普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

最後1秒に全部持っていかれた ~ラブライブ! スーパースター!! 感想週報⑤『パッションアイランド』~

 なかなか離島に行きづらい状況が続いています。私も旅行好きですが、離島は (沖縄すら) 行ったことがなく、初めては八丈島神津島か……などと妄想を膨らませるのみの日々が続いています。 

 その神津島を舞台にした第5話。夏らしく暑くとも爽やかな回になる、と思っていたのですが……。

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どうしてこうなってしまったのか……。
(『ラブライブ!スーパースター!!』第5話『パッションアイランド』より/
©2021 プロジェクトラブライブ!スーパースター!! )

 

ぐっそくっむしー、ぐっそくっむしー♪

carat8008.hateblo.jp

1. 退学届

 5話の感想は、ほとんどこれについて書きます。神津島の話はおまけです。それほどまでに衝撃を受けました。

  本土へ上陸し、クーカー*1を主催イベントに誘いに来たサニーパッションは、クーカーのダンスパフォーマンスのレベルの高さに注目していました。そしてそれが音楽科でプロ並みのダンスを学ぶ千砂都の力であることを知ります。

 千砂都は、自分のいないクーカーが学校の名に恥じないものになる=ラブライブで優勝できるよう、出場経験者のサニパに助言を仰ぎます。サニパの悠奈の意見は、「クーカーのダンスは自分のものではないから、優勝は叶わない」というものでした。つまり、部外者にとどまっている千砂都のダンスではダメということです。

 この時点で、2つの選択肢が浮かびます。一つは、千砂都が部外者でなければよいので、「千砂都が加入する」こと。もう一方は、「クーカーが自分たちでダンスを作る」、つまり「千砂都が関わるのをやめる」ことです。サニパは部外者の関与に難色を示しながらも、前者に淡く期待していました。

 一方、このシーンの直後に「STOP歩きスマホ」の広告が入ります。これは中途半端なことをするのは危険であるという警告にほかなりません。わかりやすいメタファーですね。千砂都は後者を選び、クーカーの神津島行きに加わらないことを表明しました。この時点では、千砂都はスクールアイドルと距離を置くべきと考えていて、その点でかのんと意見が一致している、だけに過ぎなかったのですが……。

 

1. 1. かのんと千砂都の違う夢

 「幼馴染はラブライブ! シリーズの伝統」とは言ったものですが、かのんと千砂都は歴代幼馴染のように最初からお互いに劣等感があったわけでも、惰性で続いてきたわけでもなく、小さい頃にははっきりとした関係性がありました。

 ことの発端は、やはりかのんの歌が圧倒的だったこと。それに憧れてダンスを始めた千砂都と、千砂都がダンスを頑張っているおかげで歌を諦めずに来れたかのんの関係は、早くに完成された関係です。一方、「かのんちゃんのできないことをできるようになる」という言い方からは「見返してやる」というようなライバル心も窺えます。かのんと千砂都の関係は、いわば鏡です。

 元々背を向け合いながらもお互いのことを応援し、共に歩んできたはずの二人であるにもかかわらず、受験落ちに端を発するかのんの劣等感がこのバランスを大きく崩させました。千砂都は、自分のダンスの大会とスクールアイドルの間で悩んだり、音楽科の練習場所を同好会で使うことを提案したり、かのんにささやかなサインを出していました。それは私にはSOSのようにも見えました。かのんは千砂都の夢を大切にしようと気を遣っているようで、千砂都の揺れる思いには全然気づかず、したがって向き合うこともできず、結果として千砂都を拒絶するようになってしまいました。そうなれば、ふたりの関係は「鏡」ですから、千砂都もかのんの新しい夢に遠慮しなければならないことになります。

 もっとも、かのんとしては本当は千砂都を拒絶する気などありません。新曲でも千砂都のことを歌詞に書こうと考えあぐねていました。千砂都がスクールアイドルをやりたいことは可可がいち早く知っていたので、かのんももっと早く気づけないことはありませんでしたし、かのんが千砂都を誘うようなことがあれば、状況は一変したのですが……。

 ダンスを頑張る自分に遠慮したかのんのように、自分も遠慮して消えれば、クーカーは完成する。これが退学届の真相と、一応は予想しておきます。予想ついでに展開も予想するなら、この状況を打開するのが「クーカー」から「Liella!」への脱皮なのではないかと思います。μ'sもAqoursも3人から名乗っていたのに、わざわざ違う名前が付けられたのは、一度「クーカー」を終わりにしなければならない状況があったからです。相手の夢に自分がいなくなってしまった状態は、もう終わりにしてほしいところです。

 

2. おまけ・神津島へようこそ

 はいおまけです。歴代のラブライブ! の観光案内 (東京都心、NY、沼津、函館、イタリア、お台場……) の例に漏れず、神津島の観光地の数々が一挙に紹介されました。夏は暑そうですが、私の魅力的な場所に映ります。

 3人は東海汽船の雑魚寝で神津島へ向かっていましたね。同じ値段で座席もあるようです。客船で10時間の船旅も魅力的です。急ぎたければ所要時間3時間の高速船もありますが、サニパの2人は大会参加などでどちらを利用しているのでしょうか?

 ラブライブ! はいつも素敵な景色を紹介してくれます。今後も注目していきたいですね。

 

 改めて次回予告をじっくり見てみたら、展開に希望が持ててきました。再び『START!! True dreams』のPVと同じ場所で開会式が開かれた東京2020パラリンピックを見ながら、あるいはラブライブ! シリーズの幼馴染について振り返りながら、次回を待ちましょう。

*1:すみれが加入しているが、チーム名が変わった描写はないのでこのまま表記する