普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

未来は誰にもわからない ~ウルトラマンデッカー感想週報㉑『繁栄の代償』~

神回

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 前回はアガムスもスフィアもいったんお休みで、単発の力を見せてくれました。

 今回はまた、シリーズのもつ強みを活かした名バトルです。

新しい光があらわれる
 (『ウルトラマンデッカー』第21話『繁栄の代償』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=cWD5UPq7MnU)

 

1. ウルトラマンダイナ登場!

 時空変動から呼び出されようとしたスフィアザウルスを制して、ウルトラマンダイナが「お待たせしました」とばかりに登場しました。

 『トリガー』19話にもティガが登場したことから、『デッカー』にもダイナの登場を期待する声は大きかったと思います。本編当時そのままの登場演出、BGMで、現れたダイナはどこかぎらついていて、未来から伝説の戦士がやってきたと興奮してしまいそうです。せっかく現れたからには様々な姿を見せてほしいところですが、ダイナが戦闘中に姿を変えられるのはミラクルタイプ、ストロングタイプのいずれか一方にのみ。今回は2体の敵を相手にストロングタイプにチェンジし、そのルールを守っていました。そういうところにも好感が持てます。

 ダイナらしさはそういった能力面や、今回披露されたアスカ シンの特技である野球のピッチングをもとにした「ウルトラフォーク」のような技だけに現れるのではありません。現れたダイナはスフィアジオモスとテラフェイザーの2体を相手に戦いますが、テラフェイザーにはかつてデスフェイサーにされたように首を絞められるなど、苦戦して地面に倒れてしまいます。しかし、その様子がカナタを勇気づけ、ウルトラマンデッカーへの変身を再び可能にしました。この泥臭さもダイナの魅力だと思います。どこか神々しくて神秘的なティガとは対照的に、人間味があって、その時に出せる力の限りを尽くして懸命に戦っている姿が心を打つのです。それはダイナがどれだけベテランになっても同じです。

 ティガと異なり、ダイナを演じてきたつるの剛士さんは近年も度々ウルトラシリーズの作品に出演しており、今回も出ようと思えば出られたのではと思います。しかし、今回ダイナは言葉を発することなく、デッカーに変身したカナタだけにわかる方法で「未来は誰にもわからない」と伝え、去って行きました。自分自身が、未来でバズド星に危機をもたらす地球人と同類であることをアガムスに突きつけられて悩んでいたカナタにとっては、それで十分でした。カナタの子孫のデッカー*1が言った通り、過去が変わると未来が変わるわけではなく、別の未来へと繋がります。つまり、カナタの、あるいは現代の人類の生き方次第で、避けられない運命などないということです。

 

2. 作戦会議

 今回のGUTS-SELECTは、「毒をもって毒を制す」作戦をとりました。スフィアジオモスを生んだSプラズマを再収縮させてナースキャノンから発射し、スフィアジオモスと未来から連れてこられたスフィアザウルスを一網打尽にするというものです。使用できるのは墜落したナースキャノンと、地上連絡用のエアーシャトルのみ。あとは地上部隊がスフィアジオモスを射線上に釘付けにします。

 作戦実行中はもちろんのこと、この作戦の会議のシーンも躍動感があってかっこよかったです。目を引いたのは、卓上の地図に置かれた2大怪獣とナースデッセイ号の「折り紙」です。1枚の紙から折られたものだとすると、相当手が込んでいると思うのですが、TPUの隊員に得意な人がいるのでしょうか?

 

3. 同じ穴の狢?

 ウルトラシリーズでは、度々過ぎた力の所持に警鐘を鳴らす物語があります。ビクトリウムやD4など、よくわからないまま使って、人類が大変な痛手を負う展開がよくあります。2年前も今回も「アンダーコントロールという表現を用いていることから、毎度毎度原子力のメタファーであることは明白です。ただ、私はその力について熟知していれば使ってもよいという考えなので、必ずしもそれに賛同できません。ただの火だって、何万もの人命を一度に葬り去ることがありますが、禁止することはできないでしょう。

 それでも流石に今回のそれには「ちょっと待った」と言わずにはおれません。『デッカー』で人類が利用しようとしたのは、スフィアの力。スフィアは知的生命体で、それも悪意ある存在なのです。その力についてまだわかっていないのに焦って利用しようとしているという意味でも問題ですが、いつこちらが利用されるかもわからない存在を人間が支配できるつもりで利用しようとしているのは、流石にむちゃくちゃではないでしょうか。もっとも、GUTS-SELECT側の主張も「スフィアがいかに害をなす存在か」に終始し、スフィアに知性がある可能性を指摘していなかったので、ややもやもやが残っています。

 アガムスはそんな人類の愚かさを激しく糾弾しました。そんなことだからバズド星を滅ぼした*2のだと。ひよっとすると、以前ブログに書いた、地球人とスフィアの戦いにバズド星が巻き込まれたというのも実は正確ではなく、本当は地球人がスフィアを見つけて、有用なエネルギーの振りをしているそれを利用していたら逆にバズド星侵攻の足がかりに利用されてしまった……というような筋書きなのかもしれません。詳しくはアガムスが次回語ってくれるようなので、犠牲者の証言に耳を傾けたいと思います

 気になったのは、テラフェイザーのコネクタからアガムスにスフィアの力が流入していたことです。ハネジローもテラフェイザー内部のスフィア反応を確認しており、これが次回以降の伏線になることは間違いありません。スフィアが使える力としてテラフェイザーを利用しようとしているのでしょうか。あるいは、別の最悪な想像も可能です。アガムス自身も、復讐のためにスフィアの力を借りてテラフェイザーを造ったという可能性です。それをしていると、先述の発言は自らを棚に上げたものになってしまうので、あまり考えたくはありませんが、手段を選ばずに地球とウルトラマンを滅ぼすということは、そういうこともするということになります。テラフェイザーの秘密も含めて、見守らなければなりません。

*1:ネット上では「デカおじ」のあだ名で定着しつつある

*2:デッカー曰く、まだ滅びてはいない