といえば、リブット自身がパワードとグレートから受けた特訓を思い出します。その時に言われた、「心を無にして眠っている領域にタップする」という台詞を、今回はケンゴに対して期待通り言ってくれました。この一見よくわからない台詞ですが、『ウルトラギャラクシーファイト』の台詞は英語でも書かれているので、訳語的なのだろうかと思っていました。しかし、今回にきて、少なくともトリガーにとってその言葉がどういう意味なのかが、なんとなく見えてきました。その詳細は最後の項に譲りますが、ケンゴの場合にはそれが忘れていた自分自身を思い出すことだったのです。リブットの場合は結局どういう意味だったのでしょうか? 何か幼馴染のソラとの約束でもあったのでしょうか……。

 リブットが良い先輩だなと思ったもう一つの点は、「命を救う銀河の光!」と、変身口上でケンゴのものを真似ていたことです。本来ローエンド版であるユナのGUTSスパークレンスで変身してしまったのには流石に驚きましたが……。

 

3. トリガーダークはふたたび

 なぜかリブットの特訓に紛れていたイグニスですが、どうやら目的はリブットの身のこなしなどを「見て盗む」ことだったようですね。なんでも盗んできたイグニスの新しい側面を見た思いがします。そして、リブットがGUTSスパークレンスを変化させたのも、見て盗んでしまいました。ケンゴが作用する前のトリガーの力を宿していたイグニスは、ついに、トリガーダークへの変身を成功させます。

 光にも闇にも所属しない自由人を気取るイグニスですが、リブットには、「一つのことに囚われて、周りが見えなくなっている」と鋭く指摘されてしまいました。次回予告を見る限り、それは親と故郷の仇であるヒュドラムへの復讐のことだと思われます。ひょっとすると、今まで宇宙中から強力なお宝を盗み続けてきたのも、ヒュドラムに立ち向かえる力を求め続けてきたからかもしれません。

 ここでウルトラマンに変身したとて、イグニスはリブットに習わなかった「つけ」を払うことになる気がしてなりません。『ティガ』のイーヴィルティガがそうだったように、同じ光を手に入れたとしても、心が伴わなければ真の意味でウルトラマンにはなれないからです。

 

4. 結局「光であり、人である」とは何だったのか

 『ティガ』のユザレは、ダイゴが人間の運命に干渉しない光の巨人たちとは異なり、人として行く先を決めることができる、という意味で「光であり、人である」と言いました。『トリガー』のユザレも、同じ台詞を言っていたことが明らかになりました。感想週報では、ああでもないこうでもないと予想を繰り返していたことでしたが、やはり原典に倣った形です。となれば、『トリガー』がこの言葉にどのような再解釈を与えるのかが、後編の重要な目的となります。

 ケンゴは超古代で自分がウルトラマントリガーそのものだと気づき、光の化身としての使命を背負うことになりました。それと同時に、周りまで見えなくなっていたのです。「皆を守る」ことは、ウルトラマンとしての使命です。しかし、アキトやユナ、それに母であるレイナも、ウルトラマンだからということはなく、ケンゴ自身を想っていました。ケンゴが「人である」ためには、自らの夢である「皆を笑顔にすること」を思い出し、ケンゴを大切に想う人たちの想いに応えることが必要です。それに気づけたとき、ケンゴも自然に笑顔になることができました。

 合体にせよ能力を手に入れたにせよ、あるいはケンゴのように自分自身がウルトラマンであったにせよ、何であっても人間がウルトラマンになるということは、「光であること」と「人であること」の二重性が生じます。それがひとつになったとき、どんな答えを出すのかが重要です。ハルキのように「自分の手の届く命をすべて救うこと」を夢見て、光であることを選択することもできます。ケンゴは大切なものがわかってきたところですが、これから「人」としてどんな選択をしていくのでしょうか。

*1:基本的にウルトラマンで玩具に関係ない情報はバレにくい