普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

【途中からネタバレ有】「わからないもの」に愛の花を ~『シン・ウルトラマン』感想速報~

そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン

 2022年5月13日 (金)、待望の映画『シン・ウルトラマンが公開されました。人気俳優を多数起用した、言ってしまえば「一般向け」のウルトラマン映画としては『ウルトラマンサーガ』以来10年ぶりであり、樋口真嗣監督、脚本庵野秀明さんという組み合わせは『シン・ゴジラ』のもので、ファンの間には期待と不安の入り混じった感情があったと思います。蓋を開けてみれば、マニアが頷くネタが盛り込み放題で、それでいて人間の世界に向けたメッセージが語られる、ウルトラシリーズのファンだけでなく全ての人間に向けた映画でした。

 これを14日 (土) に早速観てきました。途中からネタバレ有りの内容となりますので、まだ観ていないという方、特にラブライバーで当ブログをお読みくださっている皆様も、ぜひとも途中までお読みいただければと思います。

 

1. 『ウルトラマン』とは?

 このブログをご愛読くださっている方の中でも、『ウルトラマン』のことをよく知らない方はいらっしゃると思います。「怪獣を倒す銀色の巨人」「スペシウム光線」「3分間しか戦えない」ということはご存知でも、「そもそも、なぜ今『ウルトラマン』なのか」にはピンと来ないかもしれません。ここでは、『ウルトラマン』初心者の方に『シン・ウルトラマン』に連なるウルトラシリーズを簡単にご紹介してから、ネタバレありの本題に移っていきたいと思います。

 「ウルトラマン」と付くヒーローには色々なパターンがありますが、ここでは『シン』のウルトラマンと、その原作となった初代ウルトラマンについて説明します。ウルトラマンは宇宙からやってきた巨人で、人間の身体を借りて地球で生活しています。そして、いざというときはベーターカプセルで本来の巨人の姿になり、怪獣や宇宙人と戦います。しかし、この基本的なあらすじだけでもウルトラマンは人間なのか? 宇宙人なのか?」、また、ウルトラマンはなぜ地球のために戦うのか?」という疑問が湧いてきます。正義とか悪とかということは一旦脇に置いた方が、『シン』は10倍面白くなると思います。他にも、「なぜ最初からスペシウム光線を撃たないのか?」や、ウルトラマンの巨大な身体はどこから出てくるのか?」など、初心者の疑問に答えたり、ヒントをくれる内容になっています。

 ファンと一緒に観に行くのも面白いと思いましたが、私はあえてウルトラマンをよく知らない人 (好きな映画のジャンル: ジブリ映画。以下「連番者」) と一緒に『シン・ウルトラマン』を観に行きました。その結果、ウルトラマンをよく知らなくても面白い作品だとわかりました。むしろ、ウルトラマンに比較的詳しい私でも、「『ウルトラマン』ってこんな作品だったのか!」と驚く内容になっていました。

 それでは、本題に入ります。まだ『シン・ウルトラマン』をご覧になっていない方は、以下のリンクからぜひ予約してみてください。

 

TOHO THEATER LIST/シン・ウルトラマンシアターリスト

 

以下、ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.『シン』のウルトラマン

 『シン』に登場するウルトラマンの特徴は、すらりと細く、高身長な体型と、全身メタリックな表面、そしてカラータイマーのない胸です。これは、ウルトラマンのデザイナー、故・成田亨さんが考えたウルトラマンそのものです。近年の作品に登場する初代ウルトラマンの筋骨隆々な姿とは大きく違う、細マッチョで「美しい」肉体をしています。

 成田さんは、ウルトラマンの胸に付けられたカラータイマーについて、生物としての完全性を損ねるとして、生涯反対し続けていました。後に、このタイマーは必要な戦士に後から付けられる道具という設定が付与されましたが、今回はカラータイマーのない、オリジナルのウルトラマンが登場することになりました。

 驚いたのは、カラータイマーの代わりに体色が変化する演出です。これは『シン・ゴジラ』のゴジラが進化するのと同様、予告にもないサプライズでした。初めて地球に降着したときは黒、神永が初めて変身した2戦目では赤、ガボラの光線を吸収してダメージを受けたときは緑と、オリジナルに忠実でありながら、スーツではできない変化*1を描いていました。この美しい姿のウルトラマンの活躍が、人類の精神や行動に大きな影響を与えていくことになります。

 ザラブ戦の空中戦のような激しいアクションはもちろんですが、それ以外の所でもあっと言わせてくれました。ウルトラマンは、ボディスーツだけでなく、操り人形で撮影されているところがあります (「操演」と呼ぶ)。手足をぴんと伸ばして飛ぶところや、その直立姿勢のまま縦に高速回転する、一見するとシュールな動きがそれです。最近はほとんどがCGに取って代わられていると思いますが、『シン』では逆にCGでこの動きが再現されていました。ガボラに浴びせた回転キックなど、特撮作品としての『ウルトラマン』を心から愛していなければこのような表現が出てくるはずはありません。

 ウルトラマンの姿、動きからは、『シン』制作陣のウルトラマン愛が伝わります。

 

3. メフィラスがばらまいた「愚か」と「危険」と「無力」

 『シン』最大のウルトラマンのライバルが、メフィラスです。もちろん元ネタは『ウルトラシリーズ』のあちこちで悪行を働く悪質宇宙人・メフィラス星人です。本作では地球外から来た知的生命体のことを「外星人」と呼びますが、ウルトラマンより先に地球にやってきたメフィラスは「外星人第0号」です。演じた山本耕史さんの「気味の悪いイケメン」ぶりと、メフィラスの山本さんへのはまり役ぶりを、連番者も称賛していました。

 メフィラスの登場は予告編でも明かされていましたが、いきなり巨大フジ隊員ならぬ「巨大浅見分析官」が出現したときは思わず噴き出しそうになりました。浅見分析官が巨大なだけで終わらないのが『シン』です。何でもスマホで撮影され、インターネットで拡散される現代社会においては、ウルトラマンもザラブが盗撮した映像によって正体をばらされてしまうのですが、この巨大化した浅見の姿もネットの海にばら撒かれてしまいます。一般人は当然、脚の下から浅見を覗く形になり、浅見は大衆からの性的な眼差しに晒されてしまいました。シン・ゴジラ』のときと同様、「もしこの怪獣が現代社会に現れたら」をリアルにシミュレーションしたシーンです。ネットの情報は永遠に消えないというのはネットいじめやセクハラの怖いところですが、全てを知っているメフィラスはそれを全部消してしまいます。浅見には「人間の動物的な性質まで考えが至らなかった」と詫びていましたが、それも本当かどうか怪しく、被検体にした浅見にも自分を信頼させるための策略としか思えません。

 メフィラスは地球に眠っていた「禍威獣かいじゅう」を覚醒させ、ウルトラマンを地球におびき寄せるなど、この世界で起きた全ての事件の糸を引いていました。人間の巨大化技術は、ウルトラマンの変身と同じく、「別次元のプランクブレーン」、難しいですが、言うなれば”四次元ポケット”の中からスペシウムでできた無敵の肉体を呼び出すものです。その技術の真相を人類には知らせず、人類にその技術を使わせるのと引き換えに、人類を支配するのがメフィラスの計画でした。そのためにマッチポンプのようなこともたくさんやりながら、浅見にしたように「優しい」ところを見せ、人間の心を掴んでいきます。

 人心掌握のコツは、相手の弱みを暴いた上で、その弱みに付け込むように懐柔することと言われています。メフィラスが暴いた人類の弱みは3つでした。1つ目が意思を奪われた女性に欲望をむき出しにするような愚かさ。2つ目は、巨大化して自ら核兵器よりも強い兵器となり得、宇宙中の欲望の標的となる危険さ。そして、巨大化技術を自らの手で解析したり、制御することのできない無力さです。

 とはいえ、メフィラスが人間を支配しようとしたのが、人間を守りたかったからだというのは方便ではないと思います。人間だって、家畜を飼うときは家族同然に大切にしますし、外敵の脅威があれば命懸けで守ります。それでいて、時に使役し、時に屠殺するという関係が矛盾したものだと思っている人は多くはありません。メフィラスは、人類という宝を他の外星人に渡したくなかったのです。人類を大切に思う者同士手を組むことをウルトラマンに持ちかけますが、ウルトラマンにとってそれを「人間を守る」と呼ぶことは受け入れられないことでした。この映画の視聴者は私の知る限り全員地球人なので、事件の当事者である以上メフィラスは有害な存在なのですが、立場を離れて考えれば、これが正義とか悪という問題ではないことがわかってきます。ウルトラマンは、個人的な想いから、メフィラスの計画を阻止することを決意します。

 メフィラスの「誑し」ぶりを見ると、ウルトラマンの不器用ぶりが際立ちます。元々神永は単独行動が多くミステリアスな人間だったといいますが、何を考えているかわからず、正直気持ち悪さを感じた方もいたのではないでしょうか。浅見の匂いからベーターボックスを隠したプランクブレーンを見つけ出した作戦も、メフィラスに「変態的」と揚げ足を取られていましたが、ウルトラマンには「人の気持ちも知らず」、でも憎めない、そんな性格を感じ取れます。

 

4. ゼットン: 嘘から出た実

 ウルトラマンとメフィラスの戦いのさなか、ウルトラマンの背後から戦いを見つめる金色の外星人の姿がありました。その姿を認めるや否や、メフィラスは戦いを中断して逃げてしまいます。地球人を守ろうとしているとはいえ、こういうところで程度が知れてしまいます。しかし、その外星人は、メフィラスが逃げても仕方ないような存在でした。

 外星人は、ウルトラマンと同じ光の星*2からの使者で、現地人との融合という禁忌を侵したリピア――本作におけるウルトラマンの真の名――を連れ戻しに来ます。それだけでなく、宇宙全体の脅威となった地球人を、太陽系ごと消し去るというのです。

 その恐るべき粛清者の名前は「ゾーフィ」ウルトラシリーズを知っている人なら、ゾフィーでは?」と思ったに違いありません。色こそ違いますが、身体のラインはゾフィーそのものです。実は、これは『ウルトラマン』放送当時に連載していた児童誌が、最終回『さらばウルトラマン』に登場するゾフィーゼットン星人を混同した上に名前を誤植したのが元ネタです。あまりにもマニアックなネタが”公式のウルトラマン”に出てきてしまい、笑うところではないのに笑いそうになってしまいました。

 普通に考えればゾフィーゼットンを連れてくるわけがないのですが、人類を守ることが「正義」ではないならば話は違ってきます。むしろ、光の星の住人がよその星の人々を守るのは当たり前ではありませんし、そんな都合のよい星はそうそうないのです。

 最終的に、ゾーフィはウルトラマンの命を助けてくれようとし、願いを聞いてくれました。もし、本編のウルトラ戦士たちも、初代ウルトラマンの地球人との出会いを経て、戦い方や考え方が変化していったのだとしたら、とても夢のある話だと思います。

 ところで、ゾーフィのようなウルトラマンは本編にもいます。『ウルトラマンコスモス』の劇場版に登場し、『ウルトラマンジード』の朝倉リク役・濱田龍臣さんの「推し」でもあるウルトラマンジャスティです。ちょうどジャスティスのフィギュアの発売と映画公開が重なり、一部では「意識しているのでは?」とも囁かれました。そう考えると、ウルトラマンリピアという「花の名前」*3が付いているのは、偶然ではないような気がします。

 

5. ウルトラマンから人間への「応援」

 ゼットンは、原作でもウルトラマンを殺害するに至る最強の怪獣です。『シン』でもその強さは強調され、未完成でもウルトラマンが全く敵わないほどの強さを見せつけました。ウルトラマンを失った人類にはなすすべはなく、各国政府も完全に立ち向かうことを諦めてしまいます。正確には、ウルトラマンが健在の頃はウルトラマンを利用してゼットンを倒そうとしますが、ウルトラマンは地球人が安易に自分の力に頼ることを良しとせず、そのために禍特対メンバーに危害を加えようとする政府の人間には本気で怒りました。

 地球に来て、神永と一体化したばかりのウルトラマンは、感情を表に見せようとしませんでした。子供を守るために身を挺して死んだ神永を理解するために、神永と同化し、人間について学ぶためにひたすら本を読んでいました。哲学の本を読むウルトラマンのことは可愛いと思うと同時に、謙虚でとても尊敬できる存在だと思いました。そんなウルトラマンが、浅見との交流を通じてだんだん人間らしくなっていくのが、この映画のドラマパートで一番見応えがあるところだと思います。浅見もそんなウルトラマン = 神永の姿を見て、だんだんと心惹かれていきました。

 ウルトラマンが敗れ、戦意を喪失した人類。禍特対の滝もそのような人間の一人でしたが、ウルトラマンが人類に遺した言葉に触れ、諦めたくないという思いを湧きあがらせていきます。ウルトラマンは人類の開いてはいけない扉を開いてしまったことを詫びつつ、人間の可能性を信じる言葉を綴りました。それは、ウルトラマンによる人間への「応援」でした。

 人間は、というよりウルトラマンが大好きな子供たち、あるいは子供の心を失わなかった大人たちは、56年間ずっとウルトラマンを応援し続けてきました。『シン・ウルトラマン』は、ある意味でその応援に対し、ウルトラマンが応援し返してくれる作品でもあったと思っています。

 ウルトラマンは人間がプランクブレーンの仕組み「ベーターシステム」を理解して編み出した、自身も考えつかなかった作戦でゼットンを撃破し、ブラックホールに飲み込まれてしまいます。リピアを助けに来たのはゾーフィでした。ここで、リピアの人間への愛を表す言葉がゾーフィに向けられます。人間と一体化し、理解しようとし、それでも理解できないことこそ人間だというのです。それは全てを分かった気になっていたメフィラスには辿り着けない境地でした。自分たちと違う存在の狭間に立って、必死で探求し、それでもわからないものをただ「愛する」ことができるという、強い者が語る愛の言葉は、私たちに強くなる鍵を与えてくれます。そして、最初は理解できなかった神永の自己犠牲の精神を、リピア自身も持つに至ったのは、それが生きたいという意志と表裏一体であることに気付いたからでした。自分の命をどうでもいいと考えている者には、誰かのために命を擲つことはできないというのです。ウルトラマンゼットンを倒した後、絶対に生還できない作戦から生き延びようともがいていました。ゾーフィはそれを察知したのです。それは、ゾーフィが考えを改めるきっかけとなった、人間の諦めない生き方にも通じます。たとえ愚かでも、危険でも、無力でも、生き抜こう、大切な人を生き抜かせようという意志こそ、ウルトラマンが人間を信じるに至った根拠でした。

 

6. ウルトラQ & A

 映画開始の瞬間も度肝を抜かれました。いきなりシン・ゴジラ』のロゴが出現し、『シン・ウルトラマン』のロゴに変化します。そして、開始2分ほどで次々に禍威獣が現れました。ゴメス(ゴジラの着ぐるみを基に造られた原典同様、『シン・ゴジラ』のゴジラそっくりな姿をしている))、マンモスフラワー、ぺギラ、ラルゲユウス、カイゲル*4、パゴス……。これらはすべて、ウルトラQ』を基にした演出です。

 『ウルトラQ』は『ウルトラマン』の半年前に放送されていた、真のウルトラシリーズ第1作です。この作品にはヒーローは出て来ず、怪獣や怪現象が人間を襲い、人間はそれを紐解いたり立ち向かっていくというドラマです。『ウルトラマン』が『ウルトラQ』から始まったことを意味しています。

 『Q』とはあまり関係がありませんが、『シン』では、『ウルトラマン』を見た人が抱きがちな様々な疑問に答えています。ここでは、それらの問題と、『シン・ウルトラマン』が出した回答*5についてまとめてみました。

 

Q. 他のウルトラマンには名前があるが、ウルトラマンには名前が無いのか。

A. 「ウルトラマン」が名前。ただし、本作では「リピア」が真名。

 

Q. どうやって人間が巨大化するのか。

A. 別次元に巨大化後の身体を隠している。

 

Q. なぜ、戦闘開始後すぐにスペシウム光線を撃たないのか。

A. 身体も光線も同じスペシウム133*6でできている。つまり、身体の一部を発射しているのと同じなので、最初から撃ったら消耗してしまう。とはいえ、ザラブ戦やゼットン戦のように必要とあれば最初から撃つし、ガボラ戦のように撃たないで決着をつけることもある。

 

Q. ウルトラマンの身長40 mに対して体重20,000 tは重すぎ*7ではないのか。

A. 本作では身長60 m、体重2,900 t。ヒトと同じくらいの比重に調整されているが、スペシウムは重い元素だと思われるのでもう少し重くても良さそう。

 

Q. あんなに頻繁に姿を消していては、ウルトラマンになる男は正体がすぐばれてしまうのではないのか。

A. 本作では、情報化社会になっていることもあり、簡単にばれてしまう。ウルトラマンである神永自身も、ウルトラマンのバディで、助けられるところを目撃された浅見も、大衆に行動を狙われ続ける。

 

Q. 大体、ウルトラマンが怪獣を倒すのに、防衛隊の役割とは何なのか。

A. 本作のみならず、人間のなせることを本題にしているウルトラシリーズの作品は多い。気になった作品を観て、皆様の目で確かめてほしい。本作では人間はほぼ戦力を持っておらず、戦力を持つ外星人に誑かされてしまうが、それでも人間の「諦めないキモチ」が勝つ。

 

 この項は、思いつき次第追加しようと思います。特撮ファンの中には、身も蓋も無い質問をされると怒る方もいますが、ウルトラマンを愛するクリエイターたちが、一番これらの疑問に真摯に向き合っているのかもしれません。

 ウルトラマン』は、異なる存在に想いを寄せ、孤独でも戦う者、そしてそれに向き合う人間たちの愛の物語です。それを作る人々の愛が溢れた『シン・ウルトラマン』が大ヒットしていることを、心から嬉しく思います。

 

7. 余談・『シン・ウルトラファイト

 映画公開に合わせ、TSUBURAYA IMAGINATIONで特別映像『シン・ウルトラファイトが公開されています。『ウルトラファイト』といえば、ウルトラセブンが野原や採石場で怪獣と取っ組み合いする、独特の味わいのある短編映像……と思いがちですが、実はそれ以前に、ウルトラマン』『ウルトラセブン』の本編を編集し、プロレスのような実況を付けた短編映像が作られています。『シン・ウルトラファイト』はそちらを完全再現しています。エフェクトこそかかっていますが、流れているのは高画質な『シン・ウルトラマン』の本編映像です。しかし、そこに昭和チックで独特の言語センスを発揮する実況と、チープな効果音、そして本編で一切鳴かないウルトラマンの掛け声まで挿しこまれています。はっきり言ってマニア向けの内容ですが、それ以外の方もウルトラシリーズマニアはこういうので興奮するんだ」というのを知るにはちょうど良い内容です。TSUBURAYA IMAGINATIONは、5月中は無料で体験できるとのことです。

 ところで、近年の作品で「ファイト」が付くものと言えば、現在も『ULTRA GALAXY FIGHT』シリーズが進行しています。坂本浩一監督による作品群で、『ファイト』を人間の俳優が出てこないウルトラマンの短編映像と捉え直し、独自路線を展開しています。一方で、田口清隆監督はコメンタリー付きの怪獣プロレスこそが『ファイト』だと解釈し、『ウルトラマンZ』の特典映像として『セブンガーファイト』を制作しました。他に、『SSSS. DYNAZENON』の特典映像『グリッドナイトファイト』もあり、超低予算で『ウルトラセブン』と『帰ってきたウルトラマン』を繋いだ、ある意味伝説の番組が、様々な解釈で現在に蘇っています。

*1:現在のウルトラマンはタイプチェンジで色が変わるので、やろうと思えば可能

*2:本編のウルトラマンの出身地は現在「光の国」と呼ばれているであるが、昭和期には「ウルトラの国」、平成初期には「ウルトラの星」と呼ばれることも多かった

*3:コスモスも「宇宙」や「秩序」という意味だが、変身時のエフェクトなどに「秋桜」を意識したものがある

*4:原典のゴーガ

*5:「A」は、ウルトラマンエースとは関係ない

*6:133はスペシウムの原子番号。通常、元素名の後には原子番号ではなく質量数を付ける。しかし、『シン』は初代『ウルトラマン』にも出てくる133という数字を呼ぶことを重視したと思われる

*7:私の身長を40 mに拡大しても体重は約600 tにしかならない