普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

謎解きは動画配信のあとで ~ラブライブ! スーパースター!! 第2期感想週報⑤『マニーは天下の回りもの』~

前回は一気に2名加入

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 突然ですが、『遺留捜査』7期5話を見ました。Aqours黒澤ダイヤ役・小宮有紗さんが出演していた回ですが、なんと『ウルトラマンオーブ』に出演した石黒英雄さん (as 若尾峻) と青柳尊哉さん (as 植木翔吾) が共演、さらに石黒さんと小宮さんが夫婦役という「俺得」的キャスティングが展開されていました。しかし、そこはミステリですから、小宮さん扮する若尾恵美香社長夫人はとんでもない秘密を隠していて、そのせいで情緒がめちゃくちゃになってしまいました*1。とはいえ、夢と希望を歌う『ラブライブ!』シリーズでは絶対に見られない表情を見せてくれたドラマは、良いものだったと思います。

 さて、『スーパースター!!』5話で"暗躍"した鬼塚夏美を演じる絵森彩さんは、小宮さんの所属事務所・ボックスコーポレーションの後輩にあたります。こちらの「社長」も、何か秘密を抱えているようで……。

なりふり構わず、走った先にあるのは天国か、地獄か?
(『ラブライブ! スーパースター!!』第2期第5話『マニーは天下の回りもの』より/
©2022 プロジェクトラブライブ! スーパースター!!/配信URL:blank)

 

 

1. 謎を提示して終了!?

 今回は夏美加入回、と思わせて、加入どころか夏美が起こした問題や、夏美に纏わる謎が全く解かれずに終了しました。言うなれば問題提起回です。

 Liella! をプロデュースすると謳い、Liella! を利用してマニー*2を稼いでおり、しかも途中からそれを隠そうともしなくなった株式会社オニナッツ社長こと夏美。すみれはショウビジネスの経験から、四季は分析的な観察・思考から、夏美が怪しいことにいち早く気づきます。一方でかのんは夏美の怪しい契約書にもサインしてしまうなど、2人のような鋭さには欠けますが、*3夏美の問題には一方的に悪いと決めつけたくない気持ちを見せていました。Liella! メンバー各々も、疑念を持ったまま次回に突入することになります。

 

2. 夏美と恋

 夏美は、1期の恋同様、Liella! に最後に加入するメンバーになることになります。恋は1話からスクールアイドルへのわだかまりや、理事長とのやり取りがあり、ただかのんたちの邪魔をしているわけではなく、何かを抱えていることが匂わされてきました。対する夏美は、1話からあの手この手でマニーを稼ごうとしては失敗してきました。動画配信を始めては再生数が伸びず (1話)、株に手を出して失敗し (2話)、フードデリバリーに参入するもわずかな遅れで低評価を付けられ (3話)、引っ越しのアルバイトで腰を痛め (4話) るなど、世の中の甘くなさに翻弄されました。5話では、メイと四季の加入で1年生の間での注目度が一層高まったLiella! に目を付けてLiella! の動画を作ると、一転して再生数が何倍にも伸びました。しかし、これが問題を引き起こしてしまうのです。

 かのんが夏美について、事情があるような気がするとメンバーに話していた場面は、その内容も、1期の恋の事情に関するエピソードとほぼ一致します。この2人の共通点は、5話のあちこちで意識されているような気がします。放送限定パート『リエラのうた』は、今回と次回、恋と夏美が担当する『迷宮讃歌』です。このことからも、恋が迷い込んでいた迷宮に、夏美も迷い込んでいるのではないか? と想像できます。

 一瞬映る夏美の家は「鬼塚商店」。小さな商店のようですが、家の中は散らかっているようです。恋との共通点を重視するならば、夏美もこの商店の問題を一人で抱え込んでいたりするのでしょうか。1期の恋とは比べ物にならないくらい明るく振る舞っていますが、1話の「やってもないのに向いてるかどうかなんてわからない」という台詞は、もしかしたら何でもやってみないと、なりふり構っていられない夏美の置かれた状況から発せられたのかもしれません。

 当の恋の母、花の想い、そしてそれを受け継いだ理事長の願いは、今回もある形で実現を見ていました。普通科のメイが、ピアノで『Tiny Stars』を弾いていたのがそれです。結ヶ丘に、神宮音楽学校になかった普通科があるのは、音楽一家や音楽をやりたくて高校に進学する人以外にも音楽の素晴らしさを知ってほしいという理念があるからです。その理念を新しい生徒と「結ぶ」存在に、今のLiella! はなっているということです*4

 

3. 2年生と1年生と北海道

 今回、「恋編」であった1期7・8話のほかに、もう一つ意識されていた回がありました。「千砂都編」の5話です。

 1年生の成長速度が2年生に全く追い付かないという問題が表面化してきました。視聴者の私たちから見ると1年生の吸収力はめざましく、2年生たちもきな子の詞、メイのピアノ、四季のダンス*5など期待しているところは多いようです。しかし、そのことで1年生が悩んでいると、夏美が一計を案じました。2年生との別行動での夏合宿です。1期ではスクールアイドル同好会 (当時) がSunny Passionに招待されて神津島での夏合宿をしている中、まだ加入していなかった千砂都が1人でダンス大会の練習のために居残っていました。1人でしかできない、自分に決着をつけるという目的のためです。今年の1年生たちも、自分たちに向き合いたいと意気込んでいました。

 しかし、それは夏美の「嘘も方便」。1年生だけの環境を作り出して夏美の意のままにしようという企みです。夏美はそれまでも、同級生を見くびり、上級生を警戒しているような素振りを見せていました。

 ちょっと待ってください。ここで夏美が意のままにできると思っている1年生の性格を振り返ってみましょう。

・純真で前向きだが、時々デリカシーのないことを言うきな子。

・可愛いところはあるとはいえ、すぐ喧嘩腰になるメイ。

・正確に状況を理解し、はっきりとものを言う四季。

 緩衝材になりそうな人が一人もいません。2年生がいれば、皆のことを大切にしていて力強く導いてくれるかのんや、厳しくも優しい千砂都、天然だが温厚で場を和ませてくれる恋がいるので、何かあってもフォローすることも可能かもしれません。しかし、1年生だけでは、万が一トラブルに発展した時、正論を突き付けられ、夏美は自尊心に深い傷を負ってしまうかもしれません。

 「はじめてのおつかい」のごとく危なっかしい夏合宿編が始まります。舞台は昨年とは打って変わって、きな子の出身地、北の大地・北海道ラブライブ! シリーズでは『サンシャイン!!』2期8・9話の函館以来の北海道ですね。夏美の謎の解明は、果たして進むのでしょうか……。

*1:過去に出演した『仮面ライダーゼロワン』や『名探偵ステイホームズ』でもそうだったが、小宮さんと「結婚」が絡むと大抵何かある

*2:言うまでもなく「お金」のことだが、本稿では夏美にリスペクトを示してすべて「マニー」と表記する

*3:Liella! として夏美の契約書にサインする権限は、部長の千砂都が持っているのでは……?

*4:『Tiny Stars』を歌ったのはクーカーだが、Liella! に詳しいメイはこの曲もよく知っている

*5:スポーツの習慣があったメイより踊れているところさえあったのは驚きである