前回は紛れもなく『トリガー』
冒頭、バロッサ星人4代目に強奪されたキングジョーストレイジカスタムを追うウルトラマンゼットと宇宙セブンガー。バロッサ星人が放ったブルトンの時空の渦に巻き込まれ、ゼットはどこかへ飛ばされてしまいます。時空の渦の中でバロッサ星人と取っ組み合いの末、ウルトラメダルさえ奪われてしまった*1ハルキ。ここでOP『ご唱和ください 我の名を！』が流れ……。
あれ、『Trigger』が流れ始めた？
この番組、『ウルトラマンZ』じゃなかったっけ……？
1. 大人気！ ゼット様登場！
なんといっても、昨年大ヒットした『ウルトラマンZ』から、主役ヒーロー・ウルトラマンゼットの登場を待望した方は多かったでしょう*2。ウルトラマンの客演といえば、宇宙の彼方や別次元から歴代ウルトラ戦士が1人でやってくる、というのが定番です。しかし今回はゼットだけでなく、ゼットに変身する夏川遥輝 (以下、ハルキ)、『セブンガーファイト』に登場したセブンガーの改造機・宇宙セブンガーに搭乗する中島洋子 (ヨウコ、声のみ)、ゼットとストレイジの宿敵・バロッサ星人やそれが繰り出すブルトン、キングジョーストレイジカスタム、ゼットのインナースペース……等々、数々の要素が『Z』から登場しました。約8ヶ月ぶりの『Z』を見ているようで、大いに盛り上がりました。
『Z』といえば、ゼットの怪しい日本語やいまいち締まらない変身など、コミカルな要素が多いと同時に、防衛隊の存在や登場人物同士の交流がリアルに描かれる、リアル志向エンターテインメントです。『トリガー』とは方向性のだいぶ違う作品ですが、次項でも述べるように、それらが1話に惜しみなく詰め込まれていたように思います。
2. 混ざりあう魅力
今回は、「トリガーの世界にゼットがやってくる話」というよりも、「『Z』風の『トリガー』」であったように思います。『トリガー』はどちらかというとファンタジーというか、演劇色の強い作品ですが、「もしトリガーの世界に『Z』の登場人物がやってきたら」というシミュレーションを『Z』風に描いた、どちらに属するのかよくわからない回でした。
ケンゴとアキトはゼットのインナースペースに呼ばれ、ハルキとケンゴは同じウルトラマンとして意気投合してしまいます。一方で、バロッサ星人と出会ったイグニスは、それぞれが手に入れたお宝の自慢大会を始めてしまいます。ハルキは新たな変身アイテムとしてGUTSスパークレンスを手に入れ*3ましたが、アキトの説明を聞かず、変身しようと意気込んだ瞬間にハイパーガンモードでゼット自身にゼスティウム光線を撃ちこんでしまいました*4。キャラの活き具合には『Z』らしさを感じます。
トリガーとゼットは、人間とウルトラマンの関係、住んでいる世界の様子、変身アイテムと何から何まで違います。ハルキとケンゴは会話の中で異なるものと通じ合うもの言葉にしていました。未知のものとの対話は、『Z』の重要な要素です。
戦闘パートも田口監督の色が強くて、普段の『トリガー』とはだいぶ異なっていました。まるで昭和のウルトラマンのような、土煙の上がるプロレス戦を、現代の技術と画質で仕上げるところや、わざと少し着ぐるみ感を出すあたりに、特撮という技術へのこだわりを感じます。
次回も、ゼットとキングジョーが活躍するようです。ところで、ケンゴがウルトラマンの先輩であるハルキに大変なことや重圧を感じるか聞いたとき、ハルキは特にないと答えていました。これは、ハルキたちが「ウルトラマンとして、手の届く範囲のものを守る」という答えを出していたため、自分たちの力でできることをやっているだけだ、という意味です。そのメッセージがケンゴに伝わるのか、楽しみなところです。
次回は『トリガー』視点で物語が描かれたら面白いと期待しています。
