普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

Hello, ULTRAMAN! ~ウルトラマンブレーザー感想月報①~

開始前に感想を書いてみました

carat8008.hateblo.jp

 

 今回は、『ウルトラマンブレーザー』の以下4話の感想をお届けします。

第1話『ファースト・ウェイブ』

第2話『SKaRDを作った男』

第3話『その名はアースガロン』

第4話『エミ、かく戦えり』

 ウルトラマンは、ニュージェネレーションヒーローズとして再出発してから今年で10周年になります。この節目に現れたウルトラマンは、10年間にある程度決まってきた方向性を一変させる、型破りな存在でした。

 極めて特徴的なブレーザーの声は、 "HELLO" という単語が元になっているといいます*1。今回は、光の巨人との衝撃的な「出会い」を振り返っていきたいと思います。

SKaRDの主力兵器、アースガロン
 (『ウルトラマンブレーザー』第4話『エミ、かく戦えり』より/©円谷プロダクション/配信URL https://www.youtube.com/watch?v=RRXpTbKAH6A)

 

 

1. 完璧で究極の掴み

 まずは何よりも、ネタバレ無しで披露された第1話をご覧いただきたいです。試写会にも第2話を使ったくらい徹底的に伏せられた第1話では、SKaRD結成前の部隊長としてのゲントの戦い、そしてウルトラマンブレーザーの初戦が描かれました。

 舞台は池袋・サンシャインシティです。毎年夏の恒例で、現在も開催中の『ウルトラヒーローズEXPO サマーフェスティバル』、かつての『ウルトラマンフェスティバル』の会場です。『ブレーザー』が前2年とは異なり「ニュージェネレーションガイア」ではないことが話題になっていましたが、『ガイア』第1話で宇宙戦闘獣コッヴが現れたのも池袋でした。しれっと出てきましたが、ここ数年の通例を破って実在地名が使われているのも大きな転換です。

 襲来する宇宙甲殻怪獣バザンガ、サンシャインシティ内に設けられた作戦指揮室を逃げ出す地球防衛隊GGFの上層部たち、劣勢で歯を食いしばる現場の兵士たちなど、ウルトラシリーズよりもさながらシン・ゴジラ』のような硬派な軍事シーンが描かれました。

 SKaRD結成前ではありますが、ブレーザーをピンチから救うように現れた謎のスナイパーの姿がありました。彼女こそ、後のSKaRDの名スパイであるアオベ エミです。ここからどうやってSKaRDが生まれるのだろう? と想像をかき立てられました。

 斬新な作風に心ときめきつつも、このような回はたまにあるからよいのだとも思います。たぶん毎回だと疲れてしまいますし、2話以降も伝統的な防衛隊のストーリーではありますが、目新しさがあって「いつも通り」というわけではないからです。

 

2. ウルトラマンブレーザー

 お披露目時から異形感に衝撃を受けたウルトラマンブレーザーでしたが、実際に登場するとさらに驚きの連続でした。

 1話で別部隊の隊員を助けに行ったゲントが遭遇し、事情を呑み込めていないゲントを無理矢理変身させる形で、夜の池袋に姿を現しました。この時のゲントは、助けを求める声が聞こえたと思い込んでブレーザーと遭遇しています。ゲントが力を欲したわけでも、ブレーザーが共に戦おうと呼びかけたわけでもない、珍しい出会い方です。ブレーザーが本当に助けを求めていたのか、そうだとしたら何故か、今後明らかになるといいですね。

 静かに姿を現したブレーザーでしたが、いざ戦いを始めてみると、吠える吠える (笑)。今までの「喋る」ウルトラマンたちの声は、人間には聞こえていませんでしたが、ブレーザーは人間よりもむしろ大型犬のように掛け声を発します。そうして見てみると、戦い方もワイルドで大型犬のようです。1話では自分の身体の大きさに慣れていないような描写がありますし、2話でも深海怪獣ゲードスの一本釣りという宇宙人には考えつきそうもない作戦を実行しており、ゲントの意志が介在していることもわかります。

 獣のような戦闘スタイルは、一周回って「可愛い」という印象さえ抱かせてくれます。3話で100万℃の高温に達した甲虫怪獣タガヌラーに触れたときは、あからさまに「アッチ! アッチ!」と聞こえる声で鳴いていました。

 忘れてはならない特徴が、必殺技のスパイラルバレードです。光線技でも剣技でもない、光の螺旋をまさかの「槍」にして投擲する技です。今年の子どもたちは、うまく真似できるのでしょうか??

 「ウルトラマン」の存在は、宇宙飛行士の間で噂されていました。ゲントと出会う前から、時々地球の近くに姿を現して戦っていたのでしょうか。それにゲントが出会ったときに聞いた声を組み合わせて、ゲントは上官であるハルノ参謀長に「ウルトラマンブレーザー」という名前を提案しました。そのハルノ参謀長ですが、何故かブレーザーに対して並々ならぬ対抗意識を燃やしています。SKaRDの結成も、そこへの新兵器アースガロンの投入も、その対抗意識から生まれており、そうとは知らずにブレーザーと一体であるゲントにその隊を率いさせてしまったのです。

 

3. みんなで進むSKaRD

 ゲントが隊長を務めるSKaRD (特殊怪獣対応分遣隊) は、怪獣災害に対抗するために (その実は、ハルノ参謀長のブレーザーに対する対抗意識から) 生まれた特殊部隊で、自ら作戦を立案して行動する権限を持っています。

・隊長のヒルマ ゲント (比留間弦人)

・副隊長のナグラ テルアキ (名倉輝明)

・スパイ行動に秀でたアオベ エミ (蒼辺恵美) 

・戦闘が得意なミナミ アンリ (美南杏梨)

・メカニックのバンドウ ヤスノブ (坂藤泰信)

という少数精鋭からなります。

 ゲントはこのチームを、それぞれが自分で考えて行動できるチームに育てています。皆が意見を言いやすいように、お互いを下の名前で呼ぶように指示し、自らも「ゲント隊長」と呼ばせています。ゲント自身はほぼ現場に出るため、他のメンバーが代理で指揮を執ることもあります。4話でアースガロンと軟体怪獣レヴィーラが戦っているとき、ブレーザーに変身しているゲントに代わり、エミが指示を出していたのがその一例です。エミだけが知っている敵の内部情報を使った、エミにしかできない作戦でした。

 ゲントはSKaRDの隊長ですが、一番偉い人というわけではなく、地球防衛隊においては中間管理職です。部下たちを守らなければならず、しかし上官に従い、その顔を立てなければなりません。とはいえ、独自の権限を持つSKaRDを率いていることで、上層部に邪魔されずに自分たちの考える最善を行動に移すことができるようになっています。事態を悪化された上層部に見捨てられかけた結成前の苦い現場とはもう違います。

 ところで、2話の『SKaRDを作った男』というサブタイトルは誰のことを指しているのでしょうか。普通に考えれば隊員候補1人1人の元を回ってチームを結成したリーダーのゲントのことですが、そもそもSKaRDがハルノ参謀長肝煎りの部隊であることを考えるなら、違う解釈もできます。さらに、そのハルノの命を受け、アースガロンの開発や車両の整備を行い、SKaRDに紹介される前に手を回して「お膳立て」をしていたヤスノブも、ある意味でSKaRDを作った男だといえます。

 

4. どうするヒルマゲント

 そんな板挟みの役職にあるゲントには、度々決断を迫られる場面があります。ある時は上官たちにもはっきりと言い返したり、またある時は隊員たちに的確な指示をだし、そして、ある時は……。

「俺が行く。」

 ゲントには、組織の中で戦う「隊長」でありながら、「スーパーヒーロー」であるという二面性があります。それは、ウルトラマンに変身するというのみではなく、ここぞというときには作戦を外れてでも誰かを助けに行くことがあるという意味です。ヒーローというものは、もちろん仲間と協力することはあっても、ヒーローである瞬間にはひとりなのです。

 それが元で地球防衛隊の後輩たちに慕われているというのはありますが、その一方で組織の一員としては明らかな逸脱行為です。今までもウルトラマンに変身した隊員が戦線から抜けてしまうのはある種のお約束でしたが、それが隊長ともなると、いくらSKaRDの隊員が自律的に行動できるからといって問題になりかねません。近いうちに、ゲントには選択を迫られる場面が出てくるかもしれません。

 それと同時に、前回の記事でも触れましたが、ゲントは父親でもあります。3話では、職場に飾った妻子の写真に何度も目をやっていました。この時点で妻子が本当に生きているのか疑ってしまいましたが、4話でのエミとのやり取りを見るとその心配はしなくてよさそうです。普段なかなか家族に会うことができない暮らしをしているのでしょうか。

 少し話は戻りますが、キャッチコピーにもなっている「俺が行く。」は、ゲントの台詞です。それに対して、ブレーザーに変身するときのブレーザーストーンの反応は、「俺が行く。」というよりも「俺も行く!!!」という感じに見えます。人間には言葉がわからなくても、落ち着いたゲントとは対照的なハイテンションな性格が伝わってきます。

 

 感想月報②では、9月2日の放送回より前に、8月26日までの内容をまとめたいと思います。

*1:ちなみに、ゼットは「気合」だそう