普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

The sky is the limit. And next is... ~虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY 感想~

『Go Our Way!』衣装のスタンドパネル
(2023. 6. 24 ユナイテッド・シネマアクアシティお台場)

 TVアニメ『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の続編として大きな注目を浴びている虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY』。『ラブライブ!』『ラブライブ! サンシャイン!!』に続く劇場公開ではありますが、わずか30分のOVAと判明したときはやや騒然としていました。とはいえ、『アニガサキ』といえば1話にエッセンスやストーリーを凝縮するのがお家芸。その意味では期待度は高かったように思います。

 6月24日 (土)、公開2日目に聖地・お台場のユナイテッド・シネマアクアシティお台場で鑑賞してきました。記事の公開までかなり時間を要してしまったので、その後劇場でもう1回、そして自宅でBDを再生してもう1回鑑賞して、感想記事にしています。

 

 

1. 公開2日目のアクアシティ

 この日は、ラブライブ! サンシャイン!! Aqours浦の星女学院RADIO!!! JMA出張放送局 ~バブ卒大集合!ラジオとライブでわいわいわい~ in 8OJ』昼公演に参加してから、お台場へ急行しました。同じことを考えていたラブライバーもそれなりにいたようで、アクアシティの施設内にはニジガクのTシャツだけでなく、AqoursのTシャツ*1を着ていた人もちらほらと見られました。私も、ちょうど1年前の6thライブ <WINDY STAGE> のTシャツで参戦です。八王子の近くなら橋本や昭島にも上映劇場はありますが、やはりお台場での鑑賞にこだわった人が多かったようです。

 上演までに夕食を済ませようと思いましたが、同時にニジガクコラボが行われていた『東京らーめん国技館 舞』は大混雑。夕食は後に回して、アクアシティのスタンドパネルを探して時間を潰しました。鑑賞後、『ひるがお』さんでラーメンを食べました。ここの店員さんには、このコラボをきっかけに璃奈推しになった人もいるようです。

 スクリーンは、600人以上を収容する大シアターでしたが、実際にこの劇場に入っていたのは公開2日目の土曜夜といえども50人以下でした。上映回数も各地で十分用意されていますし、想定以上にばらけたのかもしれません。前日にはまさにこの場所で侑・歩夢・せつ菜を演じる矢野妃菜喜さん・大西亜玖璃さん・林鼓子さんが登壇する舞台挨拶があったこともあり、かなり大きなスクリーンが用意されていました。

 お待たせしました。それでは、OVAの感想に入ります。

 

2. 開幕から飛ばしすぎ!

 『NEXT SKY』は、いきなり楽曲から始まります。ニジガクメンバーたちが暮らす街の景色を、印象的なエフェクトとともに映しつつ、流れるのはR3BIRTHの新曲『Feel Alive』です。『アニガサキ』といえば、これまでにニジガクが積み上げてきたものを洗練してまとめ上げてきた実績がありますが、ついに新ユニットのR3BIRTHもその対象になり、まさに世界に通用するレベルのMVができたと思います。

 2期終盤で嵐珠が望んでいたユニットの結成でしたが、劇中の1stライブと歩夢の留学期間に当たる計約1ヶ月の間に、いつの間にかR3BIRTHが結成されて曲を作るところまで行っていましたね。R3BIRTHの結成は何も掘り下げられませんでしたが、3人ともバラバラながら根本では似た者同士なので、結成してしまえばとんとん拍子だったのでしょうか。

 本編は、そのR3BIRTHのライブから始まります。栞子はこのライブに関して、何か悩んでいる様子でした。

 そう、この『NEXT SKY』の真の当番メンバーは「三船栞子」です。予告からは予想できたでしょうか?

 MCの受け答えに悩む栞子に、かすみがアドバイスをします。栞子の尺度については後述しますが、かすみはよく言えば芯が強くてぶれない、悪く言えば自分のこだわり以外では生きられない人間です。なので栞子へのアドバイスも、自分の尺度に照らして「ちょっと堅い」というものになります。そんなアドバイスでも無碍にはできない栞子は、「スクールアイドルの適性がない」と余計に落ち込んでしまいました。

 余談ですが、こんなよい子の栞子が、先日サービスを終了した『スクスタ』ではせつ菜をコテンパンにしていた理由を述べるとすれば、一点はここでせつ菜を止めなければせつ菜自身も含めて同好会の皆が不幸になるかもしれないと思い込み、余裕がなくなっていたこと、もう一点は薫子や嵐珠との関わりがアニメとは異なっていて、言葉を尽くしても伝わらないという諦めがあったので、強硬手段に出てしまったということが挙げられます。環境が違っただけで、別の人格というわけではないと思います。

 閑話休題。せつ菜が留学帰りの歩夢を出迎えるために作ってきた巨大クラッカー (こんなものを空港に持ち込んでも何も言われない世の中。路上ライブや女子高生だけでの様々な行動も認められているあたり、悪い人がいなくて規制の必要がない社会なのかもしれません) を浴びたのは、歩夢ではなく、歩夢に連れ添って英国から来た留学生・アイラでした。

 アイラは、歩夢とそっくり*2の見た目をした褐色肌の少女です。おそらくは、アジア系英国人です。かつて英国からの留学生キャラといえば、『きんいろモザイク』に見られるように、金髪の白人というステレオタイプがあったと思います。アイラ役の東山奈央さんも、まさに当該作品で九条カレンという金髪の英国人と日本人のハーフを演じています。それからかれこれ10年ほど経過していますが、時代の変化を感じますね。現職英国首相のリシ・スナクさんもインド系で、『にじたび』広島公演の約1ヶ月後に開催されたG7広島サミットで来日し、お好み焼きに舌鼓を打ったのは記憶に新しいところです。

 2週間の短期留学に来たアイラに、同好会はスクールアイドル体験を用意します。その内容は、私たちもよく知っているスクールアイドルの「聖地」を巡るというものです。最初に訪れた秋葉原・UTX学院ではあのときと変わらない制服を着た生徒まで登場しました。その後、秋葉原のアンテナショップで沼津の名物を味わい (このアンテナショップには金沢のポスターさえあった)、南ことりが働いていたメイドカフェで記念撮影、神田明神に参拝……とまさに脚本のやりたい放題です。別働隊ではお台場のグッズショップ (ODAIBAゲーマーズ。劇中でもアニメとスクールアイドルのグッズを両方扱っているよう) で遊んだ後、嵐珠と彼方が用意した屋形船でご馳走のおもてなしを受けました。さらに、かすみが主導して原宿へ繰り出して「かわいい」探しまで。

 ここまでやって怒られないのに驚くほどです (脚本ではなく、学校の活動の範疇を逸脱した嵐珠は怒られていましたが)。

 これまで、過去作との世界観の繋がりが全く明かされてこなかった『虹ヶ咲』ですが、ついに過去作の学校が登場し、ややメタ的ではありますが、繋がりが示されてしまいました。ひょっとすると、このタイミングで (ニジガクから見て未来で活躍するスクールアイドルも含めて) レジェンドスクールアイドルに触れたことは、『スクスタ』への追憶を兼ねているのかもしれません。『スクスタ』で「あなた」が積み上げてきたもの、現実の「あなた」が辿ってきた道を、猛スピードで振り返っていたといえます。心なしか、ゲーマーズでのアイラの恍惚の表情は、ニジガクではあまり見られず、むしろ『ラブライブ!』や『サンシャイン!!』で見られた顔芸と似ていた気もします。

 これほどやりたい放題をしておきながら、同好会とアイラのミニライブはあっという間に端折られてしまいます。それでも、おなじみの『Love U my friends』の衣装を着て、視覚的に印象に残るライブをしていました。

 

3. 帰国の日

 時系列はライブの打ち上げも終わった後の、アイラの帰国の日まで飛びます。この日になってようやく、栞子たちはアイラの本心に気づくことになりました。

 アイラは、スクールアイドルを始めようとしましたが、部活動のない英国では、まったく理解されなかったのだそうです。それで、日本に来て濃密なスクールアイドル体験をし、満足して帰ろうとしていました。

 スクールアイドルとは、学校の生徒が部活動でアイドル活動をすること……辞書的には今もそれは正しいですし、私たちも、元々はそう思っていました。その定義に照らせば、部活動が存在しない英国でスクールアイドルをやることは不可能です。しかし、あくまでそれはこれまでの話。これまでニジガクの物語を追いかけてきた人になら、「スクールアイドル」がそんなに狭い概念ではないことがわかると思います。

 そして、一見不可能に思えることも、可能にできるかもしれない足がかりは、アイラにもありました。親友*3のペネロペ (英語読みでは「ペネロピー」に近い) は、まだ諦めていませんでした。パンフレットによれば、ペネロペ自身はスクールアイドルになりたいわけではないようですが、アイラの夢を自分のことのように応援してくれる、歩夢にとっての侑のような存在です*4。音楽好きで、その点でも音楽科に行った侑との共通点があります。英国に残りながら夢を諦めていないペネロペは、夢を終わりにするために日本へ行ったアイラとのすれ違いを解消していませんでした。こういうときにどうすべきかこそ、歩夢が教訓として身をもって教えられることのような気もしなくもありませんが……。

心当たりはあるのでは?
(『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第1期第11話『みんなの夢、私の夢』より
/©2020 プロジェクトラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)

 アイラたちがときめいたニジガクはスクールアイドルの概念を拡げた存在で、アイラにも一緒にそれができる仲間がいるならば、英国でスクールアイドルをすることが不可能だと誰が言えましょうか。

 その様子を見て、栞子も気づいたことがありました。「不可能」だと思い込んでいただけなのは栞子も同じだったのです。外見はさておき、嵐珠や歩夢から見てもアイラと栞子は似ていると思えるようでした。真面目でしっかり者で、頼りになる存在だからです。それと同時に、真面目さゆえにできることとできないことに線を引いてしまうというところがあります。

 栞子にとって、かすみのような絶対的「かわいい」アピール、あるいは愛嬌のある歩夢やアイラのようなパフォーマンスは、確かに合わないものでした。栞子の願いはすべての人を幸せにすることです。したがってスクールアイドルとしても、どのファンのこともお客様として至極大切にしています。お客様の前では、失礼は許されません。その想いゆえに、過剰なほど丁寧な接し方をしてしまうのだと思います。

 かすみたちのファン対応と比べて自分を卑下してしまう気持ちもわかりますが、実際には周りの人たちは栞子が真面目でしっかり者なのも、ファンのことを大切にしていることも認めてくれているのです。最初に辛口評価をしたかすみでさえ、「塩対応のしお子もかわいい」と評価しています (それを最初に言わないのもかすみのコミュニケーションの癖かもしれません)。ファンの人たちの戸惑いは、実際にはそれに対して栞子が自信を持っていないことが見え透いてしまっているからではないでしょうか?

 また、スクールアイドルが違えばファンの反応も違うのは当然のことです。果林のファンは、大人のタレントに近づくときのような態度でしたが、かすみやミアを見つけたファンは、まるでゆるキャラを見たときのような態度でした*5。ファンから同じような反応をもらえないのは、優劣ではありません。

 そして、真面目さが心のブレーキになっている栞子には、一つだけブレーキが備わっていない部分があります。誰かのためを思ってすることには、一切躊躇いがありません。『スクスタ』版ではその暴走傾向のあまり菜々を傷つけかけてしまう、危うい一面でもあります。夢を諦めてしまうかもしれない友達のためならば、生徒会長なのに学校を抜け出した上、仲間にもそれを求めるほど、やると決めたら譲らず、どんなことでもするのです。ミアの指摘する通り、栞子の本質は堅苦しさではないことが示されています。先述の通り、それも相手を思ってのことなのですから。それは、まったくもって栞子の限界ではありません。

 “The sky is the limit.”とは、「限界は無い」という意味です。

 

4. 髪飾り強く結び直して!

 さて、無限の可能性を、アイラに身をもって示すために虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が選んだ場所は、歩夢にとっての、そしてその場にいなかったメンバーも含めて全員にとっての始まりの場所である、ダイバーシティ東京プラザの外階段でした。キービジュアルの場所でもありますね。

 栞子がリボンをほどいて、ポニーテールに結び直します。『決意の光』の歌詞の通りの仕草です。こういうそれまでに積み上げてきたコンテンツの活用こそ『アニガサキ』の真価であり、初登場からまもなく4年が経つ三船栞子にもそれだけの蓄積ができたことを思い返します。『決意の光』は、迷っている自分でも、あるいは迷っている自分だからこそ救える誰かに宛てた歌なので、まさに今の状況にぴったりな曲です。

 この曲のタイトルは『Go Our Way!』。どことなく、タイトルが『CHASE!』と対に見える気もします。たったひとりで追いかけていたあの頃のせつ菜と、自分たちにしか進めない道を行く13人の姿を見比べると、大きくなったなあと感慨深くなります。

 ライブの前、あの頃を振り返るせつ菜を、楠木ともりさんに代わって林鼓子さんが演じています。『にじたび』東京でも感じましたが、林さんは成長して「完成形」となったせつ菜が大変はまり役です。当時の過ちを神妙に振り返りながらも、どこか吹っ切れたような清々しさを感じます。

 今回のセンターは、R3BIRTHの3人です。3人でシェアハウスをするイメージ映像が微笑ましいですね。嵐珠やミアに振り回されて珍事件が連発しそうな気がしますが、栞子ならそんな日常も楽しみそうです。ちらっと映る『MONSTER GIRLS』という名前のエナジードリンクには笑いました。

 全員で歌って踊るサビも、今までのニジガクにはない雰囲気でした。最近、全員曲が多くてニジガクらしさがなくなったという声を聞きます。でも、『繚乱! ビクトリーロード』や『未来ハーモニー』、はたまた『Sugar Sugar Yummy Yummy Perfait』を思い浮かべてください。メンバーの数だけ色があるならば、全員曲はその掛け合わせのパターンの数だけ色があるということになると思いませんか? ソロだけがニジガクではありません。全員曲も、どれも個性的です。もちろん、5thアルバムの発売が10月に決定しており、元々の強みであるソロにも抜かりはありません。

 

5. やりたい放題の未来

 考察と楽曲の感想が終わったところで、このOVAのやりたい放題具合の記述に戻ります。

 終盤の型破り要素は、「EDが2回ある」というところです。

 12人が歌い終えたとき、ダイバーシティユニコーンガンダムが1期13話以来、再び光り輝いていました。ガンダムといえば、私は今月まで放送されていた『水星の魔女』を観て、これが初めて視聴したガンダム作品となりましたが、つまり私にとって初めて見た「ガンダムが登場するアニメ」は『虹ヶ咲』ということになります。

 そしてEDテーマ『SINGING, DREAMING, NOW!』が流れます。EDらしいエモーショナルなナンバーですが、注目すべきは映像です。

なんと、実写です。

 その初期から、実際の風景とのシンクロを大切にしてきたラブライブ! シリーズが、ついに実写になってしまいました。実景にスクールアイドルが写ったポラロイドをあてがうと、スクールアイドルがそこにいるのを感じられる演出が素敵です。私たちが、聖地巡礼で思い浮かべている風景そのものです。そして、このポラロイドは実際に来場者特典で配布されたため、これを再現することもできます。

 ラストで実写になるアニメは名作、とでも言いましょうか。もっとも、私が思い浮かべたアニメは『ポプテピピック』と『SSSS.GRIDMAN』なので、三者三様に全くテイストが異なりますが。

 EDテーマのあと、同好会にアイラから動画が届きます。アイラたちは、英国で部活動とは異なる、新しい形でスクールアイドルを始めたようです。それが何なのかは想像に委ねられていますが、その映像は歩夢がスクールアイドルを始めた時を連想させますね。余談ですが、現実の日本社会では、部活動のあり方を変えようという動きが始まっています。近い将来、スクールアイドルの形にも変化があるかもしれません。

 そのように、未来を匂わせる結末が描かれたあと、まさかの2度目のEDテーマが入ります。

 今度のタイトルはWawawa What's up!』です。ニジガクの全員曲で一番メジャーといってもよい、わちゃわちゃ系の楽曲です。

 こちらでは、先ほどのEDでは映像重視で控えめだったエンドロールがすべて流れます。それだけのためにEDを2回やったのかと思っていると、今度はファンからのメッセージが紹介されはじめました。『「次はあなたの番!」あなたの頑張ったこと&頑張りたいこと報告会』という企画で、冬にメッセージを募集していたのですが、私は見逃してしまっていました。

 スクールアイドルの応援とともに、代表の「頑張ったこと」や「頑張りたいこと」が紹介されたあと、なんとすべての投稿者のハンドルネームが流れました。実際、ニジガクではこの演出は定番になってきたところがあります。4thライブ、『OUR P13CES!!!』の歌詞カード (これには私の名前もあります)、『スクスタ』MVのランキング映像で、「あなた」の名前が一人残らず紹介されていました。その中には、連番相手の名前もあったようで、私も3回目に止めながら観たときには見つけることができました。

 

6. 総括

6. 1. R3BIRTH回

 当ブログで2期の感想の時に書いた「キャラクター作風理論」についておさらいしようと思います。これは、その回でメインとなるメンバーの性格や、そのメンバーが経験する変化や成長が、そのままその回の作風となって表現されるというものです。しずくが気づくスクールアイドルの自由さを表現するために、まるで二次創作のような夢物語が描かれ、せつ菜が自分と学校両方の問題に直面する回では、2つの問題が絡み合って、どれか1つを選ばないという答えは様々な要素を選ばずに詰め込んだ物語に直結し、侑の物語は「あなた」の見た景色で構成されました。「同好会」という在り方にこだわり、限られた時間の中で「今」を表現するという選択が、かつて公開された映像を「今」のニジガクで再現する演出に繋がりました。それは、スクールアイドルの生き様を表現するために制作陣自身が「スクールアイドル」たろうとしたことの現れでありました。

 この話を『NEXT SKY』にも当てはめることができます。まず、アイラが気づいた自分に限界を感じなくてよい理由は仲間の存在で、これは自分と仲間の力を信じて荒唐無稽な未来へ飛び立っていく物語です。そして、本作の構成としては、とにかくファンのみんなの好きなこと、制作陣のやりたいことを何でも詰め込んでいるという印象です。そして、今回の当番メンバーは栞子をはじめとするR3BIRTHです。

 そのR3BIRTHは、ユニットライブでも見られた通り、まさに友情の力で、やりたい放題を全部詰め込んできたユニットでした。届けたい思いも、誰も見たことのない演出も、事情があって自分たちができなかったことも、決して出し惜しみはしなかった3人でした。そのためにお互いがお互いを必要とし、高め合ってきた3人でした。

 その意味で、『NEXT SKY』はR3BIRTHらしいといえます。

6. 2. これまでとこれから

 そして、そのR3BIRTHが誕生した『スクスタ』が好きだった人たちへのメッセージも、この物語には込められていると思います。

μ’sAqoursといった他のラブライブ! シリーズへの言及と繋がりの示唆。

・『スクスタ』2ndシーズン後半 ~ 3rdシーズンで描かれた、スクールアイドルという概念の拡張への含み。

・様々な立場の、たくさんの「あなた」とスクールアイドルの結びつきを形にしたこと。

 『スクスタ』を失ったニジガクファンに対して、ニジガクはたくさんのものをくれています。コンプリートブックの発売、ライブでのMV活用やメタバースライブに加え、(公式の発言で誤解されているものの) 『スクスタ』とは直接繋がらない『スクフェス2』においても、『スクスタ』で紡がれてきた楽曲制作のエピソードが語られることがわかっています。そして、『アニガサキ』も引き続き、『スクスタ』を含めたニジガクのすべてを落とし込んだアニメとして制作されるということが、『NEXT SKY』から伝わってきます*6

 そして、公開初日に判明したのは、『NEXT SKY』にさらに3作の劇場アニメが続くことでした。『NEXT SKY』の2つ目のEDの後に続いたのは、「スクールアイドルグランプリ」への招待状とはんぺんが映る予告カットでした。

 「スクールアイドルグランプリ」とは何でしょうか。ラブライブ! とは、何が違うのでしょうか? そして、はんぺんは『アニガサキ』において、自由の使者のような描かれ方をしています。であるならば、「劇場三部作」においても、ニジガクは自由に駆け回ることが約束されていると思います。

*1:アクアだけに……?

*2:髪色が歩夢の補色とのこと

*3:おそらく幼馴染?

*4:こちらも髪色は侑の補色にあたる

*5:世界的な作曲家に対してそれでいいのか……?

*6:蛇足ですが、『Go Our Way!』には『スクスタ』メインライターの名前が詠み込まれているとかいないとか……