普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

9人の答え。そして前人未到の未来へ…… ~ラブライブ! スーパースター!! 第2期感想週報⑫ (終)『私を叶える物語』~

 2期最終回。夢に見たステージ、神宮競技場での決勝戦です。

 しかし、『スーパースター!!』2期は、ラブライブ! シリーズでは珍しく*1、最終回目前に問題を残しています。

突然の留学?

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 かのんが留学すれば、Liella! としての夢は先に続けられなくなってしまいます。一方で、かのんが日本に残ることを選べば、夢への大きなチャンスを潰してしまうことになります。さて、9人は後悔の残らない、納得のいく結論を出せたのでしょうか。

 ――結論から言います。『スーパースター!!』2期は、出した結論をひっくり返すような衝撃的な結末で終わりました。

ご唱和ください。「どうなっちゃうの~!?」
(『ラブライブ! スーパースター!!』第2期第12話『私を叶える物語』より/
©2022 プロジェクトラブライブ! スーパースター!!/配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=CtdZI7SmcDo)

 

 

1. Song for All ~2期を振り返って~

 1期最終回のサブタイトルでもあったこの言葉は、2期に通底するテーマでした。

 3話でウィーン・マルガレーテ*2に敗れたあと、Liella! 自分たちが学校の皆のスーパースターであることを意識します。その後丸いステージで学校の皆の方を直接向いて『Go! リスタート』を歌いました。ラブライブ! 用の楽曲は3曲とも、「みんな」を意識したものでした。学校の理想を落とし込んだ『Chance Day, Chance Way!』、学校のみんなと一緒に創り上げる最高のステージ『Sing! Shine! Smile!』、そして9人の誰が欠けても成り立たないLiella! の「夢」を歌い上げる『未来の音が聴こえる』の3曲です。『未来の音が聴こえる』は、『リエラのうた』シリーズ (特に1期) に通ずるものを感じるしっとりとした曲です。「空」や、「手を繋いで未来へ」など、『始まりは君の空』を意識した言葉も使われているようです。

 さて、9人誰が欠けても成り立たないLiella! にとって、かのんがいなくなることは、決勝が最後のステージになることを意味します。かのんはそんな皆のため、自分を再起させてくれた学校のために、留学を一度は断りました。しかし、メンバーたちはかのんの大きな夢を受け入れ、応援することに決めました。一方、かのんが皆のスーパースターなら、Liella! の8人もかのんにとってのスーパースターです。かのんがいなければ成り立たないLiella! は、かのんの後押しがあれば、かのんが旅立った後も歌い続けることができるということです。

 Liella! の円陣で使われるフレーズのうち、「Song for Me」は1期のような「私を叶える」歌、「Song for All」は、学校のみんなを結ぶ歌です。その間に、「Song for You」があります。もし、かのんが留学したら、かのんにとって自分を応援してくれるLiella! の歌は「Song for You」で、かのんが世界に響かせる歌も、Liella! の夢の力になる「Song for You」と呼べたでしょう。

 

2. マルガレーテの変化

 留学に揺れるかのんのもとを訪れたマルガレーテ。マルガレーテもまた、かのんの留学を後押ししました。その言葉を聞くと、マルガレーテの心境も変化してきているようでした。

 マルガレーテはウィーン校に入るためにラブライブ! 優勝を目指してきましたが、スクールアイドルの観客やライバルが何を求めているかを理解することなく敗退してしまいました。かのんに対しても、観客に対しても挑戦的な物言いを繰り返し、自分以外の人の存在や、自分以外の歌にあまり注目していない様子を見せていました。それでも、かのんの歌には一目おいていたようです。

 喫茶店*3でのかのんとのやり取りでは、マルガレーテがかのんの言葉にしっかり耳を傾けていたと思います。一つには、それはかのんたちの歌を認めたということであり、もう一つはマルガレーテが成長したということだと思います。かのんに届いた招待は、マルガレーテが欲しくても得られなかったものです。今までのマルガレーテなら、それに反発していたでしょうが、かのんの悩みに向き合って言葉をかけていました。相変わらずマルガレーテがウィーン校を特別視していることは、一族の考え方から自立していないことの現れに他なりません。しかし、ウィーンへの留学が、かのんにとってだけでなく、かのんを育てた母校の力になれることでもあるという考え方には、自分が手に入れられなかったものに向き合おうという意識を感じます。自分の今までの態度を「口先ばっかり」と自省するような発言もありました。敗北という結果に当たり散らしていたマルガレーテは、もう過去のものと言ってよさそうです。

 マルガレーテがかのんやLiella! を認めるに至るのには、千砂都との遭遇も外せない要素だったと思います。悔しいばかりだったかのんの下で学べという家族のお達しが、かのんのことを家族同然に大切に想う人を感動させたのです。千砂都の反応が心境の変化に繋がっていることと、かのんたちとマルガレーテが同じ鉄板のたこ焼きを食べた仲になったのは関係していると思います。

 

3. 泡沫の夢、そして……

 かのんは留学に出発し、8人も新たなLiella! として歩き出す……と思いきや、そうは問屋が卸しませんでした。結ヶ丘の校門前に突然現れた、結ヶ丘の旧制服を着たマルガレーテの口から告げられたのは、「留学の中止」でした。2期はこれで幕引きになります。

――あまりにも唐突過ぎないでしょうか。

 かのんの留学に責任を持つ、結ヶ丘の理事長からきちんとした連絡が来ることなく (行き違いになってしまったのかもしれませんが)、自宅にもエアメールが届くだけであったり、ウィーン校のやり方にはいまいち不信感の残る点はありますが、現実には精一杯の想いを込めて決断したことが、すべてその通りに行くわけではありません。ここでは、ウィーン校やウィーン家がどのような判断をしたのか、少し予想してみます。

 Liella! がラブライブ! に優勝し、かのんが旅立つ、というシーンの流れからして、Liella! の優勝と留学の取り消しに因果関係があることは推測できます。そして、かのんの留学中止とマルガレーテの結ヶ丘入学はセットです。このことから、結ヶ丘が「歌で気持ちを伝える」ことについて日本一になったことで、以下のようなことが起きたと考えられます。

・Liella! が学校に貢献し過ぎ、結ヶ丘の価値が高まり過ぎた結果、より上位の学校へ音楽を学びに行くという留学の意義が薄れてしまった。

・ウィーン校としては、世界で戦える才能であるかのんを招聘するよりも、かのんにもう1年Liella! として頑張ってもらったほうが、世界の音楽にとってプラスだと考えた。

・(あるいは) ウィーン校のトップの私情として、かのんのいるLiella! が好きになってしまった。

・かねてよりマルガレーテに対し、かのんに歌を学んでほしいと思っていたウィーン家では、その環境として結ヶ丘とLiella! が相応しいことが認識されてしまった。

 つまり、Liella! がラブライブ! を戦い抜き、世界でもLiella! の注目度が上がったことで、皮肉にもかのんたちの決断が幻になってしまったということです。それも、未来を見つめ、最後だと思ってラブライブ! 決勝に臨まなければ成し遂げられなかったことなので、無意味とは言えません。そして、Liella! の存在が、世界に大きく響いていることの証左でもあるのです。

 放送直後、ラブライブ! シリーズのTVアニメとしては初めての3期放送決定が発表されました。3年目の物語では結ヶ丘の全学年が揃い、かのんたちは3年生になります。1期で過去と向き合い、2期で今を駆け抜けた9人は、マルガレーテや新たな新入生 (キャストの一般オーディションの開催も決まっている) を迎え、無限の未来を描いていきます。ストーリーも今まで以上に世界スケールで動いていくことになるでしょう。この間には、7都市14公演という相変わらずのハードスケジュールで3rdライブが開催され、キャストたちの成長も待っています。スーパースターたちの未来は、直ぐ近くまで来ています。

 なお、来年以降のラブライブ! シリーズのアニメには、1月開始の『にじよん あにめーしょん』と、開始時期・媒体未定の『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』もあり、同時に3作の製作が予告されている異例の盛り上がりを見せています。当ブログでは、各作品の感想を扱っていきたいと考えております。

*1:他は『ラブライブ!』1期くらい

*2:当ブログでは「マルガレーテ」と呼称。前回記事参照

*3:ウィーン市民は喫茶店が好きだそうである。その点でもマルガレーテには、かのんの家に惹かれるところがあったかもしれない