ホッタとマルゥルは、何かを知っている?
待ちに待ったウルトラマントリガー客演回です。『トリガー』怪獣が現れ、ピンチのデッカーの前にトリガーが颯爽と……なら、いつもの流れです。しかし、『トリガー』といえば謎だらけで始まって、謎を解き明かしてきたドラマです。 そうなると、先輩ヒーローが現れながら、その先輩についての謎がちりばめられていくことになります。
1. 襲来から1年、火星のいま
スフィアのバリアのせいで状況がわからなくなっていた火星の様子から物語が始まります。難民キャンプのようなところで子供に話しかけているフード姿の男性が、10年経って貫禄が出た光の化身・マナカ ケンゴです。2度の大きな戦いを経て火星へ凱旋したケンゴは、TPUで活動しつつ植物の研究を続けていました。
ケンゴの前に、再びユザレ (?) が姿を現します。ユザレが新しい武器と「スフィア」を含む4枚のカードを授け、地球へ向かうよう告げました。次の瞬間火星をスフィアが襲いました。戦闘態勢に入るケンゴと、アキト・タツミ。どうやらスフィアの襲来を受け、火星でもかつてのGUTS-SELECTメンバーが再編成されていたようです。ただし、ユナは地球にいるようで、親子分断されたアスミ家や仲間と引き離されたイチカだけでなく、ここでは幼馴染同士がスフィアによって引き裂かれていました。こういった話は無数にあるのでしょう。
火星の情報が途絶し、火星の人々がどうなったのかわからなくなっていました。一時は全員スフィアに吸収されてしまったかもしれないとさえ思いましたが、犠牲になった人もいる一方で、少なくとも火星の人間生活はなんとか維持されているようです。初代GUTS-SELECTメンバーのおかげで、火星は宇宙の人類の避難所として機能していました。
ケンゴは、カナタの両親の無事を約束はしませんでしたが、カナタは未だにそれを信じて頑張っています。カナタは果たして両親と再会できるのでしょうか。
2. ケンゴの帰還
難攻不落と思われたスフィアのバリアを最初に突破したのは、ウルトラマントリガーでした。トリガー単体では弾かれてしまい、どうするのかと思えば、ユザレの出したスフィアのカードを解析したアキトのアイデアで、スフィアに仲間と誤認させることで難なく通過していました。つくづくとんでもない男です。
トリガーとデッカーが変身を解き、ケンゴとカナタが対面するシーンにはやはり感動がありました。それは誰にも正体を明かせない本来孤独な自分のことを理解してくれる人の出現であり、特に後輩のカナタは他のウルトラマンに会ったことがなく、なおのこと心強いことでしょう。ウルトラマン同士、ウルトラマンというだけで、相手が命をかけているものや、してきた苦労など、思うところがあるのだと思います。
カナタはGUTS-SELECT元隊員としてのケンゴのことも尊敬していたので、トリガーの正体には余計に驚いたようです。今の地球でトリガーの正体を知るものは、ホッタとマルゥル、それにユナしかいません*1。
3. ケンゴとカナタ
トリガーとデッカーの「元ネタ」というべきティガとダイナ、つまりダイゴとアスカは、オリジナルとしてはついぞ対面することはありませんでした*2。ケンゴとカナタは直接対話したことで、2人の対比をよりはっきりと見ることができました。
ケンゴはウルトラマンになる前 (ケンゴは生まれながらにしてウルトラマンですが、自分の正体を知り、変身する前のことです) から、人々を笑顔にするという夢を持っていました。そのために植物の研究をし、火星で育つ花・ルルイエを育てていました。ウルトラマンとなっても、「みんなの笑顔を守る」という確固たる使命のもとで数々の戦いに挑んでいました。自分が光の化身であるという運命も、そういう確かなものがあったから受け入れられたのだと思います。ただし、その分一人で何でも抱え込んでしまうところはありました。
一方で、カナタは元々「普通の人」でした。親孝行で、人に優しく、誰にでもフレンドリーに接するなど、長所や魅力は数多くありますが、自分が何のために生きているのか、誰のために戦うのか、考えたことはありませんでした。ただ、目の前に誰かの危機があれば、立ち止まってはいられない、考えるより先に体が動くタイプです。リュウモンにはその向こう見ずぶりを批判されることもありますが、今やそのリュウモンもカナタの生き方を認めています。カナタは、夢がなくても「今この瞬間」に命を懸けられる人なのです。
2つの異なる個性が重なり合ったとき、どんな強敵も乗り越えられる、そんなチャンスであると感じます。
4. 新たなる力・ウルトラデュアルソード
ケンゴが新しいユザレ (?) から授かった力、ウルトラデュアルソード。ガッツハイパーキーとウルトラディメンションカードの両方を読み込む部分があり、両アイテムとの連動で技を出す仕組みになっています。ナースデッセイ号もそうですが、昨年のおもちゃを今年も使える、子供にも親御さんにも嬉しい仕様です*3。
今回の敵、邪神スフィアメガロゾーアは、『トリガー』のラスボスがまさかの復活を遂げた存在です。ウルトラデュアルソードから放たれた「デュアルデラシウムインパルス」と「デュアルゼペリオンブレイク」は、スフィアメガロゾーアを深く切り裂きました。ところが、その中から現れたのは、なんと光となって消えたはずの闇の巨人・妖麗戦士カルミラでした。もちろんおなじみの上坂すみれさんによる「マナカ ケンゴォ!」のボイスも再び聞くことができました。カルミラは、なぜ復活したのでしょうか?
他にも新しいユザレや、予告に出てきたルルイエなど、先輩客演回にして先輩絡みの謎をばらまき過ぎて、次回を見ないことには今回を評価するのは難しいです。1週間待ちきれません。