カナタたちの入隊まで
私が密かに、カナタが言いそうだと思っていたことが的中しました。「デカいからデッカー」というひねりのないネーミングです。
デッカーの名前を知っているのはカナタだけですから、その名前を使うにはカナタが付けたかのように振る舞わなければならないのですが、カナタの性格からすれば至って自然な理由付けだと、周りの人も納得するところです。
今回はそんな「デカい」カナタと、小さくて可愛いHANE2との交流の話です。
1. カナタたちとハネジローの絆
GUTS-SELECTの戦力は、『トリガー』時代からのガッツファルコンと、新型機ガッツホークの2機になりました。ガッツファルコンは有人化し、ガッツホークは、HANE2のAIが操縦するということは、前回の記事でも説明した通りです。ということは、実際の戦闘では人間とAIでチームプレーを行うことが必須となります。ガッツホークを開発したアサカゲ ユウイチロウ博士は、これができる人材を探していました。
人間なら誰にでもフレンドリーに接することができるカナタ。しかしAI相手にはどう接したらいいかわかりません。そこで、人間にするのと同じようにお煎餅とお茶を出して会話してみることにしました。いかにもカナタらしくはありますが、そのきっかけを作ったのは実はイチカです。この、一見シュールギャグのような行動は、実に正鵠を射たものだったと思います。
共闘ということは、譲り合いと互いの出るところの確認が必要になります。人間がAIに合わせるだけではダメで、AIが人間に合わせる部分も出てきます。そしてそれはAIの得意技なはずですが、HANE2ほどのAIならば、カナタやイチカ、リュウモンといった人格を学習することも、十分共闘のためのデータになりうるのでしょう。3人のプロフィール情報は既にインプットされていましたが、それ以上のものをこの会話で得たのだと思います。その後の訓練を通し、HANE2はデータを増やし、カナタたちは親近感を抱いたHANE2への信頼を深め、互いのことを一層理解していくことができたようです。高校を卒業して煎餅屋を継ぐつもりだったカナタには、当然高度なAIを扱った経験などありませんが、古い知恵というのは役に立つものです。そして、これほど人間臭いAIが活躍するのが、つい1年前まで自由に火星に行き来できた『デッカー』の世界です。
さらに信頼関係を築いたことが、結果として大正解だと証明される出来事がありました。カナタとHANE2は、重大な秘密を共有することになったのです。ゴモラの出現によて出動した2人は、ゴモラがスフィア合成獣となったことでピンチに陥りました。カナタはスフィアゴモラに立ち向かおうとデッカーに変身するために、ガッツファルコンの操縦をHANE2に頼んだのです。スフィアによる電波障害のある中、至近距離にいたHANE2のみが、カナタの変身を目の当たりにしました。序盤で1人はウルトラマンの正体を知っているのは最近の定番ですが、今回はその第1号がなんとAIでした。コンピュータは情報にセキュリティをかけられるので誰よりも口が堅く、秘密を知る者としては適任かもしれません。
戦闘後、コードネームだったHANE2は新たにハネジロー*1という名前を貰い、カナタにもタメ口で話すようお願いされました。その結果、ハネジローは急に遠慮のないキャラになりました。3人の人物像や関係性をラーニングしたことで、そこに加わる「仲間」として自身を再構成したのかもしれません。
2. デッカーの力の源は?
3話にして、デッカーは初のタイプチェンジを果たしました。ダイナ同様、力自慢のストロングタイプです。ストロングタイプのウルトラディメンションカードは、力が欲しいと願った時、カナタのカードホルダーに勝手に現れました。実は、前回の3枚の怪獣カードもそうでした。今までは、魔王獣の封印から集めたり (オーブ)、人間や宇宙人に宿っている力を回収したり (ジード)、過去にウルトラマンが落としたのを回収したり (ゼット)、人間が自作したり (トリガー) と、力を集めるのにそれぞれ何かを外部から受け取ることが必要でした。ところが、デッカーには、誰かがくれているかのように、自発的に力の源が出現しています。これの出所がどこなのかが気になります。