普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

死闘! 格闘王VS最新兵器 ~ウルトラマンデッカー感想週報⑨『誰がための勇姿』~

 前回・前々回、ウルトラマントリガーの客演回は、ケンゴがずっと追いかけ続けてきた「笑顔」の意味や、あの時救えなかったカルミラのその後が描かれ、『トリガー』の「真の最終回」と言えなくもないストーリーでしたね。

 

光も闇も輝いていた

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 そんなウルトラマントリガーが活躍した時代に、その「超古代の戦士」という誇り高き異名に惹かれて、地球を目指した宇宙人の父娘がいました。

真剣勝負!
 (『ウルトラマンデッカー』第9話『誰がための勇姿』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=pznGoveZ2To)

 

1. 父と娘

 今回登場するのは、『ダイナ』に登場した宇宙格闘士グレゴール人の父娘です。『死闘! ダイナVSダイナ』では、ニセウルトラマンダイナに扮するグレゴール人とダイナの戦い、そして本物のダイナを見抜いて応援するカメラマンの少女が描かれます。一方で、今回現れたカメラマン (?) の少女は、まさかのグレゴール人。この時点で相当意表を突かれました。また、今回のグレゴール人グレースは「ニセウルトラマンデッカー」にはなりませんでしたが、人間態を演じたのは当時ダイナのスーツアクターをやっていた中村浩二さんであり、さらにグレース自身の変身“ぐんぐんカット”もあって、まさにグレース自身がウルトラマンであるかのような、「嘘から出た実」でした。グレースはそもそもデッカーを相手にしていたわけではなく、8年前まで地球にいたトリガーに試合を挑みに来たものの、スフィアによって地球に閉じ込められていました。

 数々の戦いの末、体が限界を迎えるグレースと、そんな父に最後まで誇り高い戦士でいてほしいと願う娘ミカ。その娘の優しさは、GUTS-SELECTの心を打ち、GUTS-SELECTの演習に参加するという形で地球人との試合がセッティングされました。

 

2. 防衛隊の存在意義

 グレゴール人の手合わせの依頼を快諾したムラホシ隊長。以前にもピット星人のために上層部に無断で大型電源を持ち出すなど、何万何億という人の命を預かる防衛隊の隊長としては、少々人が善すぎるような気もします。そんなムラホシ隊長が、思うところを語ってくれました。

 そもそもGUTS-SELECTにとって大切なことは、人々が平和で幸せに暮らせること。現れる怪獣の脅威から人々を守り、いずれはスフィアによる制圧状態を打破して離れ離れになった人々を再会させ、日常を取り戻すことが目標です。しかし、それだけでなく「小さな幸せ」も大切だとムラホシ隊長は言います。

 宇宙から飛来し、「スフィア禍」で帰宅難民になった宇宙人たちは、地球の環境や社会になかなか順応できず、苦しい生活を強いられたり、様々な困難を抱えていたりすることが多いと思います。彼らが生活しやすくするために、必要なら炊き出しもするでしょうし、働き口を探したりもするかもしれません。実際父娘には隊長直々に手料理を振る舞っていましたし、グレースの持病も気遣っていました。その中でグレースの誇りと覚悟、ミカの願いに改めて触れ、手加減なしの本気の試合をすることに決めました。

 正直、格闘家のグレースとナースデッセイ号・ガッツファルコン・ガッツホークおよび地上部隊の勝負はシュールそのもので、これを格闘技の試合と言ってよいのか、グレース側の勝利条件は一体何だったのか*1など疑問は残りますが、人間が持てる「本気」と手合わせできたという意味ではミカとグレースの望み通りのものになったと思います。なお、結局戦いはスフィアレッドキングによって中断されてしまいました。また、アサカゲ博士もアサカゲ博士でガッツグリフォンの運用成績を基に何やら恐るべき新兵器を開発しているようでした。グレースの傷が回復したあと、再びGUTS-SELECTとの試合を約束したミカですが、GUTS-SELECTはその時、そのような「小さな幸せ」を大切にする組織でい続けているでしょうか?

 

3. ディメンションカード怪獣活躍!

 『セブン』のカプセル怪獣と同じラインナップであるディメンションカード怪獣。今回、ウインダムが登場して3体が出揃いました。ウインダムといえば『Z』で特空機2号として登場しましたが、怪獣としてのウインダムは同名で見た目も同じ別人と考えてください。

 改めて思うと、ディメンションカード怪獣の立ち位置というのは絶妙です。敵怪獣に大きな一撃を与えつつ、すぐに去っていくので怪獣にやられる噛ませ犬にならず、同時に怪獣を倒しもしないのでウルトラマンやナースデッセイ号のポジションも食いません。今までのこのようなカプセル怪獣系の問題点を見事に解決していると思います。

 カナタは、前回ケンゴから託されたウルトラデュアルソードも初使用しました。ただしその使い方が意表を突くもので、怪獣のカード3枚を読み込んで3体同時召喚するものでした。決め技の武器というよりも、このように複数枚読み込めるという利点を生かしたもので、ただ強いだけでなく機転を利かせて戦っている感じがします。

*1:命の取り合いではないはず