※本記事は『にじよん あにめーしょん』BD BOX特典映像のネタバレを含みます。未視聴の方、購入しようか迷っている方はご注意ください。
1月に放送が開始された『にじよん あにめーしょん』は、3月24日 (金) の12話をもって感動のフィナーレを、
迎えませんでした。
一旦、締めくくり
内容的には、確かにこの回が最終回だったのですが、29日 (水) 発売のBD BOXにあと3話収録されています。
この内容は、まさに「特典映像」といった感じで、侑と同好会メンバー1人ずつのエピソードになっていますが、侑の女の子誑しっぷりが1人平均45秒、4人ずつ3話、合計12連続で見せつけられます。
当初は1話ずつの感想を書くつもりでしたが、一続きの内容なので、1回の記事でお届けします。
1. 侑と12人
この3話は、すべて第1話と同じ、部室のドアの表札から始まります。ドアを開けると、メンバーたちの心ときめく会話が待っています。
・かすみ
自分の「かわいい」を認めてもらいたいかすみ。侑はいつでも全肯定してくれます。「侑先輩をメロメロにしますよ!」などと豪語したかすみの方がメロメロです。
・しずく
しずくは上級生たちの中で、侑だけを「侑先輩」と呼びます。しずくの人生の物語の中で、特別な役に位置づけている証拠です。お揃いの手袋を編んでくれようとするしずくの手を握って温めてくれる侑は、まさにしずくの理想の先輩です。侑がしずくの手を温めたのは、しずくを応援したい一心からでした。そんな侑に、しずくはもう少しこのまま手を握っていて欲しいと遠回しに伝えます。遠回しに言っても鈍感な侑にはわからないことくらい、既にしずくにはわかっているであろうにもかかわらず、です。
・果林
侑はときどき、女の子好きが暴走しておかしくなります。果林の顔を見つめるだけで恥じらったかと思えば、「ちゃんとした意見が欲しい」という果林の言葉に「果林さんのため」という口実を得て果林をまじまじと見つめるところは、少々変態的なところを感じます。押されてたじたじになっている果林も可愛いです。
・愛
1期4話よろしく、ダジャレ連発で侑を笑わせています。そして、そのどさくさにまぎれて告白してしまいます。愛はいつも元気いっぱいですが、実はシャイガールなのです。
・彼方
番組CMに登場する彼方がマッサージチェアで癒されているシーンは、なんと14話のものでした。ほかはTVでも流れたエピソードなので、これは驚きです。
欲求を素直に言う彼方に、侑はついつい尽くしてしまいます。お世話されるのも一つの才能かもしれません。
・せつ菜
大好きなものをたくさん並べて、「もちろん侑さんのことも好きですよ」というせつ菜。侑だけ「大好き」と言いませんでした。これだけ見ると一見格下なのかとも思え、侑も違和感を覚えていました。そのシーンがアニメにおける楠木ともりさん演じるせつ菜の最後の台詞になりましたが、まさかの「好きですよ」のスロー再生でした……。
せつ菜の場面の最初に黒のカラーコーンが1個、赤のカラーコーンがが5個描かれます。赤は、せつ菜を象徴する大好きなもので、ラノベも、アニメも、スクールアイドルも、いくつもの大好きが積み重なっているのを表現しているのだと考えました。だとすると、黒が侑への「好き」に当たるのではないでしょうか。他のものへの好きな感情とは異なるものだということを認識していながら、せつ菜自身それが何なのかよく理解していないために、このような表現になったのではないかと思います。
しかし、侑のせつ菜に対する感情は外ならぬせつ菜に貰った「大好き」です。2人のお互いに対する感情は同じではないかもしれない、と要らぬ心配をしてしまいます。
・エマ
侑がエマの膝枕を遠慮すると、エマは侑の膝枕に転がりました。エマが甘やかし上手なのが、甘えられる相手がいれば甘えるという反転として描かれます。自分がされて嬉しかったことを人にしているというのは、スクールアイドル活動を含めたエマの行動原理でもあります。
ほかのシーンではなかなか見られないものだったと思いますが、お茶から湯気が上がっていました。「ぽかぽか」さを表現する演出だと思います。14話はこのような心象描写が巧みでした。
・璃奈
ベクトルは違いますが、侑と璃奈は「誑し仲間」でもあります。無自覚な侑に対して、璃奈はわかってやっているようにも見えます。
侑の素直な笑顔は、璃奈の新しい武器になりました。侑は歩夢の表情が好きだと言っていましたが、侑の表情が良いのは幼馴染譲りもあるのでしょうか。2人の満面の笑みが振りまかれるシーンは幸せそのものでした。これにはホワイトボードのマグネットも「にっこりん」です。
・栞子
他の1年生3人が侑に甘える中で、大和撫子らしい奥ゆかしさを見せていました。ぐいぐいは行かず、しかしきっちり自己主張するのも、栞子らしくてかわいいのです。
・ミア
2期でこの関係性が「伸びた」のは、予想外というべきか、それともある意味予想通りというべきでしょうか。2歳も下の天才をおだてて、甘える侑がかわいいです。ミアが侑のことを信頼し、リスペクトしているのもこの関係性の素晴らしいところです。作曲という分野で助け合ったことのある、唯一無二の関係性だと思います。
・嵐珠
急に呼び出された嵐珠は、強者のオーラを纏っていました。2期1話で見せ、見ている者を虜にした強気さは健在で、ものをはっきりと言うかっこいいスクールアイドルという感じがします。しかし、侑に純粋な好意をぶつけられて照れる表情は、乙女のそれでした。そのギャップに、この短時間で2度やられてしまいます。
・歩夢
これまでもこれからもずっと侑の隣にいて、なお侑の大好きを受け取りたいという気持ちを表明します。「幼馴染の余裕」というよりも、後述の通りの侑の変化を、恥じらいながらも受け止めているとも考えられます。
・侑
「ヒトリダケナンテエラベナイヨー!!」というくらい皆を愛している侑ですが、スクールアイドルの応援を通して大好きな人に大好きな気持ちを伝える方法を知ったということは、それを歩夢にも向けられるようになったということです。本作は時系列的に歩夢の留学前後どちらに当たるのかは明かされていません*1が、量・質ともにそれまでにできなかったレベルの応援も、スクールアイドルのおかげでできるようになりました。
2. 総括 ~最強で最高の3分アニメ~
どこかで触れる機会があったか覚えていませんが、『にじよん あにめーしょん』の本編は180秒あります。3分アニメなのだから180秒だろう、と思われるかもしれません。しかし、例えば『BanG Dream! ガルパ☆ピコ』は130秒、『うまゆる』は150秒と、他作品の場合はEDテーマまで含めて3分という例が多いようです。そして、タイトルの通り元は4コマ漫画です。BD付録のブックレットには、各話の絵コンテに相当する漫画版が掲載されていますが、各話が4コマ×4の16コマで構成されています。所謂「きららアニメ」もそうなのですが、4コマをベースにしたリズムがアニメにも取り入れられています。『虹ヶ咲』のアニメ本編とはまた違う、見やすいテンポがあります。
180秒あれば、実にいろいろなことができます。もちろん何でもない日常を描いても良いですし、ギャグに走っても良いはずです。人間がチョココロネになる話*2だってできるはずです。しかし、『にじよん あにめーしょん』は、『虹ヶ咲』のアニメであることを貫きました。アニメ本編と同じく、今までのコンテンツ展開で積み重ねた小ネタを盛り込みつつ、キャラを魅力的に描いた前半。そして、嵐珠の「特別」やせつ菜のスクールアイドル性、侑と歩夢の関係性について本編顔負けの掘り下げを行いつつ、心に残るシーンを連発した後半。そして、メンバーの可愛さと、侑と各メンバーがお互いに「大好き」をぶつけ合う姿を詰め込んだ特典映像。いつでも3分に妥協せず、可能性を追求し続けた全15話だったと思います。
次のアニメは劇場OVA『NEXT SKY』です。このアニメを作れる制作陣ですから、約30分と噂される尺でも、何も心配することはありません。全力の物語が、きっとそこにあるはずです。
公開まではわずか2ヶ月半。待ち遠しいですが、その全力を受け取るために、ぼんやりしている暇はあまりないかもしれません。
*1:パラレルなのかもしれない
*2:バンドリといえば、せつ菜役を引き継いだ林鼓子さんがMyGO!!!!! のメンバーとして『BanG Dream! 11th☆LIVE』に出演していたのは衝撃だった。なお、同ライブは『A・ZU・NA LAGOON』と裏被りしていた