普門寺飛優のひゅーまにずむ

好きなものについて不定期に語ります。

「今」、それは僕たちも見た光 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 1st Live Tour ~RUN! CAN! FUN!~ 東京公演DAY2全曲感想

 11月19日 (日)、『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 1st Live Tour ~RUN! CAN! FUN!~』東京公演DAY2に参加しました。このライブでは、途中のMCなどを極力排し、情報公開込み・3時間半でフル尺ばかり30曲という怒涛の曲数が披露されました。それを通して、半年間濃厚な密度で展開された『蓮ノ空』の物語を総ざらいする内容でした。

デビューイベント

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OPライブ

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梢の寝そべりぬいぐるみ (友人所有)、梢が好きな『PUI PUI モルカー』のシロモとともに
武蔵野の森総合スポーツプラザにやってきた

 

 

1. 公演に先立って

 今回の会場は、もう5回目になる武蔵野の森総合スポーツプラザ、通称「ムサプラ」でした。この会場は縦長なのでアリーナであれば前方に行けば行くほど良いのですが、過去3回で3回ともかなりの前方でした。そして通路に近いため、トロッコもばっちり見える席でした。私個人としては席運を使いやすい会場なのかもしれません。

 開演前、梢役・花宮初奈さんに喉の不調があり、DAY2公演では歌唱を行わないという発表がありました。心配で動揺しましたが、いざ開演してみると今回はサポート役となる他の5人の元気に、全力で楽しまなければもったいないという気持ちにさせられました。『蓮ノ空』は一般的な声優コンテンツと比べてもはるかにハードなことをやっているため、故障に繋がりやすいという面と、少しでも不安があれば早く休ませるという判断をしている2つの面があるかと思います (事実、愛知公演では佐々木さんが途中から歌唱中止となっている)。蓮ノ空以外ではニジガクでも歌唱中止の判断がなされることがありましたが、自分が参加した公演では初めてで、祈るような気持ちで観ていました。

 

2. ハートフルなステージ

 まずは全員曲の『Dream Believers』からスタート。ここから怒濤の30曲ライブが始まります。お披露目ライブ『Dream Believers』のトリ、OPライブ『Bloom the Dream』の1曲目に続いて、今回もこの曲から始まりました。劇中のスクールアイドルクラブが代々この曲を歌っているのと同じように、この曲がライブとライブを繋いでいます。ボルテージを上げるのに時間がかかる『スクールアイドルステージ』(以下、『スクステ』) とは対照的に、会場は最初からボルテージMAXという様子でした。

 2曲目には、早速アルバムの新曲、『Yup! Yup! Yup!』が披露されました。『Dream Believers』に比べると少し落ち着いた曲なので、2曲目に披露されるのは意外でしたが、少しクールダウンしてMCに向かうにはぴったりだったかもしれません。

 蓮ノ空のMCは、これまでに比べて全体的にコンパクトにまとまっている傾向にあります。キャストによるメンバーのコール&レスポンスはありません。これは、キャストが演じるべきメンバーがこれまで以上に実体を持っていて、その結果両者が分かたれているとでも解釈できるでしょうか。その分、「こんばんは!」の挨拶に余計に気合いが入ります。瑠璃乃役・菅叶和さんは16時開演のライブが「こんばんは」なのか疑問に思っていましたが……。

 コール&レスポンスがない代わりに、キャストが自由にできる時間ではあります。菅さんは、「ハートフル」なライブにするため、隣の観客と2人で大きなハートを作るというアイデアを披露しました。私たちは連番相手と2人でブレードを掲げ、ハートを作りました。単番参加の観客も、隣の人と作っていたのでしょうか。さやか役・野中ここなさんからはある事実が公開されます。その前にXでそのことを話していましたが、実は蓮ノ空キャストの活動を動画にした『せーので! はすのそら』に、飛田給周辺で撮影した回があったのだそうです。思えば、前回のOPライブから半年弱が経ち、コンテンツ量は遥かに増えました。

 このMCで、花帆役・楡井希実さんから「このライブでは、4月から現在までの蓮ノ空の歩みをライブで振り返る」と宣言されます。ライブのコンセプトがわかりやすいので、ライブに集中することができました。

 

3. 春の雨

 ライブ本編は、幕間映像から始まりました。『リンクラ』の活動記録の再編集で、花帆がバスで初めて蓮ノ空女学院にやってくるところから、花帆と梢、さやかと綴理の出会い、スリーズブーケとDOLLCHESTRAとしてのそれぞれの始まり、そして102期生2人の和解までを駆け足で振り返りました。

 ステージに最初に姿を現したのはスリーズブーケでした。衣装は『水彩世界』のそれでしたが、曲目は『Reflection in the Mirror』『残陽』で、『水彩世界』は2人のデビュー曲にもかかわらずまさかのセトリ落ちでした。

 スリーズブーケの持ち味は、楽曲と2人の雰囲気からくる瑞々しさだと思っていました。今回ももちろんそれは健在だったのですが、『残陽』にはさらにその先を見た気がしました。出会って幸福感を謳歌していた2人が、抱えていた過去やその先に予感した切なさを独唱する曲ですが、一番のハイライトは何と言っても花宮さんのバックハグです。会場も一番沸き立つところです。ステージ上でハグの振り付けがあることは珍しくないと思いますが、こんなに情感豊かなそれはなかなかないと思います。『残陽』のようなしっとりとした曲が、ライブの序盤に置かれることも珍しいと感じました。

 交代で出てきたDOLLCHESTRAはデビュー曲『AWOKE』『青春の輪郭』を歌いました。『残陽』を歌ったスリーズブーケ同様、最初からユニットらしさを全力で出していました。『青春の輪郭』は早速のトロッコ曲で、アリーナが野中さんと綴理役・佐々木琴子さんのトロッコの動きに合わせて “氷青色” と “ボクの赤” に染まりました。文化祭で聴きたい、伸びやかで切ない曲です。

 序盤らしからぬセットリストですが、それぞれが憂いを抱えていた『リンクラ』の始まりを思い出すと、それと重なるような気もします。思い通りの生き方ができていなかったさやかと花帆、禍根を残したまま先輩になった綴理と梢の4人の始まりは、決して明るいばかりではありませんでした。

 それが、何度か全国に配信したFes×LIVEを通して、少しずつ雪解けを迎えます。続くスリーズブーケの謳歌爛漫』『Holiday∞Holiday』、DOLLCHESTRAの『スケイプゴート』『Tragic DropsはFes×LIVEの楽曲です。スリーズブーケが出会いで世界が明るくなるような浮ついた曲なのに対し、『Tragic Drops』はまるで失恋歌です。綴理がなぜこんな曲を歌わなければならなかったのかといえば、梢と一時決別してしまったからですが、この翌日に公開された『リンクラ』13話では綴理が向き合いきれなかったもう1つの別れが語られましたが。それを経て改めて聴き直すとより痛みの実感を持って、より納得のゆく形でこの曲に向き合えた心持がします。

 スリーズブーケとDOLLCHESTRAが代わる代わるパフォーマンスした後、ついに4人曲『DEEPNESS』が披露されました。今回は、それぞれユニットの衣装を着ての披露となりました。『DEEPNESS』の、とりわけ2年生の衣装はとてもかっこいいので見てみたかったのですが、またいつかにお預けです。

 幕間で『リンクラ』の振り返りを挟みます。瑠璃乃がスクールアイドルクラブにやってきて合流するまでの話ですが、まだここでは瑠璃乃はステージに立ちません。瑠璃乃と慈の加入編が描かれた夏の時期を思い出す楽曲として、DOLLCHESTRAが『ジブンダイアリー』Mirage Voyage』を、スリーズブーケが『眩耀夜行』Kawaii no susume』を披露しました。『Mirage Voyage』はラブライブ! シリーズの伝統でもあるラテン調の楽曲で、野中さんと佐々木さんのダンスの実力が映えました。『Kawaii no susume』はトロッコ曲です。以前も書いたと思いますが、楡井さんと花宮さんは一見クールそうな顔立ちではありながら声も立ち居振る舞いもとてもかわいらしく、そこにこれほどのかわいい楽曲が用意されればまさに鬼に金棒です*1

 ここで、ついに慈がスクールアイドルクラブに戻ってきて、今年のメンバー6人が揃います。幕間での『リンクラ』の振り返りはここまでです。配信で観た福岡公演より、少し分量を減らしているようですが、来ている人たちはもう十分ストーリーを知っているという信頼の上でこうなっているのだと思います。

 合流した瑠璃乃と慈がみらくらぱーく! として披露した曲こそ、『ド! ド! ド!』です。過去2回のライブでも同様でしたが、この曲は『蓮ノ空』のすべての楽曲の中でも頭1つ抜けています。何がすごいかと言えば、言うまでもなく観客の盛り上がり方です。イントロが流れる前から、流れでこの曲が披露されることはわかるので、ステージに二人が現れた瞬間から会場は爆発します。前奏の激しいコールはもちろんのこと、長い合いの手もばっちり決まります。客席も、他の曲よりも明るく輝いている気がしました。この曲の間奏には、慈と瑠璃乃が早口で掛け合いをするところがありますが、なんと菅さんは突然マイクを客席に向け、掛け合いの回答をファンに振りました。流石にこれにはファンたちも困惑してしまい、揃うことはありませんでしたが、次に披露される機会には完璧に揃っていることでしょう。愛知公演を観ていないので、どうなったかは存じ上げません。『ド! ド! ド!』で爆発的に盛り上がるだけでなく、この曲に込められた想いも知られるようになった今、過去一みらくらぱーく! とも他のファンたちともひとつになれた気がします。

 前回OPライブで完全未発表から電撃初披露された『ハクチューアラモード』が続きました。こちらも、どんな曲かわかった今になって聴くと、また違った味わいがありました。

 

4. 夏を呼ぶ歌

 みらくらぱーく! が参戦し、6人になった103期の蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。ここまで振り返ってきたのはスクールアイドルたちの歩みですが、ここから振り返るのは彼女たちの歩みでもあり、私たちの歩みでもあります。『ハクチューアラモード』の後の幕間はこのライブならではのものでした。『リンクラ』のガチャのBGMとともに、同アプリ内のゲームアプリ『スクールアイドルステージ』 (『スクステ』) のカードイラストが次々とスクリーンに現れました。特に台詞が流れるでもなく、ひたすらイラスト (といっても、動画になっているものも多い) を見る時間でしたが、これが大いに盛り上がりました。とはいっても、可愛らしい仕草のイラストや肌の露出の多いイラスト、関係性が「尊い」イラストが大歓声を浴びているようでは、どうもなさそうです。なんと、客席がどよめくのは、「カードの性能が強い」イラストだったのです。『スクステ』プレイヤーたちは、月末のFes×LIVEの高ランク席 (など) を確保するためにサークルを組み、上位を目指します。「強さ」を追い求めた人々の想いが、この歓声には込められていました。ゲームはエンジョイ勢としてやっている私には、これが「ソシャゲのリアルイベント」であるということを強く感じさせられました。

 様々なイラストが流れていった末、画面には『夏めきペイン』の衣装のイラストが揃い、同時にステージ上には同じ衣装を着たキャスト6人が揃っていました。アルバム表題曲『夏めきペイン』の披露です。指原莉乃さんの作詞で話題を呼んだ同曲ですが、一度しかない青春の夏をテーマに、衣装も、演出も、パフォーマンスも統一感をもって作られています。この曲をやっている間、外の寒さもどこへやら、会場は「夏」でした。夏を呼ぶライブと言えば、『水しぶきのサイン』や『常夏☆サンシャイン』で夏を演出したLiella! を思い出します。あちらと共通するのは、リアルタイムで追いかけて夏を共に過ごした記憶を呼び覚ましてくれるという点ですが、『夏めきペイン』は、私の持つ「夏」のイメージに、より直接的に働きかけてきているような気がしました。

 いよいよライブもクライマックスです。スリーズブーケ、みらくらぱーく!、DOLLCHESTRAがそれぞれ持ち歌を披露しました。スリーズブーケの『素顔のピクセルとみらくらぱーく! の1曲目アイデンティティは、それぞれ「伝統曲」とされる曲で、それぞれのユニットの過去のメンバーが作ったという設定です。それゆえに、『謳歌爛漫』や『ド! ド! ド!』のような今年の曲との作風の違いを味わいながら、今年のメンバーがどのような表現をするかに注目して楽しむことができます。この曲ができたころとは違うのだろうけど、今の2人はどちらも距離が近いなあ、などと思っていると、あたかも本当に過去のスリーズブーケやみらくらぱーく! を知っているような錯覚に陥ります。『蓮ノ空』ならではの没入感です。

 みらくらぱーく! は、『アイデンティティ』の後半から次の『ココン東西』の大部分をトロッコでパフォーマンスしていました。これで3ユニットすべてがトロッコに乗りました。ユニットのトロッコ曲では、同時にやってくるトロッコが1人分だけなので、接近してくると観客席の半分はそのキャストの独壇場になります。トロッコが本当に近くまで来る席にいたので、キャスト1人1人をじっくりと見上げ、まさに「拝む」ことができました。菅さんのスタイルの良さに遅ればせながら気づいたところですが、後で検索すると同じ感想のファンがたくさん見つかりました。

 『ココン東西』は、『アイデンティティ』とは打って変わって、今年のみらくらぱーく! らしい早口で激しいテンポの曲です。2人が好きなゲームをモチーフにしていますが、歌詞をよく読むと歌われているのは現実そのものです。私も声を出しながらみらくらぱーく! と一緒に現実の鬱憤と戦っている気がしましたし、辛いことばかりの世の中も楽しくする、というみらくらぱーく! の目指すものに元気を貰えました。

 残るDOLLCHESTRAが披露したのは『Take It Over』で、他2ユニットとは異なりDOLLCHESTRAの「今」を歌った新曲ということになっています*2。前半暗い曲が多かった分、ここでDOLLCHESTRAにも道が開けたような気がしました。

 本編最後の曲、『明日の空の僕たちへ』がかかり、そのイントロの中で楡井さんから最後の曲であることが告げられました。ここまで冒頭からMC無しでまっしぐらに駆けてきて、ついにそのまま駆け抜けてしまいました。これまでの軌跡を「蓮ノ空」にも聴こえる歌詞に重ねて、その勢いのまま未来を見つめ、羽ばたいていくような爽やかなナンバーとともに終わってしまった本編に、清々しささえ感じながら呆然としていました。

 

 しかし、呆然としている暇がないのが、ライブでもあります。まだまだ大事な曲が残っているなら、することはただ1つです。ラブライブ! シリーズのアンコールの掛け声には色々ありますが、『蓮ノ空』のライブでは相変わらず多少の混乱が起きながらも、基本の「アンコール!」に集約されていきました。今回はブレードで「H」サインを創る人の姿も散見されました*3

 OPライブ同様、ここでバーチャルスクールアイドルであるメンバーたちがステージに登場します。今回は、メインステージの後ろがモニターになっていて、キャストが立つのと同じ高さに6人の姿が現れ、ステージに立っているように見えました。同じムサプラで2月に見た初音ミクに近い演出です。メンバーのMCの中で、初めて6人で東京に来たメンバーたちが神田明神を訪れたことが語られました。μ’sファンの梢の口からそのことが告げられると、会場は大盛り上がりでした。

 アンコールはOn your markからスタート。6色の背景にシルエットが映し出され、その下にキャスト6人が立っている、もはや定番の演出に会場が沸きました。何度披露されてもボルテージが上がるこの曲は、1stライブまではキャストのみが披露してきましたが、11月度Fes×LIVEでついにメンバーver. が解禁されました。その中でも「Fes×LIVEでは初披露」という表現が使われ、『スクコネ』で配信されていないライブではメンバーたちも披露していることがわかりました。形は違えど蓮ノ空のメンバーとキャストは常にイコールなのです。

 この曲ももう定番なので、披露するたびに凄さを増している半面、自分の目も肥えてきてしまったかもしれないなどと良からぬことを考えていた私は、その直後の展開にボディーブローを食らったかのようになってしまいました。ここからは、1stツアー最初の福岡公演よりも後に開催された10月度Fes×LIVEの内容を反映した、まさに最新鋭のセクションとなっていました。このFes×LIVEといえば、ラブライブ! 予選の撮影を兼ねており、それぞれのユニットが持てる最大の力を発揮した回です。トップバッターのみらくらぱーく! の『ノンフィクションヒーローショー』は、なんと他の4人をステージに残したまま曲が始まりました。曲に合わせて決めポーズを取りながら退場していく4人は、2人の背中を押しているようでした。その後は、Fes×LIVEの流れと同じようにDOLLCHESTRAの『KNOT』、スリーズブーケの『千変万華』が続きました。

 これらの予選楽曲については、いずれもデビューミニアルバムの楽曲の「正統進化」であるということが、キャストの口からも語られています。『ド! ド! ド!』のまさかの逆転劇が、楽しいで世界を救う快進撃に進化した『ノンフィクションヒーローショー』、正しさという呪縛から『AWOKE』で解き放たれて以来の不安は抱えたままでも、繋ぎとめてくれた新たな絆を歌った『KNOT』、『水彩世界』と共通するモチーフをたくさん並べていて、未来も描けるようになり、タイトルも決まった『千変万華』と、曲名の表記も共通させて、過去との「リンク」を意識させるものになっています。さらにもう1つ、3ユニットに共通することで私が意識してしまうものがあります。これはこの先も何度でも擦ることになると思いますが、3ユニットが歴代ラブライブ! シリーズの曲をカバーしたことです。その「正統進化」の内容には、仲間とファンの支えがあって、自分だけの楽しさのスタイルを世界にぶつけてきたニジガクや、「ないない尽くし」の中で1つ1つ答えを積み重ねてきたLiella!、変わりゆく世界の中で雨さえ糧にしてきたAqoursの存在と重なる部分が見えてきてしまうのです。曲名には、「結」の字そのものである「KNOT」や、「千変」という『ラブライブ! サンシャイン!!』に繋がる要素が仕込まれています。では「ヒーローショー」は、というと、ラブライブ! に出なかったニジガクでかつてラブライブ! を目指したせつ菜の好きなものだったりします。形容詞のLikeには「に似た」という意味がありますね。これが、彼女たちの「ラブライブ!です。

 余談のようにライブの感想を述べるなら、『KNOT』でセンターステージの横から見えた野中さんの肉体美が脳裏から離れない、というところでしょうか。アスリートのように引き締まった身体に裏打ちされたダンスパフォーマンスのレベルの高さに見とれてしまいました。皆を引っ張って行こうとする気質や思わぬポンコツぶりは野中さんの魅力に花を添えるものではありますが、一番の魅力の真髄はここにあります。ところで、メンバーのほうの一推しは梢なのですが、私が好きなのは筋肉だったのでしょうか……? (笑)

 盛り上がりつつもやはり張り詰めるところがあるラブライブ! のパフォーマンスに対し、ある意味で緩和になったのがTrick & Cute』で、ここまでが10月度の内容でした。黒猫や魔女の可愛らしいポーズは、やっぱりスクールアイドルは可愛くないと、という原点回帰にも感じます。今回は制服の下半分+アレンジしたライブTシャツという組み合わせの衣装だったので、この曲の衣装もいつか見てみたいですね。

 MCの情報公開コーナーで発表されたのは、『リンクラ』ハーフアニバーサリーの内容でした。0.5周年の記念日は、ライブ翌日の11月20日 (月) でした。このMCでは、1人ずつの感想もありましたが、その内容は総括章に回します。

 ライブの締めくくりは、未来への展望を乗せて、また会えると希望が持てる曲を用意してくれることが多いですが、蓮ノ空もその期待を裏切らない『Legato』『永遠のEuphoriaで締めくくってくれました。『Legato』はトロッコ曲で、もう一度全員でアリーナを回ってくれました。『永遠のEuphoria』では、メッセージ入りの金色のテープが宙を舞い、私の肩に舞い降りました。「銀テープ」と総称されるこれらの発射物を配布ではなく受け取ったのは、実にAqours 4thライブ以来5年ぶりになるかと思います。この時に見た美しい景色は、思い出のお土産とともに心の中にずっとしまっておけると思います。

 

6. トンネルを抜けて、今

 最後に、キャストの感想の内容をユニットごとに振り返りたいと思います。

 みらくらぱーく! の慈役・月音こなさんと菅さんは、この2日間の「アドリブ」を振り返っていました。月音さんは『アイデンティティ』のハグシーンのこと、菅さんは『ド! ド! ド!』の台詞を客席に振ったことでした。ハグは、恥ずかしがってしまう菅さんに合わせて両日少しずつパフォーマンスを調整していたという話で、月音さんの優しさがにじみ出ていました。

 また、この日11月19日は菅さんの誕生日でもありました。最近の誕生日を振り返り、一昨年*4は先が見えず、昨年は瑠璃乃役を授かって不安でいっぱいだったことを述懐していました。まさに、今年は「トンネルを抜けた」ようなところです。

 DOLLCHESTRAの2人は、担当メンバーとの関わりを語っていました。佐々木さんは綴理との重なりを「同じ時を生きている」と表現していました。それを受けた野中さんが、今度はファンに向けて「生きていて進めなくなったときは『12人』で背中を押す」とエールを送っていました。

 スリーズブーケは、花宮さんの故障にどうしても触れざるを得ませんでした。花宮さん自身は、次の愛知公演での復帰を約束し、実際に完全復活できましたが、このときは焦りを隠しきれない様子でした。焦りからか、公演名を「名古屋」と言い間違えたまま*5、最後まで連呼してしまっていました。最初のMCで「ダンスが得意な相方がダンスに極振りするので負けていられない」と極度に前向きな捉え方をしていた楡井さんは、今回花宮さんを支えた経験を振り返り、花帆が梢を支えられるようになってきたこととのシンクロを実感していました。思えば、スリーズブーケは設定でも現実でも体調不良に悩まされることが多かったユニットだったと思います。春ごろに楡井さんが体調を崩しがちでWith×MEETSに穴が開いてしまったこともありましたし、劇中では梢が体調不良の花帆をかばってけがをしてしまい、結果同時にダウンしたたことや、梢が大事な時期に風邪を引いたこともありました。その度に片割れが二人分頑張る姿が見られたように、支え合いによるスリーズブーケにしかない絆があると思っています。

 また、ムサプラがAqours~Liella! の先輩たちが皆公演をしている場所であることにも楡井さんは触れていました。いつか来たかったので、早くも夢が叶ったと言っていました。

 供給量が凄まじく多い『蓮ノ空』では、半年も経って1stライブと言われても正直1st感を感じられないのではないかと思っていました。30曲ぶっ通しのセットリストなど、1st離れしたところは確かにありましたが、みらくらぱーく! も夏にようやく加入し、ストーリー的にも過去の清算が済んだところであり、また得体の知れなかった「バーチャルスクールアイドル」から、漸く知名度・人気度が上がってきたところだと思います。こうしてみると、このタイミングは名実ともに「1st」だったという気がします。

 ニジガク以降、新スクールアイドルの1stライブが終わると合同ライブが企画される、というのが定番になっていました。その3度目として、2024年3月には『ユニット甲子園2024』が開催されます。蓮ノ空にとっては得意分野ではないでしょうか。また、本日12月10日もDAY2公演が開催されている『異次元フェス アイドルマスター☆♡ラブライブ! 歌合戦』への出場も果たしました。1年目にしてまさかの東京ドームという、ビッグチャンスでした。

 

セットリスト一覧

1. Dream Believers

2. Yup! Yup! Yup!

MC

幕間

3. Reflection in the Mirror

4. 残陽

5. AWOKE

6. 青春の輪郭

7. 謳歌爛漫

8. Holiday∞Holiday

9. スケイプゴート

10. Tragic Drops

11. DEEPNESS

幕間

12. ジブンダイアリー

13. Mirage Voyage

14. 眩耀夜行

15. Kawaii no susume

幕間

16. ド!ド!ド!

17. ハクチューアラモード

幕間

18. 夏めきペイン

19. 素顔のピクセル

20. アイデンティティ

21. ココン東西

22. Take It Over

23. 明日の空の僕たちへ

アンコール

24. On your mark

25. ノンフィクションヒーローショー

26. KNOT

27. 千変万華

28. Trick & Cute

MC

29. Legato

30. 永遠のEuphoria

MC

*1:梢が鬼と言っているわけではない

*2:DOLLCHESTRAの伝統曲は『Mirage Voyage』

*3:元ネタである「A」サインを少し変形させれば簡単

*4:まだ「菅叶和」という名前ですらなかった

*5:愛知公演の会場は常滑市にある