普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

憧れを抱かれる者の覚悟 ~ラブライブ! スーパースター!! 第2期感想週報②『2年生と1年生』~

 新入生の桜小路きな子を迎え、結ヶ丘女子高校のスクールアイドルは6人体制となりました。

ようこそ!

carat8008.hateblo.jp

 とはいえ、クラスの中でも運動が特にできないきな子は、東京トップ2スクールアイドルのLiella! の練習に一朝一夕についていけるわけではありません。それだけならよいのですが、ご存知の通り皆とびきり良い子であるLiella! の2年生は、きな子を不憫に思って空回りを始めます。1話のただ浮かれていたのとは違い、今度は本気で迷走してしまいました。

その言動は憧れられるに足るものなのか?
(『ラブライブ! スーパースター!!』第2期第2話『2年生と1年生』より/
©2022 プロジェクトラブライブ! スーパースター!!/配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=WMWpUXQ1HZI)

 

1. 新入生とは何か

 前回に引き続き、「新入生が獲得できない」問題にLiella! が挑みます。そして、「新入生 = 仲間が増える」ことをどう捉えるかが、Liella! を振り回してしまっていました。

 かのんにとっては、「手段」でした。1年生にもスクールアイドルの楽しさを知ってもらいたい、とりわけ既に一緒に活動してくれているきな子が、一人で辛くないように、そのためには複数の1年生が必要でした。

 恋にとっては、目指す学校像の「原因」にあたる部分が、スクールアイドルの仲間が増えることでした。スクールアイドルとして活動する後輩ができることによって、この学校とともにスクールアイドルが末永く続いていくこと、それは一度途切れたこの場所と音楽の物語を結び直した恋の願いです。

 ところが、手段や原因は、往々にして「目的」になっていきます。2年生たちは、1年生を獲得するために、またきな子が苦しい練習で、同じ学年の仲間がいなくて追い詰められないように、あの手この手を尽くして思いやりを見せました。ついには、練習や目標のレベルを下げて、さらにたこ焼きで釣ってまで (買収選挙で懲りなかったのでしょうか?) 1年生を呼び込もうとします。しかし、そのことで、自分がその本末転倒な状況を招いたと、一番追い詰められてしまうのがきな子であることは、傍から見ていれば容易にわかります。

 スクールアイドルのあるべき姿において、新しいスクールアイドルが生まれることは「結果」です。『虹ヶ咲』ではその連鎖を描いていました。好きなことに本気で打ち込む人を見て、それに憧れを抱き、自分も何か始めてみようと思い立つ人が現れることで、初めて仲間が増えるということです。アイドルとは、要するに憧れられるものだからです。つまり、仲間が欲しければ、自分たちが目指されるに値する存在であることは大前提です。目標を下げている場合ではありません。

 

2. 憧れとオタク心

 とはいえ、現実問題として新入生は集まらず、きな子はたった一人の1年生として活動を続けていました。きな子にとって辛いのは練習が厳しいことだけではありません。むしろ、それは苦に思っていない描写さえあります (2年生の足を引っ張っているのではと気を揉んではいる)。それよりも、1年生の中で、Liella! を一人で背負っているということが堪えるようでした。拠り所は「スクールアイドルは楽しい」という、憧れの先輩・かのんの言葉です。しかし、1年生の間では、レベルが違い過ぎる、1年生ではついていけないという先入観が独り歩きしていました。2年生を見れば、どんな練習をしているのか、あるいは日常生活をいかに楽しんでいるかまでわかりそうなものですが、高校1年生は普通それをしないと思います。皆様の中でも中学生や高校生の時に上級生の教室に入り浸るような人はいなかったと思いますし、部活に対しても同学年の部員の印象が強かったと思います。少なくとも私はそうでした。中高生の見えている世界は狭いのです。

 そのように先入観に囚われる1年生たちの中で、やはり固定観念を持ちつつも、他とは違った見方でLiella! を見ている人がいました。そう、Liella! が大好きなメイです。人前でLiella! が好きなことを言いふらされたときは怒っていましたが……。新入生獲得を巡って迷走するLiella!、それに振り回されるきな子を見ていて、「だったらそのまま突き進んでくれよ」「自分がやりたい、目指したいって思ったこと、信じてみろよ。周りの声なんて気にするな」と強い言葉をかけます。

 これは実際のところ、メイのLiella! に対する憧れの気持ちから出た言葉であることは間違いありません。それと同時に、どこかでまだ自分とLiella! は別世界の存在だと思っていて、Liella! には自分の理想でいてほしいという、オタク特有の感情も感じます。その推しに対する強い気持ちを、同級生であるきな子を通してぶつけようとしたようにも見えます。憧れの存在には、いつまでも憧れられる姿であってほしいものだからです。幻滅したくはないのです。

 とはいえ、隣にいた四季からすれば、それはメイ自身にも言えることだと思っていることでしょう。大好きなメイが、周りの目を気にしてLiella! (その他、諸々のかわいいものも) が好きなことを隠しているのをもどかしく思う気持ちはあると思います。きな子にメイの勧誘を頼んだのもそのためです。『ラブライブ!』の希のように裏で手を回すような動きをしていますが、やり方には未熟さを感じます。

 メイの言った言葉を、きな子は自分なりに解釈し、その結果を決意としてかのんたちに伝えました。メイのようにLiella! に憧れている人物を幻滅させるわけにはいかない。そうすれば、自分のように自ずと一緒に頑張りたいと思う人が現れる、ときな子は考えています。四季の考えではきな子はLiella! の想いをメイに伝える、伝道師のような役割を想定されていましたが、結果として、現時点では逆になりました。

 それに必要なものは「覚悟」でした。仲間になってくれる新入生を招き入れるための小細工も、一人で追い詰められないための保護も必要としないこと。その覚悟を通して、きな子はLiella! の一員、Liella! の新たな色となることができたのです。

 「みんなで叶える物語でも、最後に私を叶えるのは私」。1期全体のテーマともここで繋がってきます。かのんが、あるいは千砂都が、またあるときは可可が、すみれが、恋がそうであったように、きな子も今はたった一人の1年生として、あるいはこれから仲間が増えても、究極的にはひとりかもしれません。それでも奏で始めた『私のSymphony』は止まらないと、きな子の決意はそう信じさせてくれました。

 

3. 新しいライバルの誕生!?*1 ~Liella! の場合~

 ラストシーンに意味深に登場した、名前すら不明の人物。担当声優の結那さんはこれが声優初挑戦で、放送直後から24時間でTwitterのフォロワーが2,000人以上増えていました。彼女は、順当に考えれば新しいライバルなのでしょうか? 女児向けアニメのような派手なキャラデザが目を引くのも、『スーパースター!!』のライバルの特徴でしょうか。

 Sunny PassionはLiella! よりも前から活動していた先輩であることがわかっています。であれば、年度が変わった今は、少なくとも3年生か、あるいは卒業してしまっています。そうすると、ライバル枠も世代交代していくことが考えられます。A-RISE的な、Liella! を導く存在だったSunny Passionに対して、彼女はSaint Snow的な、Liella! とバチバチに切磋琢磨していく存在かもしれませんね。